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読書記録31📚「向日葵の咲かない夏」道尾秀介

<あらすじ> 
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。


<レビュー>
⭐️⭐️⭐️⭐️

ネタバレ含みます。



一言で言えばサイコパス小説ですね。


主人公が亡くなった妹の遺骨を今でもコップに入れてラップして毎日飾ってる、というような物語の始まり方で、え、なんかおかしくない…?って言う違和感を覚える。



その後も、なんか…登場人物全員が頭おかしいな〜、頭の片隅にずっと「?」がある。例えば若干3歳の妹のミカがこんなにしっかりしているはずがないし、自殺したS君だけ何故ずっとイニシャルなのか、そしてS君は蜘蛛となって復活してミチオの前に現れたというあり得ない設定、担任の岩村先生の異常な性癖の話や、ミチオの母親がヒステリックで家がずっとゴミ屋敷状態な理由、などなど終始色んな「?」や違和感が付き纏います。早く種明かしが見たい、スッキリしたいと、ページが進む進む😅
割と分厚い小説ですが、速攻で読み終わった。




あとは表現描写がグロテスクで怖かった。犬猫の変異死体だとか自殺したS君の首が吊られている様子だとか。不気味やな〜一人で家で読むの若干怖いな〜、と思いながらもクライマックスどうなるのかで結局ガンガン読んでいきましたが。


作家の名前が道尾秀介、そして主人公の名前がミチオ君。主人公に作者自身の名前を持ってきていることに気づき、私の嫌いな村上龍の「限りなく透明に近いブルー」も、主人公の名前がリュウという設定だったな〜ということを思い出した。考え方一緒やんってなって、やっぱり頭おかしい系の小説書く人は思考が似てるんかなって少し思った。


オードリー若林は確かエッセイの中で、この「限りなく透明に近いブルー」を称賛していたな、自分とは好みが合わんな〜って感じたこともついでに思い出した。




妹のミカが3歳にしてはしっかりしすぎだった理由はミカが人間ではなくトカゲで、皆気づかないのにクラスメートのスミダさんだけが何故か蜘蛛になったS君に気づいた理由は、スミダさんは人間ではなくユリの花だったから。



というように、主人公のミチオが実は一番のサイコパスで動物や植物に対して人間のように接していることがわかり、その瞬間終始つきまとう「?」がスッキリする箇所もあります。


ただ岩村先生の異常な性癖や、S君の作文の中の目玉を食べる王様の不気味な話など、特に何の回収もされていなくてただただ不気味なだけのシーンも結構あってがっかり。


実は、道尾秀介作の「カラスの親指」という小説も、見取り図リリーが読んでおもろかったって言ってたから図書館で予約しちゃってるんですが読むべきかなぁってなってる、連続で気持ち悪い表現が多い作品を読むのは少しきついな〜😂

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