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騒動3-サイレント・ネオ-boy meets girl-

ゴサクが頭を下げただけではおさまらない村人たちは、さらにゴサクに怒声を浴びせる。
「ゴサクさん、あんた何をしたか本当にわかっとるのか!? そもそもこの災厄の原因を作った張本人のサシャはどこにいるだべか! ララ提督の孫娘もここに呼んで、土下座でもさせねえとおさまりがつかねえべ!」
「さ、サシャはまだ5歳だぞ」
たじろぐゴサクだったが、村人の怒りは増すばかりだ。
「そんなの関係ねえだ、おさまりがつかねえぞ!」
ついには、村人数人がゴサクを取り囲んでもみくしゃにし、残りは 「ゴサクごときじゃ、役不足だべ。家に押し入ってサシャを捕まえちまえ!」 と殺気立って玄関の中に入ろうとした。

3

この時、玄関の前にぬっと現れて、村人の前に立ちふさがった男がいた。ムサシだった。
「だ、誰だおめえは!?」
180㎝の長身、筋肉質の体はひきしまって、肌は全体に日に焼けている。精悍な顔立ち、癖っけのある黒い髪、茶色がかかった黒い瞳の奥をギラリと怪しく光らせるムサシを見ると、村人はたじろいて後ずさり、ゴサクはあぜんとしていた。

「俺はムサシだ」
「ムサシだと……どこの者だか知らねえが、部外者は引っ込んでろ!」
村人の先頭に立たされた村長が、びくつきながらも声を張り上げた。「ああそうしたいんだけどな……ともかく、あんたたちも大勢で一人に詰め寄るのはよせよ」
「部外者には関係ねえ話だ!」
「まあ、部外者と言えば部外者だけどな。そうでないといえば、そうでもないんだ…」
「何が言いたいかわからないが、あんたには関係ねえ話だ。さあ、ゴサク、どう落とし前付けるだ!」
村人の一人がゴサクに顔を近づけ、血走った眼で睨みつけた。
「やめろよ!」
ムサシは語気を荒げると、その村人の肩を小突いた。
「そもそも、あんたたちは昨日の騒ぎでどこにいたのさ? いい男たちが逃げ惑って、集会所にでも避難して、喚き散らしていたのが関のヤマだろうよ!」
「そ、それは…」
「いいか、そのお前たちが罵る部外者たちが……女もいるが、その部外者が武器を持って戦ったんだ」
「し、しかし、それはサシャが原因で起きた…」
「サシャがいようがいまいが、村を襲われたら誰が戦うんだよ。あんたらじゃないのか!?」
「オラたちは畑を耕すのが仕事だべ、村を守るのはリムリの軍人の役目だべ」
「それで、そのリムリの軍人とやらはどこにいるんだよ!?」
「そ、それは……」
頭に血を上らせていた村人たちだったが、ムサシの登場に気勢をくじかれてしまった。 もともと争いごとを好まない平和好きの人たちである。みんなうつむいてしょんぼりしている。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(騒動/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。



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