修学旅行でディズニーへ行った話

筆者の中学三年時の修学旅行は二泊三日の東京旅だった。ディズニーランドはその二日目に予定されていて、同級生も筆者自身も皆それが修学旅行1番の楽しみだった。東京ディズニーリゾートは千葉にあるが、14、5歳のほとんどの生徒にとってそんなことはどうでもよく、東京旅行の目玉だったのだ。

筆者は絶叫マシンがとても苦手だ。内臓の浮く感じもそうだし、そもそも非常にビビリなので恐怖心が襲う。映像を見ながら椅子が動くタイプの絶叫マシンもどきは乗ることのできる数少ない絶叫系アトラクションである。そんな筆者はクラスに一つだけ作られた「絶叫マシンに乗れない生徒を集めた組」に属することになった。ということで、筆者を含む6人は他の組と少し違うディズニー計画を立てることになった。そうは言っても筆者は不登校だったため話し合いにはあまり参加できなかったが、筆者がたまに登校した日に筆者の希望を聞いてくれるような、優しい集団だった。

当日、筆者を含む6人はディズニーランドを非常に楽しんだわけだが、その楽しみ方が他の組とは少し違ったのでここに書いていこうと思う。ちなみに他の同級生は学生的な楽しみ方をしていてそれもまた羨ましく思っていたため、「楽しみ方は人それぞれ」である。

ディズニーランドに入園すると、他のほとんどの同級生は我先にと被り物のためグッズ売り場やアトラクションに走っていった。筆者の組は最初に安いと情報を手にしていたご飯屋さんに入り腹を満たした。その後我々もグッズ売り場に入っていったわけだが、6人全員被り物はいらないと一旦散り散りになって家族へのお土産を探して購入した。筆者は家族にチョコクランチと、自分のためにぬいぐるみを購入した。

各々お土産を購入するとディズニーランドの入り口入って右にあるコインロッカーに荷物を全て入れ、手ぶらになった。これが筆者としては少し面白かった。合理的というやつだろうか。

そこからはただただディズニーを楽しんだ。組の中でディズニーに詳しい子が最短で効率的に回る方法を考えてくれていて、それの通りに回るだけだった。絶叫系に行かないのでほとんど並ばずに済み、一番並んだのは「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」だったが、20分も並んだだろうか。待ち時間が少なかったため思ったより時間が余り、「ホーンテッドマンション」には三回乗った。

気づけば周りが暗くなりバスに戻る時間になっていた。「エレクトリカルパレード」を横に見ながら小走りでコインロッカーに向かい、荷物をしっかり回収してからバスに戻った。バスの時計を見ると集合時間の5分前。6人でホッと顔を見合わせた。他のバスにも誰も乗っていなかったがあと5分で集合時間。「マジカルバナナ」や「しりとり」で時間を潰したが、集合時間になっても誰も戻ってこない。集合時間の5分後になってようやく先生が顔を見せ、「ちゃんと戻ってきたのか、えらいな」と一言。先生の予想ではあと30分は皆戻ってこないぞと。6人で「ええー」と声を揃えながらマジカルバナナを続けたが、その時間もとても楽しかった。今20歳になってみると、その時間が一番貴重な「青春」だったと感じる。当時はなんとも思わなかったが、バスで近くに集まって座りながら口だけで遊んだ時間は何者にも変えられない価値ある時間だった。

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