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9,幻~世の中を知りたい方へ~

"飛び抜けたいな"と思った時に行く、美術館。

今回はその趣味の一つである芸術鑑賞の備忘録を書かせて頂きました。

常識を飛び越えた、未だ見ぬ世界を作り出すアーティスト達。

その世界観をご覧あれ。

東京都庭園美術館| 生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙

今回行かせて頂いた展覧会はこちら

私たちは、太古の昔にひとつの生命体として誕生して以来、刻々と変化する地球の過酷な環境に柔軟に適応することで進化を遂げ、高度な知性を獲得するに至りました。
その一方で、仮想現実に囲まれた日々の暮らしの中で、ともすれば自分たちが自然の一部であることさえ忘れがちです。
コロナ禍により、自然との新たな関わり方が求められている現在、私たちが本能的に有している感覚を取り戻す手段として、アートの役割が注目されています。意味や目的に縛られないアートは、私たち人間もまた、大きな生命の流れのなかにいることに気づかせてくれるからではないでしょうか。
本展は、緑豊かな自然に囲まれた旧朝香宮邸を舞台に、日本を代表する8人の現代作家たちの作品を通して、人間と自然との関係性を問い直す試みです。絵画、彫刻、映像、インスタレーションなど個性豊かな作品の数々は、私たちの意識の彼方にある世界の覆いをそっと外してみせてくれることでしょう。大都会の中に佇む小さな箱庭のようなこの邸宅で、私たちのなかにひそむ自然が甦る瞬間が到来するかもしれません。

この展覧会は実は12日までみたいですが、

行きそびれた方にも是非この記事を読んで”生命の庭”を味わって下さい。

今回はその中でも

いくつか目に止まった作品をご紹介します!

混血─その島にはまだ言葉がありませんでした

淺井裕介

当美術館に入ると一番最初に目に飛び込んでくるこの大作。

人間の様な生き物が画面全体に描かれています。

何かにお気づきでしょうか...?

この絵具、実は普通の絵の具ではないんです。

鹿の血なんです。

作者の淺井裕介さんは食猟師さんと鹿猟へ、
野生の鹿から血液をペットボトル約6本分採取してきただとか。

この人間の様な生物は鹿によって形をなしていたのだと、

まるで生態系を目の当たりにした様でした。

一見残酷に見える様な絵も、

もはや私達の日常を可視化したものでありました。

自然が不自然に、不自然が自然に

なってはいやしないかと、問いが頭から離れません。

鳥たちが見た夢

佐々木愛

真っ白で無機質と思われたこの作品。

題名を見た瞬間、心の騒つく音がしました。

まるで鳥籠の様な型のパネル。

その鳥籠の様な世界に広がる、あるはずのない大自然。

あぁ、これが鳥籠の中で鳥たちが見た夢だったのだろうか。

木々を飛び交い、大空に羽ばたきたかっただろうに。

儚い夢が私を激しく現実に引き戻しました。

知らないところで私は何者かを囲っていないだろうか。

どうか生命が封じ込められることがありませんように。

あなたと私の間に

※写真撮影不可の作品の為、画像なし

青木美歌

この作品は凸凹のあるガラスの球体がキラキラと光り輝くものでした。

暗い部屋で光り輝くそれは、何かの結晶の様で幻想的な世界感を放っていました。

しかし、しばらく見惚れていると

最近ニュースでイメージ図を見過ぎだせいか、

その美しい姿が病原体に見えてきたのです。

後で調べてみると、それは間違いではなかった様。

病原菌も私達と同じ生命をもつ物体だったことに気付かされます。

生命の庭-まとめ-

私達人間は時に自分が自然の一部である事を忘れがちです。

自然を守る、自然を保護する、自然を管理する、

この聞き慣れた言葉たちも、

まるで人間が自然界から抜け出してきたかの様です。

そんな我々は今、生命と生命のせめぎ合いの真只中にいます。

環境に応じて適応する者だけが生き残る。

抵抗ばかりではいけないなと、謙虚さを

そして感謝を改めて感じました。

最後に

恐縮ながら今回は勝手に美術館の感想をつらつら書かさせて頂きましたが、これは一意見にすぎません。

正直言葉にするのも、大切な何かを失ってしまう様で迷いました。

しかし、芸術作品は幻想であるかの様で、現実を客観視する事のできる貴重な存在です。

この素晴らしい作品を、素晴らしいメッセージを

とても自分だけでは抱えられません。

こうやって人に伝えなければ勿体無い、そう思ってnoteを書きました。

多くの方に届きますように、

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