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好きと得意が交錯する

9月のある晴れた風が心地よい朝、幼稚園までの道をいつものように歩いていると、息子がふと、シール帳の話を始めた。
どこの幼稚園にでもあるのだろうか。
出席の証として、毎日好きなシールを選んで自分で貼る、あの手帳のことである。

「クラスの◯◯くん、いつもシールを貼る場所を間違えるんだよ。9月なのに、11月や12月の所に貼るんやで。」

息子は間違うことがまるで信じられない、というような口調で言うから面白い。

そう、息子は数字が大好きだ。だから、カレンダーも大好きだ。

自然と、本能で?というとなんだかおかしいが、まだずっと小さかった頃から、数字に敏感に反応してきた。

散歩中もあらゆる数字に反応する。
だから数字を読むことが大好きだ。
そして得意でもある。積み重ねってすごい。


カレンダー好きの息子には、今まであらゆるカレンダーを与えてきた。日めくり、卓上のもの、スケジュール帳など。。。

日めくりカレンダーは好きな数字の所だけ先にめくられ、壁掛けカレンダーは眺めたのち、切り刻まれる。
卓上カレンダーは彼なりのルールで印がつけられたりしている。

幼稚園で使っている、シール帳も彼にとっては読み物だ。眺めだしたら、止まらない。

そんな息子だから、カレンダーの日付がわからないというのは、彼にとっては重大事項である。


私は
「そうだね。人には得意なこと、苦手なこと、それぞれあるからね。
君が苦手だけれど、〇〇くんが得意なこともあるでしょう?」
と、返した。

そうすると、息子は少し考えて
「〇〇くんが得意なのは電車やで」と答える。

”電車が得意?” 
おそらく、ここでの意味は〇〇くんは電車で遊ぶのが好き、ということ。

そうか、どうやら、得意ということと、好きということは彼の中では同じことなのか。
好き=得意??ではないよな、と思いつつも、私はさらに質問してみる。

「そしたら君の得意なことは何?」と聞くと、

「電車やろ。あとお水遊び。砂遊びも得意。
 公園で遊ぶのも、ブランコ乗るのも得意や」とたくさん挙げ始めた。(全部記憶できてないのが残念!)

それを聞いて、私は、この子には好きなことがたくさんあるのだなあと思った。そしてそれらを得意と言い切っていること、、、なんだか微笑ましい。

大人になった今、私にとっては 好き=得意 ではないと思う。
もちろん、好きなことは得意になることが多いだろうし、息子の数字好きが、数字を読むことを得意にしたのは確かだろう。

しかし、私の場合は、特に年齢を重ねてからは、
何かを”好き”というにはそのことについて知識がないと、口にしてはいけないように感じているし、
何かを“得意”だといえば、それに伴った生産物のようなものがないといけないように感じてしまう。

言葉の意味を検索してみると、
”好き”=心がひかれること、そのさま
”得意”=手慣れていて自信があり、上手であること
と出てくる。
このことからも、好き=得意 ではないように思う。

だからこそ今、4歳の息子にとって、好きと得意が同義であり、堂々と得意なものを答えるその姿が、
なんだか眩しくて、貴重なものに思える。

いつから、好きと得意を使い分け、
何かを好きとか得意とか表明することに壁を感じるようになったのだろう。
私も昔はこうだったのかなと思いを巡らす。

息子もいつかは使い分けるようになるのかな。
「得意っていうからには、、、」と思うようになるのかな。

今のように好きと得意が交錯していて、
自信たっぷりに好きなもなの=得意なものを、列挙できているこの瞬間を私が覚えていようと思う。

息子よ、得意がたくさんあっていいね!!

そんなことを思った清々しい朝の記録である。







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