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保育士の悩み!子ども同士のケンカ、いつ介入するべき?

保育の現場では、子どもたち同士の意見の対立や言い合いが日常的に発生します。特に、5歳児のクラスでは自己主張が強くなり、簡単には譲らない場面も多く見られます。
今回は、昼寝後のクラスで発生した具体的な対立場面を振り返り、担任の僕がどのタイミングでどのように介入すべきかを考えたことについてお話しします。


1.状況の説明

昼寝後の5歳児クラスでのことです。
ロール状のゴザを片付ける時間になり、AとBの二人の子どもがそれぞれ異なる意見を持って行動し始めました。

 Aの行動: まだ横になっている子がいたため、通常とは反対側からゴザを巻き始めました。
 Bの行動: Aがゴザを巻き始めた後、横になっている子の側で待機していました。しかし、Aがゴザを巻いてくるのを見て、Bは「こっちからだよ」と主張しました。

この時点で、二人の間で以下のようなやりとりが始まりました。


2.AとBのやりとりの詳細

B: 「こっちからだよ!」
A: 「どっちでもいいんだよ。」

(横になっている子を挟んで言い合いが始まる)

B: 「こっちからやるのが正しいのに!」
A: 「そんなの関係ないよ。巻ければいいんだ。」

ここで私は、横になっている子の場所を変え、「どうしようね」と声をかけてみました。
結局、AがBを押し切って最後まで巻きました。

ゴザを運ぶ際にも再び対立が生じました。Aが他の子2人とゴザを持ち上げて運ぼうとすると、Bがゴザの上から抑えて抵抗しました。

: 「一緒に運べばいいんじゃない?」

しかし、Bはそのまま動かず、Aを含む3人でゴザとBを片付け場所まで運びました。その後、再びAとBが言い合いになります。

B: 「両方やるなんてずるい!」
A: 「両方(ゴザ2本)やってないよ!」

: 「Bが言っていることは、ゴザを巻くのと運ぶのを両方やるのがずるいってこと?」
B: 「そう!」

A: 「でも、いつもみんなやってるよ。」
B: 「でもずるい。ひとりでやったじゃん。」
A: 「最初はCも一緒に巻いたよ。いなくなったけど。」

B: 「上靴と靴下履かないのもいけない。」
A: 「履いてるよ、見て。」

B: 「さっきまで履いてなかったよ。」
A: 「最初から履いてたもん。巻くのやりたいから、急いで支度したもん。」
B: 「履いてなかった。」

上靴と靴下のことは水掛け論になりそうだったので、
私は「Aはどうやら履いてたんだって。」と話を一度整理しました。


3.介入の試みと上位目標の意識

私はこのやりとりを通じて、二人の意見や感情を整理しながら、以前本を読んだ工藤勇一校長の提唱する「上位目標を意識する」ことを考えました。
具体的には以下のように話を進めました。

: 「Bは待ってたから巻きたかったんだよね。ずるいと思ったんだよね。運ぶのもやりたかったんだよね。」
: 「Aはまだ横になっている子がいたから考えていつもと違う方から巻き始めたんだよね。巻くのも運ぶのもやっていいと思ったんだよね。」

二人とも頷きました。
僕は、「二人の言いたいことは間違っていないし、そうだと思う。二人の思っていることが違っただけだね。」と伝えました。

その上で、二人に上位目標を意識してもらえるように話しました。


: 「先生から二人にこうすると良かったかもって話をしてもいい?」

 : 「Bは待ってたのに巻くことができなくて、怒れたよね。でもね、ゴザを運ぶ時は一緒に運んだら、運びたいという気持ちは満たされたんじゃないかな?」
: 「AはBにごちゃごちゃ言われてイライラしたよね。でもね、Bに『一緒に運ぼう』と言えたら気持ちよく運べたんじゃないんかな?」


4.振り返りと今後の課題

この場面での僕の介入について振り返ると、正しいタイミングで介入できたかどうかには疑問が残ります。
ゴザを運ぶ前に子どもたちのやりとりを整理して解決策を提示する方法もあったかもしれませんが、その場合、僕が主導して解決する形になりかねませんでした。
こどもたち自身の意見を尊重し、対話を促すことが大切だと考えています。

一方で、今回のように後で振り返る形で伝える方法では、こどもたちが納得するまでには時間がかかるかもしれません。
こうした場面での介入のタイミングについては、今後もさらに考えていきたいと思っています。


みなさんなら、こうした場面でどう介入し、どのように解決への道筋を示しますか?ぜひ、みなさんの考えや経験をお聞かせください。

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