児童養護施設時代(3)中学生・後編


はるき×心理カウンセラー  です。


前回の中学生・前編の
続きを書いていきます。
興味のある方は、先にそちらを読んでみてください。


後編は身体の変化(二次性徴)に対しての、
自己嫌悪の様子を書きます。
身体の変化は、性同一性障害(トランスジェンダー)当事者の1番ネックとなる部分です。
身体の否定から自己否定してしまうことも、
少なくありません。

自己否定や自己嫌悪から、

「うつ病」
「躁うつ病」
「パニック障害」

などと言った、精神疾患を患う方々が多いです。
中学生の時分は、「うつ病」でした。

社会人になってからは「躁うつ病」と診断がおりてました。
どちらの時分も、自分自身では全く気付いていませんでした…

今の状態で大丈夫だろうか?
そう、自分のことを気にかけるということすら
出来なかったんです。



後編(中学2年生〜)



ついにその時がきてしまった。
二次性徴が始まった。

「僕には起こらないでほしい」
「いつ変化してしまうんだろう」
「身体が変わってしまったら、どうしたら良い…」


施設内の女の子たちの身体が変化していくのを
目の当たりにして、
毎日毎日、


「変化なんて起きない。起きてたまるか」


身体が変化することが怖かった。
それなのに(生物学的には自然なんだろうけど)
勝手に変わっていく。

何とかして、変化を止めたかった。
何とかして、変化した部分を戻したかった。

風呂に入る時や着替えの時は特に、
胸がある事を強制的に認識させられて、
変わってしまう現実に打ちのめされた。

変化を止めるために、


「健康的じゃなくなれば、身体は変化しない」


と聞けば、米しか食べないようにしたり
食べる量を激減させたり、3日間くらい断食で
口にするのは水だけだったり。

この時は常に空腹状態で、

「定量よりも食べすぎたな」


と思った時は、食べたものを吐き出す
ということもしばしば。

結局、身体の変化は止められず
変化した胸も小さくならず、
栄養失調で倒れたので、食事での変化は諦めた。

次に胸を隠すために試したのは
(外見で胸が無いように見せるために)

  • 猫背

  • サイズの大きい服(SサイズだがLLを着る)

  • 布ガムテープ
    (1人では巻けないけど、1回巻くとペッタンコがキープできた。もちろん、巻いたままシャワーです。
    が、数日経つと洗えない部分がかゆくなったり、かぶれたので断念)

  • サラシ
    (何度やっても締め付け加減が分からず、酸欠状態になったことが何度も…)


この時は性同一性障害の治療に関する知識は、
全くありませんでした。

胸を抑えるための

「ナベシャツ」


というのを知ったのは、20歳ころだったかな。
なのでサラシ以外にも小さめの腹巻きや、サランラップなど色々試した。

そうこうしてる間にも、身体の変化は進んでいく。

生理が始まった…

胸が大きくなっていることでも、相当なダメージ
なのに。
自分の身体に対する嫌悪感が、

「女の身体のオレは気持ち悪い」


自分自身への嫌悪感に変わっていった。

血が出るのにそのまましておく訳にはいかず、
なくなく生理用品を使う。
この上ない屈辱。
発狂しそうになった。
(急に叫びだすことは有りました)

精神的にギリギリで、
胸や子宮を切り落とすことを常に考えていた。
けど、実際問題

「切り落としたあと、どうやって止血すれば
   良いんだろう?」

「切り落とした乳首は、ちゃんとくっ付くのか?」

「腹を切り開いたあとに、子宮とか卵巣を自力で
   取り出せるのか?」

って考えても手段が思いつかず、結局できなかった。

その代わりに代償行為に近いかたちで

自傷行為


に進んでしまった。
自分を傷つけることで精神的に

①どうしたら良いんだよ?もう嫌だ。
身体を消したい。存在したくない。

②自傷行為

③身体を戻す方法はないのか?

①〜③を繰り返すように。


ある日の夕方、金八先生の再放送。
上戸彩さんが出ていた時のシリーズを観ていて。

「この人の役、何か今のオレと似ている…?」


かじりつくように見入った。

性同一性障害


初めて聞く単語。
だけど、


「オレは間違いなく、これだ!」



確信が持てた。
医者に聞いた訳でも、話した訳でもないけど。
確信が持てたからと言って、状態は変わらず続いていて。
とうとう、メンタルクリニックに連れて行かれた。
(児童相談所と繋がりのある精神科医)


初回面談で発した言葉は、


「オレに構うな」

だけ。

「話したところで何か変わる訳ねぇだろ」


「なんか頭のオカシイ子ども、って思ってるんだろ?」


「あなた、なんて呼んで女の子扱いするんじゃねぇよ」


終始イライラしっぱなしで、不機嫌オーラ全開。
(先生、失礼極まりなくて本当にごめんなさい)
終わりの時間になって、次回の予約を取って帰園。

そして2回目のカウンセリング。
しばらく無言が続いて、先生が言ったひとこと。


「キミ、性同一性障害の事で悩んでるんじゃない?」


ビックリした。
唐突に言われたのも有るかもだけど。
内心、

「誰にも話したこと無いのになぜ?」

と思っているのが、顔に出ていたみたいで。
身体を元に戻す方法や、戸籍の性別の取り扱い変更について、説明してくれた。
その当時の生活環境と法律に触れる部分を考慮して

  • 今は何も出来ないこと(年齢的に)

  • 治療が始められる年齢になったら最初にやる事

  • 戸籍の性別の取り扱い変更までに掛かる、期間と費用

的確にアドバイスをくれた。
この先生と出会わなかったらきっと、今の僕は
居ないと断言出来る。


それから数ヶ月後、
僕は養護施設から児童自立支援施設に移ることになった。
2年間に渡る引きこもり状態に、強制的に
終わりが訪れた。



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