死する場所 生きる場所
もしかしたら病かもしれない。と、医者の一言に耳傾けながら驚くこともなく、そうかもね。と、他人事のように頷く。自分はないだろうと思った勘など、勘以外のなにものでもなく。自分のものではないような体。今、動いている指先もあぐらをかいている足も私のものなのに、その中の姿をまるで知らない。何かが蠢いていても、何かが尽きようとしていても、すこぶる調子がいいのだとしてもわからない。ただ、この目に映るもの聞こえるもの触れるもの、その感覚の先に生じる心の模様のみが、わたしのものとして捉えられる