憧れの誕生日ディズニー(長文)

筆者は人混みが苦手である。理由はシンプル。疲れるからである。

しかし、筆者はそれと同時に「人がたくさん集まるであろう場所」が好きだ。例を出すと、好きなアイドルのライブやサッカー観戦といったところだろう。アイドルやサッカー選手の姿を見にいくだけでなく、アイドルのライブなら会場が満員になりアイドルとファンがコール&レスポンスでポジティブな気持ちをぶつけ合ったり、ファンがペンライトを振っている光景。サッカー観戦ならゴール裏にいるサポーターを始め、アウェイチームのサポーターを含めた会場全体の熱気が大好きだ。というように、人がたくさん集まりそれによって生まれる現象、空気が大好きだ。(ただし、ライブもサッカー観戦も、行った後の疲労は当然計り知れない)

さて、題名の通り、筆者は「誕生日ディズニー」というものに憧れていた。意味はそのまま、誕生日にディズニーリゾートに行く。というものである。筆者は先ほど言った通り「人がたくさん集まるであろう場所」が好きである。ディズニーリゾートも例に漏れずに大好きで行きたい場所だ。理由としては、幸せそうな人がとても多いから。というものだろう。家族や友人、恋人に無理やり連れてこられたという人もきっと一定数いるだろうが、大多数は来たくて来ているだろうし、ディズニーリゾートに行くという予定のおかげでこれまで頑張ってこられたという人だと思う。筆者は幸せな人を見ると幸せになるので、たくさん人がいるというデメリットとも言えるものも言い換えればたくさん幸せな人を見ることができるというメリットになる。

しかし、ディズニーリゾートはそれをいうには少し、いやかなり人が多すぎる。夏休みやクリスマス、お正月、イースターなどのイベント期は幸せがどうとか感じる前に筆者は倒れる。

そんなディズニーリゾートで1年を通して一番空いているのではないかと言われるのが一月の下旬の平日だ。理由としてはクリスマスやお正月のイベント期間を過ぎ、集客力のあるイベントがほとんどないから。と、ディズニーリゾート専門のブログに書いてあった。ミニーマウスのパレードはあるが、誕生日とかではなく期間中なら何日でもやっているので、人が集中することはないらしい。そして、偶然にも筆者の誕生日は一月の下旬にある。これは行くしかない。そう思ったのが前年の9月。ホテルや食事、チケットの予約ができるようになるのが2、3ヶ月前だったため、どのタイミングで予約ができるのかを調べその日になれば予約し、万全の状態でその日を待った。

一緒に行く母と夜行バスに乗る。今回の誕生日ディズニーは全て筆者がお金を払うと決めたので、前乗りなどはできない。朝一番からパーク内で遊べてしかも安上がりな夜行バスを使って東京に向かう。筆者は楽しみなことがある前日はうまく眠れないタイプだが、この日はすぐ入眠。目が覚めた頃にはもう少しでディズニーリゾートという状況。ディズニーリゾ―トの看板を見ようとカーテンと窓の間に入ると、看板が朝日に照らされオレンジにもピンク色にも見え、とても幻想的な光景だった。すでに夢の国に入っているんだと胸が熱くなり、何もしていないのに楽しくなる。

宿泊する「ホテルミラコスタ」にて荷物を預けるついでに朝食を取る。フカフカの大きいソファで食べるブッフェスタイルの朝食は何というか優雅というやつで、世にいう「お金持ち」ではない筆者はお金持ちっぽいなと充実感に浸りながら食後のティータイムを楽しむ。

食事も終わりそろそろ入場列に並ぶかとディズニーシーの入場口に向かうとすでに長蛇の列。そう、この日はダッフィー&フレンズのイベントが始まった日だったようで人が多かった。その情報は前の週に調べた時に頭に入っていたので、アトラクションだと思いながら並ぶ。色々な帽子やカチューシャを被りながら楽しそうに喋る人々。頭に情報が入り過ぎて疲れはあるものの、幸せが溢れた空間に筆者も自然と笑顔になる。

入場時間になり入っていく。被り物を買い、奥へ歩いていくとディズニーシーといえばの火山と池。それを背景に母と自撮りをしながら胸の高鳴りを感じる。

他のゲスト(入園者)が目的の場所へ歩いていく中、ディズニーに来たんだと噛み締めながら池の前で母と立ち尽くす。「とりあえずソアリンに行ってみよう。」と歩き出すと、さすがは人気アトラクション。すでに人がたくさん並んでいる。

しかし、筆者は今回のディズニーではお金を出し惜しみしないと決めていたため、「プレミアアクセス」というお金を払えば列に並ばなくていいシステムを利用し時間帯を予約。その時間が来るまでの間に行きたかった「海底2万マイル」へ。幼稚園児の時に泣き叫んだこのアトラクションで20歳を迎えた「大人」である筆者はリベンジを果たそうと乗り込んだのである。ちなみに結果は惨敗で、母の手を握りしめながら耳を塞ぎ目を瞑っていた。

さて、待望の「ソアリン」はというと、とても楽しいアトラクションだった。五感で楽しむアトラクションで、怖いところや内臓の浮く感覚があったが周りの人は何もなく楽しんでいたし、筆者もそれがあった上でとても楽しく感じた。

さて、それが終わって次に向かったのは筆者が一番楽しみにしていた「アクアトピア」である。「アクアトピア」とは、水上でレールに沿って走るボートのようなものに乗るアトラクション。子供の時から大好きだったこのアトラクションのためにディズニーシーに来たと言っても過言ではない。筆者は水が好きだ。プールで泳ぐことや海で足だけつけて走ることも。そして、アクアトピアは怖い要素も危ないことも何もない。予定調和が好きで安全第一の筆者にとってレールを見れば次に何が起きるかわかるこのアトラクションほど純粋に楽しめるものはディズニーシーにあまりない。そして、その大きな期待を「アクアトピア」は一切裏切らず、本当に楽しかった。またディズニーに行った時は5回くらい乗りたい。

次に乗った「ニモ&フレンズ・シーライダー」も楽しかった。映像を見ながら椅子が動くアトラクションなのだが、映像のニモという魚を追いかけていくのでニモの動きを見れば次にどんな動きをするのかわかる。最後までそのルールは破られず、とても楽しいアトラクションだった。

さて、昼のパレードはミニーマウス主役の水上パレードだった。踊りがあるらしく放送がかかっていたが何も聞き取れなかったため何となくキャラクターたちを見ながら楽しく踊っていたが、船の上からミッキーマウスが手を振ってくれたため、それがメインの思い出になっている。そして、一番記憶に残っているのはパレードが始まっているのにその脇の道にいるせいで全然人が集まっていないピノキオ集団だった。少し遅れてパレードを見に行った筆者は通りすがったため遭遇できたが、なぜあのタイミングであの場所にいたのか。ピノキオファンの人たちは近くにいたしピノキオに目線をもらって手も振られたので筆者としては幸せだったが不思議だった。

その後、船の上のミッキーマウスを忘れられない筆者はミッキーに会いに行った。結構並んだが、あのミッキーマウスに会えると思うとその時間は全く苦ではなかった。いざ対面すると喋ることが出来ない筆者にミッキーはハイタッチしてくれて、筆者の着けて行ったダッフィーというぬいぐるみの手袋に反応してくれた。ダッフィーはミニーマウスがミッキーマウスにプレゼントしたテディベアという知識だけはあった筆者が喋れないなりに着けていったのだが、作戦は成功した。ミッキーは全然声が出ない人間に優しくしてくれ、無事一緒に写真を撮ってくれた。本当に素晴らしい思い出である。

ここから夕方までの記憶はない。ざっと2時間ほどだろうか。きっと疲れは溜まっていたからどこかで休憩でもしていたのかもしれない。筆者の中で次の記憶はホテルミラコスタでチェックインする直前だった。筆者が自分でチェックインすることはあまりないので緊張したが無事に終わり、部屋に入ってから夜ご飯を食べに「オチェーアノ」へ向かった。

これは全くの偶然だったのだが「オチェーアノ」ではダッフィー&フレンズをメインにしたビュッフェが行われており、可愛らしいデザートが並んでいた。ブッフェのメニューも子ども舌の筆者と相性がとても良く幸せだったが、さらに幸せだったのは誕生日のケーキと記念品、記念撮影のサービスだ。いや、自分で申し込んでお金を払ったわけだが、それにしても幸せな時間だった。

ご飯が終わると夜のショーを見に池へ向かう。「ビリーヴ!」というショーだった。このショーは素晴らしいショーだった。素晴らしいという言葉以外で表すのは難しいが、音も光も演出も胸を満たし、何かが溢れ出てくる。口を開けたまま見ていた気がする。ショーを見た後はうまく言語化できず言葉にできなかったし、それは今も同じだ。価値観をも変えてしまうパワーがあると感じた。

さて、それが終わり筆者はすぐに部屋へ帰った。なぜなら、翌日はディズニーランドに行くからである。母と楽しかったと言い合いながら眠りにつく。その日は夢も見なかった。それほどに疲れていたんだろうが、アドレナリンのようなものが出ていてそれを感じなかった。

朝は軽くご飯を食べてコインロッカーにリュックなど大きい荷物を預けディズニーランドへ向かう。この日は行きたいアトラクションが複数あったが、最初は母が行きたがっていた「ベイマックスのハッピーライド」に乗ることにした。朝イチだったが既に多くの人が並んでいて、実際1時間ほど待った。が、その時間さえも素晴らしいものとなった。アトラクションはベイマックスというキャラクターが先導する乗り物に乗るというもので、その時間は約1分半。その間、ランダムに曲が流れる仕様。その曲が本当に秀逸だった。自然と体が乗ってしまうようなアップテンポな曲で、ディズニーランドにいるからこそのハイテンションととてもマッチした。キャストの方が踊っているダンスを真似しているとすぐに時間が経過していき、気づいた時には乗り込む場所はすぐそこ。待ち時間を退屈にさせない素晴らしい策と感じた。アトラクション自体は動線は何となくわかるのに予測できない動きで左右に振られ内臓まで遠心力で左右に動く感覚がある苦手なものだったが、母はとても楽しんでいたし、筆者自身ももう一度乗ってもいいかなと感じるポジティブな印象だった。

その後、こちらもよく並んでいる「美女と野獣」のアトラクションへ乗るため「プレミアアクセス」の予約をして向かったのは「ピーターパン」のアトラクション。こちらは筆者の大好きな、この後何が起きるかわかるタイプのアトラクションで、安心して物語を辿っていくことができた。子ども用だからと舐めてかかって「空飛ぶダンボ」という自由に高さを調節できるアトラクションや回転木馬にも乗ったが、高所恐怖症により怖い思いをした。回転木馬の馬から降りられなかったのは数ヶ月経った今でも苦い思い出である。

さて、そこで時間を潰せば筆者が一番楽しみにしていた昼ごはんの時間である。「クリスタルパレス・レストラン」というビュッフェ形式のレストランを予約していたのだった。結果を言うと、とても良かった。メニューは「オチェーアノ」に続いて筆者の口にあっていて、キャラクターをモチーフにしたメニューでは視覚でも楽しめた。ディズニーランドといえばのチュロスも食べることができたし、腹も満たせたので百点満点である。

レストランを出ると、ちょうど人々が昼のパレードの場所取りをしていた。と言ってもパレードまでまだまだ時間はあったため、最前列に座って待つことにした。そこで母と話しながら過ごした時間はただの休憩時間かと思いきや、半日を振り返ることでアトラクションと感じる。「夢の国」は、雑談さえも一つのイベントに変えた。

パレードでは結構近くでミッキーマウスやプーさんに手を振ってもらうことができた。ミッキーマウスからのお手振りは自分へのものと思えるが、きっとその周辺の人間は皆そう思っているだろう。スターたちの凄さを見ることができた時間だった。

さて、パレードが終わるとお待ちかねの「美女と野獣」である。ディズニーランドに来る前からその評判は聞いていた。皆素晴らしいと絶賛しており、友人からもその凄さを約束された。そこに並ぶ列はとてつもなく、「プレミアアクセス」を利用した筆者でさえ思ったより待った。しかし、待っている場所から作り込んであり作品を幼稚園の他のクラスがやっていた劇でしか知らない筆者も作品内の城に招かれたと感じるほどだった。しかし、作品の中へ入ってしまったとさらに深く感じたのはアトラクションに乗り込んでから。何があったのかは読んでいるみなさんが自分で体感してほしいが、筆者は作品を見たことがないのにしっかり感動して泣いてしまった。何というか、感動だけではなく多幸感に襲われて気づいたら目から涙が溢れてしまったのだ。最後の部屋は本当に幸せで、アトラクションに乗って良かったと強く感じたし、また乗りたいと思った。動画サイトなどで乗った人が上げている動画があるが、それを見ても感じられない、乗らなければいけない理由があるアトラクションだった。

その後は「イッツ・ア・スモールワールド」に乗った。ずっと「小さな世界」を聴きながら各地域をイメージした人形を見る10分のアトラクションだが、筆者は「小さな世界」という歌が好きなので聴くのは苦にならず、人形の中からキャラクターを見つけたり色んな人形を見たりするのが好きな上に、何より水の上に浮かぶボート型の乗り物に乗るために乗っている。基本的に好きな要素で作られているアトラクションである。

さて、今回ディズニーリゾートに来た期間はミニーマウスメインのイベント中だった。夜の「エレクトリカルパレード」という定番のパレードがなかったのも関係しているのか、この日は昼のパレードが二つあり、先ほどのパレードともう一つがミニーマウスをメインにしたパレードだった。構成は前日のディズニーシーで見た昼の水上パレードとほぼ同じだったため、音声が全く聞こえず踊れなかった前日のリベンジとなった。その日はしっかり聴くことができ、キャストの方が振り付けを教えてくれたのでしっかり踊ることができた。リベンジ大成功である。曲もとても好きだった。お手振りなどはもらえなかったが、とても満足した。筆者はディズニーリゾートの音楽ととても相性が良いようだ。

それが終わると「ジャングル・クルーズ」というこれまた大好きなアトラクションに乗った。これもボートに乗る、今度は屋外のアトラクション。ジャングルの中、動物を見ながら探検する。と言った内容だ。動物は模型だが船に乗る案内人のリアクションが面白い。この時乗った船の案内人は少し慣れていなかったが、それもまた楽しめる一つの要素である。

そこから出るともう外は薄暗くなっていて、母の食べたがっていたスモークターキーレッグを探すことになった。地図の通りに店に行くだけなのだが、なぜか辿り着けず。通りを一本間違えていることに少し経ってから気づきようやく店に着いた。そういうこともあるよ。と思っている優しい読者もいるかもしれないが、地図に現在地が表示されていてこれなのだ。落ち込む他ない。スモークターキーレッグはとてもおいしかった。食レポというやつが苦手な筆者はスモーキーなターキーのレッグという言葉が浮かんだが、とてもおいしかったので何とか説明したい。と、何とか絞り出した説明が「肉汁がしっかりあって食べるところがいっぱいあっておいしかった」と言ったところだった。ちなみに皮が好きな筆者はそこも良かった。あと、筆者はスモーキーなものが苦手なのだが、その筆者が美味しく食べることが出来たのでみなさんもぜひ食べてみてほしい。

それを食べ終える頃には筆者はクタクタで、もう歩ける元気はなく。ただミッキーマウスの顔を模したワッフルは絶対に食べたかったのでそのお店に行くと本当にすごい列。絶望を感じながら並ぶ。疲れすぎて泣きそうになったり心ここに在らずになったりしながら理性を何とか保っていると店の外の席に座っていた方に声をかけられ「もう食べ終わったので」と席を譲っていただいた。人の優しさに触れた瞬間だった。そこから1時間ほどで並んでくれていた母がワッフルを持ってきた。ワッフルはとても美味しく、すぐに食べ終えてしまった。また食べに行きたいが、次は元気な状態で行かなければと胸に誓っている。ワッフルを食べたらお腹が減ったのでご飯屋さんを探しているとポップコーン屋さんを見つけた。通り過ぎる人がたまにケースを首から下げていたことを思い出す。母にそれを話すと店の人に聞いてくれる。店の人によると各店舗ごとに色んなケースがあるのだそうで、「トイ・ストーリー」のケースが欲しかった筆者が母を介して聞くとすぐ近くの店にあるのだそう。すぐに向かってそのケースを購入。元のポップコーン屋さんに戻り塩味のポップコーンを入れてもらって近くのご飯屋さんの席に座る。母が荷物を置いて並んでくれるというのでBLTバーガーなるオシャレそうなものとコーラをお願いした。20分ほどして母が帰ってきてBLTバーガーを買ってきてくれた。ベーコン・レタス・トマトの頭文字でBLTらしく、ハンバーガー屋さんならどこにでも置いてある定番メニューらしい。味は定番になるのも頷ける美味しさで、野菜が苦手な筆者でも美味しく頂くことができた。

晩御飯を食べ終え、疲労困憊でそろそろ限界が近い筆者はもう帰ることに。最後にグッズだけ購入して荷物を預けてあるコインロッカーで荷物を回収して外に出ようとすると、ちょうど花火が。その場所には人もほとんどおらず、綺麗な花火をしっかり見ることができた。

帰りも夜行バスだったためバス停に歩いて行きベンチに座るとどっと疲れが押し寄せ、ぼーっとしながらポップコーンを口に運ぶ人間になった。ポップコーンを買っていて助かった。ポップコーンのおかげで意識を保っていたと言えるからだ。母と楽しかったねとほとんど内容のない感想を言い合いながらバスを待っていた時間は疲れがありしんどかったが、なんだかんだで楽しかった。夜行バスを待つ人を眺めながら、余韻に浸るというやつを無意識にしていたのだろう。

さて、長文になったが一泊二日の誕生日ディズニーの思い出をまとめることができた。とても中身の詰まった旅行だったし、一泊二日で省いた部分もあったのに筆者の中で長い文章になったのはディズニーリゾートが人気の理由の一つであるだろう。本当に楽しい思い出で、母に書いてほしいと頼まれて書いたこの文章は書いて良かったと心から思えるものとなった。人から見るとまとまりもあまりない駄文かもしれないが、今後段々とこの日の記憶が薄れていく筆者にとって映像以上に二日間に戻った感覚になれる文章であり書き終えた今も非常に満たされている。これからも旅をする度に文章を書きたいと思うきっかけにもなった。その意味でこの文章は素晴らしい文章であり、今後旅について書く度毎回そう思うのだろう。

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