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ムサシVS暴走テディ・D 6-サイレント・ネオ-boy meets girl-

サイレント・ネオ-boy meets girl-今夏完成、電子書籍で出版予定

ムサシは「もしそのサークル使いとやらに出会ったら、あんたならどうする?」とたずねた。
マギーは間髪入れずにつぶやいた。
「私なら迷わず逃げるさ…」

6

今、ムサシの前にサークル使いがいた。しかも、そのサークル使いがあやつるサークルの数は圧倒的だった。サークルはその名の通り円盤で、一つ一つは直径1mほどの薄い円形をしていた。もし一時代前の世紀であれば、UFOを目撃したと騒がれるだろう。色は白に近いが、わずかに鉛色をしている。その円盤一つ一つが意志を持ったかのようにひしめきあってうごめいており、まるで白い嵐に遭遇したようにさえ思えた。
先の第4次コロニー戦争で修羅場を経験していたムサシだったが、目の前の光景に戦慄を覚え、背筋に冷たい物を感じた。
「何とも壮観な眺めだな……できることなら、生きている間にお目にかかりたくなかったぜ……」
ムサシはつぶやきながらも、こうなれば考えるより、動くしかないと覚悟を決めた。一流と呼ばれるパイロットほど、このようにすぐに勘を働かせ、即決できる。

操縦パネルのボタンを押して、素早くレーザーライフルを抜くと、白い壁のように集まっていた空飛ぶサークルにビーム攻撃を放った。しかし、サークルは攻撃を予知していたかのようにその部分だけぽっかりと穴をあけて、攻撃をかわした。
ムサシは思わず口笛を吹くと、東に向かってネオを走らせた。
「こっちだ、一つ目!」
東は何にもない原っぱが広がっており、他を巻き込むことはない。何としても村の中での戦闘だけはさけなくてはならない。CAによって差はあるものの、2mを超す巨人が放つ一撃だけで、建物は崩壊してしまう。
「目障りな奴…消す!」
テディ・Dは叫ぶと、七色に明滅していたモノアイが怒ったように真紅にかわり、サイレント・ネオの後を追った。

ムサシは村から1㎞離れた原っぱの真ん中にくると、きびすをかえして実験機に向き直った。
見渡す限り東に平原が続いている場所で、背の高い雑草が緑の海のように広がって、風がふくたびに揺れ動いてた。
「こざかしいのよ!」
テディ・Dの声を合図にサークルが散開すると、おのおのがビーム攻撃を容赦なく放った。不気味なことに音は全くしなかった。背後からやられれば、気付くことなく灰となるだろう。
ムサシはネオに向かってくる光の矢に対して、驚異的な反応を見せて攻撃をかいくぐる。すでにアドレナリンが大量にムサシの頭を駆け巡り、開いた瞳孔に無数の白い矢が浮かんでいる。攻撃が間髪なく押し寄せるので、容易に反撃ができなかった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(ムサシVS暴走テディ・D・先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。


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