03:「トレゾール~魔法の宝箱~」

エミルは世界樹を目指して旅に出ます。
村を囲む森を抜け街へ出ました。
街には港があり貿易船が停泊するためお店も多く、栄えていました。

エミルは世界樹のある島へ渡るため船を探します。
しかし霧の島へ行きたいと言うと、みんな船を出すのを嫌がりました。
エミルが途方に暮れていると、一人の男の子が話しかけてきました。
「船を探してるのかい?」
「そうなんだ。だけど霧の島へは行かないと断られてしまって…。」
「そりゃそうだろうな。なんであんな島に行きたいんだ?」
「願いを叶える世界樹を目指しているんだ。」
「願いを叶える世界樹?…なあ、オレはジャックってんだ。知り合いの船に乗れるか交渉してやるよ。」
エミルはジャックと一緒に酒場へ向かいました。

酒場は昼でもにぎわっていました。
ジャックはわき目も降らずまっすぐ奥へ歩いて行きます。
店の奥のカウンターに、少女が一人腰かけていました。

「よお、エスメラルダ。」
「なんだい、ジャック。…そっちはみない顔だね。」
「僕はエミルっていうんだ。」
「エミル、よろしくな。ところでジャック。親父さんに頼まれた船はあと3日は来ないよ。」
「今日は親父の使いっ走りじゃないんだ。」
ジャックはエスメラルダの耳に口を寄せてから続けました。
「…霧の島に行きたいんだ。」
「霧の島だって!?正気かい!?」
「シーッ!声が大きいよ!エミルが霧の島にある世界樹に行きたいってんだ。」
「なんだってそんなところに…。」
「願いを叶える世界樹を目指しているんだ。」
「願いを叶える世界樹?…わかった。あたしが船を出してやるよ。」
エスメラルダはそう言って力強くうなずきました。

船旅は最初のうちは穏やかなものでしたが、霧の島が近づくにつれて波は荒れ、周囲には霧がたちこめました。
辺りは霧で真っ白で何も見えません。
舵を間違えば岩にぶつかり船はひとたまりもないでしょう。
エスメラルダは視界が悪く荒れた海を地図に描かれた岩を思い出して避けながら勘だけで進んでいきました。

続く・・・。


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