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2%の奇跡を信じて、叫び続ける

ある選手に率直に聞いてみた事がある。

「サポーターの応援って本当に力になっているのか?」

「応援が勝敗に直結したと感じたことはあるのか?」

彼はこう返答した。
「正直、試合中は中々、応援の方まで意識が回らないことも多い

でも、本当にあるんだよ。
声援のおかげで、
一歩が出る瞬間が。
走れる瞬間が。
自分たちの力以上のものを発揮できたと思う瞬間が。
年間にすると1~2試合かもしれないけどね」


サッカーのプロリーグは年間、約50試合行われる。


単純計算すれば、〝サポーターの声援〟が勝敗に影響を及ぼす瞬間は
僅か2%~4%の確率とも、言えるのかもしれない。


サポーターが最高の応援をしたからと言って、
常に勝てる訳では決してない。
そんな事は百も承知だ。

ただ、1サポーターの立場からも言わせて貰うと

「確かにある。応援が作り出した空気が
選手たちのゴールを導いたと思える瞬間が。
そう信じてもいいよね?と思える、
奇跡のような瞬間が確かにある。」


2019年10月26日 ルヴァンカップ 決勝
北海道コンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ


ともに初優勝を目指した大一番は
規定の90分。
その後の30分の延長戦でも勝負は付かなかった。

そしてPK戦にまでもつれた末、
川崎フロンターレが
ルヴァンカップ優勝を果たした。


客観的に振り返るのは困難だが、多くの関係者の声を見ても
素晴らしい決勝になったのは間違いないのだろう。


自分はコンサドーレを応援していた。

コンサドーレにとっては、クラブ史初となる
タイトルを手中に収めかけながら、逃した。

これは紛れもない事実だ。

延長前半を終えて、3対2でリード。

且つフロンターレは退場者を出し、
人数的にも優位な状況。

コンサドーレにとっては
まさに千歳一隅のチャンスであった。


ファイナル初のコンサドーレと5度目のフロンターレ。

経験の差という言葉では片付けたくはないが、
延長前半9分の福森選手の勝ち越しゴールの後から、
延長後半4分の小林選手の同点ゴールまでの展開を見ると
そういった側面はあったのかもしれない。




悔しい


雰囲気はどうだったのか?
正直、分からない。
とにかく必死だった。


ただ、北海道コンサドーレ札幌
サポーター 一同の声援が、
選手たちに届いた。
そして、それに結果で応えてくれた。


そう思えるゴールが、この決勝の舞台でも生まれた。


終了間際の88分に川崎の小林選手が得点を挙げ、
2-1で川崎フロンターレがリードする展開。


アディショナルタイムは4分で、
時計の針は94分30秒を回る。


まさしく、ラスト1プレーだった。
フロンターレが先にボールに触った瞬間
試合終了だ。

そんなラストチャンスは
鈴木武蔵選手の粘りから、
獲得したコーナーキック


すると、進藤選手らが、

〝一緒に戦ってくれ〟
〝声援をくれ〟

そう言うかのように
コンサドーレのゴール裏をあおる。

一段と声を張り上げるコンサドーレサポーター


〝絶対に点が入る〟

根拠はないが
確信にも満ちた
思いしかなかった。


俺らは知ってるぜ 
仲間信じ 一つになって 闘う強さを
さあ 行こうぜ 道は険しくても
突き進め 世界を切り拓け

歌う歌詞に呼応するかのように
険しい展開の中、道を切り開いてくれたのは
福森選手からのボールに頭で合わせた
深井選手だった。


スタジアムで応援していると、
こういった奇跡と奇跡が
重なり合うような瞬間が
極まれに起きる。


この成功体験を一度
経験したサポーターは
次の奇跡を渇望し
応援の沼にハマる

スタジアムで喜びの
感情が爆発する瞬間


それは、日常では
決して味わうことのできない
至福の時間なのだ。

写真3


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届かなかった頂点

勝者はフロンターレ
敗者はコンサドーレ

カップ戦のファイナルは、残酷なまでに
コントラストを映し出す。

この悔しさを決して忘れず、
一層強くなるしかないのだろう。

写真4


同点ゴールを挙げた深井選手は試合後のインタビューで

「この舞台に間違いなく来年も来たいなと思うし、今度は笑ってカップを掲げられるようにしたい。自分たちは若いので、また来年戻ってきたいと思います」



小学生の頃からコンサドーレの下部組織で育つ、
不屈の漢の何とも嬉しい言葉だ。


そして、その舞台には
この選手もピッチ上に無くてはならない。


札幌一筋12年目
キャプテンであり背番号10番を背負う〝俺たちの10番〟宮澤裕樹選手。

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また、素晴らしい雰囲気を作るために、先陣に立って
奔走し続ける、USを中心とした皆さんお疲れ様でした。



次の機会を絶対にもう一度、作ろう
そして、次こそコンサドーレが勝つ。
必ず


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