サシャの秘密5-サイレント・ネオ-boy meets girl-
しかし、アルマンテのその姿勢があだとなり、ついに銃弾に倒れたのであった。
最前線の野戦病棟で手当てをしていたアルマンテは、北閥の陣地から放たれたCAのバズーカ弾を浴びて、病棟ごと消し飛んでしまったのである。
その報をララで聞いたゲンバ・オーウェンは後ろで手を組み「そうか」とだけ言ったという。
一方の妻であるサーシャは悲嘆にくれ、満足に食事もとらなくなった。
家にこもり、寝たきりになって、日に日にやせていった。
婿養子の死には顔色一つ変えなかったゲンバ・オーウェンだが、大事な一人娘の容態にはうろたえるばかりであった。
サーシャが寝たきりの寝室に毎晩のようにゲンバ・オーウェンは見舞いに訪れた。
その寝室の片隅では、3歳の子供が無邪気に積み木を重ねて遊んでいたのである。
サーシャの子供であり、ゲンバ・オーウェンの孫で、名前はサシャである。
窓の外を見つめるばかりで自分と口を聞こうともしないサーシャに、ゲンバ・オーウェンは何か食べるように懇願した。
しかし、サーシャはゲンバ・オーウェンの顔さえ見ようとしなかった。
ゲンバ・オーウェンは決まって泣き崩れ、座っている医師の膝元にすがりついた。
「どうか、医師殿、娘をお救いください。娘のためなら、ワシはこの命捧げてもいいのです!」
すると、3歳のサシャはおいおい泣いているゲンバ・オーウェンの頭を、”いいこ、いいこ”となでてなぐさめた。
まだサシャはまったく状況がわっていなかったのだ。
3歳の孫になぐさめられた老人ゲンバ・オーウェンは、今度はサシャを抱き寄せて泣きじゃくるのであった。
このようなやりとりが半年ほど続いた後、サーシャはついに死んでしまったのだった。
つづく…
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