シャローンの初陣5-サイレント ネオ-ムーン ソング

西門30キロ地点にいるシャローンたちの目の前には平原が広がっていた。
平原ルートを取れば、西門までは直線でいくことができるため最も近道である。
しかし、相手からは丸見え、力戦では数が少ないキングダムの兵士には分が悪すぎる。
一方、平原の西には森林が広がっており、西門まで行くのには時間がかかるが姿を隠すことができる。
固唾をのんで兵士たちはシャローンの采配を待った。

間もなくシャローンは、水が流れるかの如く兵士に指示を出していく。
「シャルルのコンクエスト党は、平原を行って相手の主力を引き付けよ。
ミトの護衛隊は斥候隊に従って森を行き、西門を攻めよ!
その他の兵士はコンクエスト党の後詰とし、私と共に進軍する。以上だ!」
シャローンの言葉には反論は許さない強さがあった。
しかし、シャローンに最も近く、育ての親ともいうべきミトは反論した。
「はばかりながら…シャローン様、敵は我が軍の2倍の80機はいるとの報告。
それを、30機程度のコンクエスト党だけであたるは、正気の沙汰とは思えませぬ。ここは全軍森に入り、ゲリラ戦で勝機を見出すほかありませぬ。ご再考を…」
「じい…」シャローンは長老格のこの老人を愛着をもって、しばしばこう呼んでいた。
「ここは短期決戦以外に勝機はない。西門を守るシュミットは、口先でなりあがった小物である。キングダム兵の姿みれば心を無し、まもなく逃げ出すであろう!」
「しかし…」
「反論はゆるさぬ、出陣だ!」
シャローンの号令一下、後にシャローンの西門・電撃強襲作戦と語り継がれる戦闘の幕が切って落とされたのである。

第1話を掲載中

作業BGM



この記事が参加している募集

ご覧いただきありがとうございます!