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読書記録34📚「炎の塔」五十嵐貴久

<あらすじ>
銀座のランドマーク「ファルコンタワー」。高さ450メートルを誇る日本一の超高層ビルが完成した。オープンの初日、タワーには震災を生き抜いた親子、重病を克服した夫婦、禁断の恋に落ちた教師と女子高生、離婚問題に直面する夫婦など、様々な事情を抱える人たちが訪れていた。そんな彼らに未曾有の大火災が襲いかかった。通称“ギンイチ”銀座第一消防署の若き女性消防士・神谷夏美は猛威をふるう炎の中、死を賭した任務に出動するが―。完璧だったはずの防火設備はなぜ破綻したのか?最上階に取り残された人々の運命は?想像を絶する焔と人間の戦いを描く極上エンターテインメント!


<レビュー>
⭐️⭐️⭐️⭐️
超高層タワーがオープン初日に火事になる話。こういう生死を問われる危機一髪シーン多めの物語は映画で見た方がいいな。迫力が出るし。(当たり前)

タワーの高層部はホテルになっていて、様々な背景を抱えた宿泊客が登場してくる。最初は宿泊客を始め色んな人が出てきすぎて混乱するというか、覚えられるかな~汗汗って感じ。ただ話が進むにつれ、タワー全体に火事が広がって次々に人が死んでいく展開で一気読みできるのでこいつ誰やっけ状態にはならなかった。

東野圭吾のマスカレードホテルを読んだ時も思ったけど、ホテルが舞台になっている物語って色んな事情を抱えた宿泊客が登場、時には客同士のやり取りが出てくる等、ストーリーの幅が広がって読み応えが出てきておもしろいよね。


↓以下ネタバレ
なんとか助かる人と、容赦なく火災に巻き込まれて亡くなってしまう人が出てきます。

タワー創設者の社長はかなりパワハラ系の性格悪い男。自分だけ助かろうと障がい者用エレベーターに乗って逃げようとする。途中爆発に巻き込まれてエレベーターごと落下して死亡するのですが、逆に汚い助かり方をしたけど社会的制裁を受けて人生終わる。的なオチにしてほしかったな~。


そして個人的ベスト涙ポロリシーンは、夫ががんを克服してこれからは2人で健康に幸せに暮らしていこうという記念でホテル宿泊に来た老夫婦のお話。大勢の子供達と老夫婦が一緒に荷物搬入用の大型エレベーターに乗って下に降りるのですが、途中で折れた柱に引っかかってエレベーターが止まってしまいます。そこで夫が犠牲になって柱に飛び移り、その柱ごと落下。エレベーターはそのおかげで下降するので妻と子供達は全員助かる。妻のおばあちゃんが行かないで!と乞うけど、おじいちゃんは約50年前の2人が初めて出会った時の呼び名で優しく説得して、そして意を決して飛び降りる場面は、今こうやって書いてるだけでも涙が出てくるくらい切ないシーンでした。この老夫婦には生還してほしかった😢


没入感があって夢中で読めるけど、火災が沈下してから取り残された人たちが救助されるまでのクライマックスにどうしても雑さを感じてしまって、⭐️4つです。

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