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アイ・アム・サム

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2001年のアメリカ映画。7歳程度の知能しか持ち得ない知的障害を抱えながらも、ひとり親での子育てに奮闘する父・サムと幼い娘との純粋な愛を、ビートルズの名曲に乗せて描いた感動のヒューマン・ドラマ作品です。原題 "I am Sam"。

出演は、主人公「サム」役に『デッドマン・ウォーキング』『ミスティック・リバー』のショーン・ペン、娘「ルーシー」役に『マイ・ボディガード』『シャーロットのおくりもの』のダコタ・ファニング、サムから依頼を受けるエリート弁護士「リタ」役に『スカーフェイス』『素晴らしき日』のミシェル・ファイファー、ほか。

監督は、『コリーナ、コリーナ』のジェシー・ネルソン。

ショーン・ペンの出演作にハズレなし!

ショーン・ペン―― この名を聞くと、わたしぐらいの世代の人間は、まず “マドンナと最初に結婚した人” という記憶が呼び起こされます。

結婚当時の写真。ショーン・ペン(左)とマドンナ(右)。

1984年の "Like a Virgin" で世界的ポップスターとなったマドンナが、翌1985年に結婚して大ニュースに。そのお相手が、当時25歳の俳優 ショーン・ペンだったのです。わたしがはじめて彼の名前を知ったのも、それがきっかけでした。

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マドンナとカップルだった80年代あたりは、度々警察のご厄介になるなど気性の激しい暴れん坊な面ばかりがメディアを賑わせている印象でした。しかし、その後は俳優としても監督としても充実したキャリアを重ねているようで、わたしのような映画ファンとしてはうれしい限り。

デッドマン・ウォーキング』(1995年)、泣いたなぁ。一度観たら忘れられない映画。ショーン・ペンはこの作品で、アカデミー主演男優賞に初ノミネート(*)されました。

* 惜しくも、受賞は『リービング・ラスベガス』のニコラス・ケイジ。

ミスティック・リバー』(2003年)も重いトーンの作品。ショーン・ペン演じる強面の父親が、信じ難い事実を突きつけられるシーンは真に迫るものがありました。4度目のノミネート(*)の末、彼はこの作品で初のアカデミー主演男優賞を受賞

*ショーン・ペンと[アカデミー賞]
デッドマン・ウォーキング(1995年)
 ☆主演男優賞:ノミネート
ギター弾きの恋(1999年)
 ☆主演男優賞:ノミネート
アイ・アム・サム(2001年)
 ☆主演男優賞:ノミネート
ミスティック・リバー(2003年)
 ★主演男優賞:受賞
ミルク(2008年)
 ★主演男優賞:受賞

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今や名実共に演技力抜群の性格俳優と言えるショーン・ペンが、3度目のオスカー・ノミネートを果たした作品が『アイ・アム・サム』。本作では、知的障害のため7歳と同等程度の知能しか持たない主人公「サム」を演じています。

サムを演じるショーン・ペン。どうしたら、こんな無垢な瞳が出来るのだろう?

○ あらすじ(ネタバレなし)
知的障害を抱えながらも男手ひとつで娘を育てるサム。しかし、成長に伴って子どもの知能の方が上回る。やがて、彼は家庭訪問に来たソーシャルワーカーに養育能力なしと判断され、娘を取り上げられてしまう。なおも愛娘と暮らしたいと願う彼は、女性弁護士と共に奮闘する。

(Google『アイ・アム・サム』ナレッジパネルより)
無垢な魂(サム)と、無垢な魂(ルーシー)。純粋に互いを愛する父娘。

これが涙なしで観られようか……!(うるうる)

スターバックスで働くサム。弁護士のリタ(ミシェル・ファイファー)と。

「知」は持ち合わせていなくても、愛娘ルーシーと愛情の絆で結ばれているサム。一方、エリート弁護士というある意味「知」に特化した職業に就きながらも、家庭生活は八方塞がりのリタ。

二人の対比と友情が、時にコミカルに、時にあたたかく描かれます。

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わたしはこれまでの経験上、作品の出演者に「ショーン・ペン」とあれば、無条件に「むむっ?……期待度アーップ!」と思ってしまいます♩ いまのところ、ハズレなし

共演陣も良いです♩

○ ダコタ・ファニング

ルーシー役のダコタ・ファニング。弱冠7歳。天才か!

サムの娘「ルーシー・ダイアモンド」を演じる、“ダコちゃん” ことダコタ・ファニングも良いです。大好きなパパだけれど、よそのお家のお父さんとちょっと違う。友達にもそれをからかわれる。賢い子どもなので、だんだん自分が父の知能を追い越しつつあることに気づいている――。

今、社会で注目されている「ヤング・ケアラー」的な側面も垣間見える役柄ですね。

家庭の事情により、周囲の同年齢の子たちよりも早く “忖度そんたく” することを身につけてしまったルーシー。7歳という年齢ながら大人びたさとい一面と、親の愛を一心に求める子どもらしい一面 ――複雑な役柄を見事に演じています。

ここで、いくら天才子役とはいえ、ダコちゃんの芸達者ぶりを前面に押し出してしまうと、いわゆる “お涙頂戴” のつまらない映画になってしまいそうなところですが、本作ではそうしなかった脚本&演出の匙加減にも好感が持てます。

ところで、大人になってからも活躍中のダコちゃんですが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)にも出ていたのね! わたし、観たのに! 気づかなかった!

「スパーン映画牧場」にいるヒッピーの一人、スクィーキー役

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○ ミシェル・ファイファー

「リタ」役を演じるミシェル・ファイファーも良いです!

ルーシーの親権を争うために、サムが依頼するエリート弁護士を演じています。絵に描いたような仕事の出来るキャリアウーマン。いつも忙しそうで、いつもイライラ。息子からは心を閉ざされている。

はじめは、お金もなく要領を得ないサムのことを “迷惑な依頼者” としてしか見ておらず、上辺だけ優しい言葉を掛けていたリタ。ビジネスでも、家庭でも、厚く堅い鎧を着ている彼女。

サムは傷ついてる人にとてもやさしい。

(鑑賞時の感想ツイートより)

リタの変化を見ていると、おのずと、彼女に影響を与えている「サムの人となり」が浮き彫りになる――というのが面白い。あるキャラクターによってメインのキャラクターが二次的に描写される。良い脚本と良い演技の賜物。

これぞまさしく「助演」!

ミシェル・ファイファーといえば、わたしが思い出すのはコレとコレ!

まずは、アル・パチーノと共演した『スカーフェイス』!

この美しさであーる。

そして、マーク・ロンソン&ブルーノ・マーズの "Uptown Funk"!

This hit, that ice cold
(この曲は超クールだぜ)
Michelle Pfieffer, that white gold
(ミシェル・ファイファーは白い肌に金髪のイイ女)

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○ ダイアン・ウィースト

ダイアン・ウィースト演じるサムのご近所さん「アニー」も、なかなか大事な役どころ。サムの家とは通りを挟んでお向かいに当たるので、慣れない育児に奮闘するサムに気づいて、最初に手を差し伸べてくれる相手。

ハンディキャップのあるサムにも理解できるように、育児のイロハを教えてくれたアニー。

実は彼女は自宅の外へ出るのが怖い「外出恐怖症」で、もう何年も、長いこと家の中だけで暮らしているのでした。

ここでも、アニーによってサムが助けられているように見えて

サムは傷ついてる人にとてもやさしい。

――なんですよね。誰かが誰かを助け、そしてまた、助けられている。だから、観ていてとてもあたたかい気持ちになる。

・・・

身体は成人男性でも、知能的な年齢は7歳程度のサム。しかし、れっきとしたルーシーの実の父親である――という本作の設定に、

「どうして子持ちに?」
「そんなこと実際、可能なの? 」
「新生児期~乳幼児期の育児なんて、いくらアニーのサポートがあったとしても、無理なのでは?」

なんてツッコミを入れたくなる気持ちもわからなくはないですが、きちんと映画の中でそれなりに納得のゆく説明がされているので、わたし個人としては観ていてそれほどモヤモヤすることはなかったです。

サントラは、オール・カヴァーのビートルズ♩

主人公サムがビートルズの大ファンで、マニア並みに詳しい――という物語なので、本作では多くのビートルズの楽曲が使われています。

なんたって、娘の名前も「ルーシー・ダイアモンド」だしね♩

サラ・マクラクランによる "Blackbird" とか、好きだなぁ。他にも、シェリル・クロウやベン・フォールズなど、いろいろなアーティストがビートルズのナンバーをカヴァーしています。

良いです。

作中のセリフも、ビートルズにちなんだものが頻出。

おまけ。

(つづき)セリフや音楽にビートルズの曲や歌詞を散りばめてるところも、素敵な演出だと思う。サムのお友達に見たことある顔が…と思ったら、『グリーン・マイル』であのクソ野郎(言葉は悪いが、そうとしか言いようがない。笑)を演じたダグ・ハッチソン! 役者ってすごいね。

(鑑賞時の感想ツイートより)
サムの友人「イフティ」を演じる、ダグ・ハッチソン(写真右)。本作では、憎めない、善良な人。
グリーンマイル』(1999年)では、コネで異動してきたトンデモ野郎(笑)「パーシー」を演じました。

作品でガラリと印象が異なるのも、役者さんの力量ですよね!


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もり はるひ
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