見出し画像

子ども同士の「共主体」を育てるには、「仲立ち」が必要だと思う

子どもが中心の「共主体」の保育へ」を読んでみた〜その2

「日本の保育をアップデート!」というキーワードがすごく気に入っています。日本の保育はいいところも多いけど、ちょっと違和感を感じることがよくあります。そこをアップデートしていきたいと僕は思っています。

前回の記事はこちら。

前回の記事の中では、「主体性」について考えてみました。
 その「主体性」は、当然ながら、子どもだけでなく、大人である保育者にも存在します。わかりやすくいうと、「子どもにこうしてほしいな」と考えていること。

1.子どもの「主体性」と「保育者」の主体性の関係性が保育の中で問題になりやすい。

子どもにも保育者にも「主体性」が存在するということは、この二つが同じ方向を向くことあれば、逆方向に向くこともあるということ。
 二つの「主体性」が逆方向に向いた時の対応のときに、保育の中で対応に迷ったり、課題に感じやすい時ではないかと思います。例えば、
・子ども→「やりたい」、保育者→「やらせたくない」
・子ども→「やりたくない」、保育者→「やってほしい」 など
このような場面では、お互いの「主体性」が衝突している状況といえます。

このようなイメージになりますね

このような「主体性」の衝突を解決する時には、それぞれの「主体性」のバランスが大切になってきます。
どういうことかというと、
保育者の「主体性」が大きくなりすぎると

上からの命令という状態になります。
逆に、子どもの「主体性」が大きくなりすぎると

子どもの言いなり、放任保育になります。
どちらもバランスが良くないですね。

2.では、どうやって「主体性」の衝突を解決したら良いのか?

結論から言うと
「その子の最善の利益を考える」になります。
その子の最善の利益って・・・具体的にはどう言うこと!?ってなりますね。
現在の姿のまま受け入れるのか、少し先のその子の課題を見越して関わるのかなどいろいろな関わりの選択肢に思考を巡らし、その中で「今、一番いいと思われる関わりをする」ことだと思っています。
そしてできるだけ、子どもと対話しながら、お互いが折り合える着地点を見つけていこうとすることだと思います。

このことがこの本のタイトルにも出てくる「共主体」ということです。

3.「共主体」とは、どういうこと?

この本のキーワード、「共主体」について話をしたいと思います。
「共主体」とは、それぞれの主張が極力生かされるように考え合うプロセスのことだそうです。
つまり、遊びや生活の中で出てきた課題をみんなで対話しながら、考えを出し合って、解決することになります。
先ほどの子どもと保育者の「主体性」が衝突したときも、対話しながら考えを出し合えばいいということです。
実際保育しているとかなり難しいのですが、こういうマインドセットで子どもと関わっていくことが、子どもにとっても、保育者の能力(質)の向上にもいいのではないかと思い、日々子ども達と関わっています。

4.子ども同士の主体性の衝突もある!

園では、たくさんの子ども達が生活しているので、子ども同士の主体性の衝突もよく起こります。
これが、園(集団)で生活することのメリットにもなります。
こういう衝突を日々乗り越えていくことで、生きる力を培っていったり、D&Iのマインドセットを育んでいくと思います。
いろいろな意見の人がいて、それを認め、課題を解決していく経験が、将来の世界の平和につながっていくと僕は信じています。
そのためには保育者の関わりに気をつけなくてはならない点があります。
それは
子ども同士の主体性の衝突が起きた時に、保育者が仲裁に入ったりしないこと。
「悪いのはこっち」や「ゴメンネ」を言わせて解決する方法のことです。

こんな関わりでは共主体は育たない

これでは、子ども達の主体性を奪ってしまうし、保育者の価値観に合わせることになるので、子ども一人ひとりの多様性も認めていないことになると思う。

5.では、共主体を育てるような関わりとは、「仲立ち」すること

前回の記事でも述べたとおり子どもの「主体性」は発展途上にある状態です。
つまり、子ども達は集団の中でお互いに「主体性」を出し合い、それを磨きあっているのです。
そのため、「主体性」を出し合ったあとには(これが主体性の衝突の原因)、磨き合う必要があるのです。
どうやって「主体性」を磨くのかというと、葛藤や対話する経験を重ねていくことで、折り合える方法を探していくことです。
具体的な保育者の関わりとしては、お互いの主張(主体性)の交通整理や通訳をする感覚で関わるといいのではないかと思います。
これが「仲立ち」という関わり方だと僕は認識しています。
こうやって仲立ちしていくことで、子どもと一緒に主体性の衝突を解決していくことが、「共主体」を育てることだと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?