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宝塚花組『うたかたの恋』と数秘術で見たルドルフとマリー

ポスターにもルドルフの憂愁が色濃く出ています

潤色で現代人として共感できる作品に

 花組の『うたかたの恋』が今日で千秋楽を迎えます。ブログにアップするのが遅れましたが、私は花組に知人のお嬢さんがいらして、2度、生の舞台を見ています。正直、これまで生でも映像でも繰り返し見てきた作品だったので、知り合いがいなければスルーしようと思っていたくらいなのですが、見てよかった!! 初演バージョンとは全く印象が違い、現代人が共感できる作品に生まれ変わっていました。

 『うたかたの恋』1983年に初演され、これまで何度も全国ツアーや御園座など、別箱で上演されてきた柴田侑宏先生の名作を、小柳奈穂子先生が潤色・演出し、40年ぶりに大劇場の舞台で蘇るというので話題になりました。

麻実れいと遥くららの初演はメロドラマ色が強かった

 実は私、子供時代に麻実れいと遥くららの初演を2階の1列目で見ているんですね。その時の衝撃は今でも忘れられません。麻実れいは当時としては長身のスケールの大きな包容力のある大人の男役でした。30歳の皇太子よりもっと大人に見えたかもしれません。遥くららは男役から転身した娘役だったので、本人も悩んでいたようですが、高音が今ひとつでず、歌は得意ではなかったのですが、とにかく可愛らしかった!! あれだけ演技の上手い娘役は滅多に出てこないでしょう。

 初演の時はミュージカル「エリザベート」も上演されていなかったし、今のようにインターネットもなかったので、観客はマイヤーリンクの心中を純愛、悲恋として素直に受け止めることができました。シャルル・ボワイエの映画のイメージの延長で、メロドラマ色が強かった。ところが、インターネットが普及すると、いろいろな「美しくない舞台裏」の情報がネットで拡散されてしまいました。ウィーンに旅行に行った叔母は、ガイドから「不都合な真実」を教えてもらったそうです。

 宝塚の作品ですから、花組版も純愛の基本は変わりません。ですが、今回の小柳先生の脚本は、2番手の水美舞斗が演じるルドルフ皇太子の従兄弟・ジャン・サルヴァドルと3番手の永久輝 せあが演じるフェルディナンド大公の比重を重くし、彼らの恋も描いています。ハプスブルグ家の一員で皇族の彼らが、いずれも身分の低い女性と恋に落ちている様を描くことで、ハプスブルグ帝国と時代の乖離が感じられる作りになっていました。

憂愁の皇太子がハマり役だった柚香光

 主演の柚香光は繊細で細やかな芝居のできる人です。冒頭から「この人はきっと死ぬだろう」と思わせるような憂愁に満ちた表情をしていて、心中という結末が自然に感じられました。別箱公演もほとんど見ていますが、これまでで一番不幸に見えるルドルフでしたし、その役が柚香光にぴったりでした。逆に星風まどかのマリー・ヴェッツェラは初演よりも意志の強い女性、少女でありながらルドルフを守る母性愛を持ち合わせた女性として描かれていました。

マリーは意志の強い運命を選び取る女性に生まれ変わった

 二人が肉体的な関係を持つのは、これまでの脚本ではルドルフが一人で決めたことでした。ところが新バージョンでは、マリーと引き離されて自暴自棄になっていたルドルフを見て、マリーが「私は帰りません。私はあなたのものです」とキッパリ宣言するのです。このシーンがあることで、マリーは自殺願望のあったルドルフの巻き添えになったのではなく、自分の意志でルドルフと運命共同体になることを選んだのだということがわかります。マリーはより現代的な女性として描かれているのです。

「33」のルドルフは周囲から理解されにくい人物だった

 数秘術を扱う私としては、この二人のナンバーが気になります。そこで占ってみたところ、1858年8月21日生まれ、ルドルフ(Rudolf Franz Karl Joseph von Habsburg-Lothringen)のライフ・パス・ナンバー(人生の行程数)「33」、ディスタニー・ナンバー(運命数)「3」、ソウルナンバー「7」、パーソナリティナンバー「5」でした。

 一方、マリー(Marie Alexandrine Freiin von Vetsera)の方は、1871年3月19日生まれ。ライフ・パス・ナンバー(人生の行程数)「3」、ディスタニー・ナンバー(運命数)「4」、ソウルナンバーは「4」、パーソナリティナンバー「9」。

 ルドルフはライフパスがマスターナンバーの「33」なので、「3」の社交性、人生を楽しむ、クリエイティブな要素を持ちつつも、3をスケールアップして、精神性を加えた数なので、型破りで枠にはまらず、物事を根底から覆します。そのくせ、3+3は6ですから、愛、家庭を求め、空気を読むところがある。奉仕の人でもあります。実際に最も愛した娼婦のミッツィには死ぬ直前にも多額のお金を贈っています。「33」というナンバーはよく出れば大きな愛を地上に下ろすのですが、悪く出ると常識的な生き方ができず、自ら困難に突入し、普通に生きることができません。周囲の人から理解されにくい人物なのです。ルドルフを会った新聞記者のゼップス役の和海しょうが、ルドルフは外交のセンスはあるが、母親のエリザベートに似て夢想家で、地に足がついていないと語るところがあるのですが、それは「33」のルドルフを的確に表現しています。

マリーの際立った行動力がルドルフの背中を押した

 「33」は3が二つ並んだナンバー。マリーのライフパスは「3」ですから、二人は3の要素を持つ似たもの同士で、理解し合える間柄だったでしょう。基本的に出会いを楽しみ、社交性豊かで、人生を楽しみたいタイプです。ただ、マリーは真面目で堅実な「4」を2つ持っているので、年を経るに従って、地に足のついた生き方をができたかもしれません。ただ、際立っているのは、インテンシティーナンバー(重きをおいている行動)に「5」が10個もあること。これは際立った多さで、これまで見たことがありません。「5」は行動、変革がキーワード。ものすごく行動力のある人ですし、平凡な恋や人生を拒否する気持ちが強かったのでしょう。

遺体が発見されたのは二人の共通ナンバー「3」の日だった

 ルドルフとマリーが今の時代に出会ったいたら、皇室を離脱し、アメリカにでも逃避行して、お騒がせカップルとして、嫌われながらもしぶとく生き続けられたかもしれません。ですが、この二人の使命はおそらく、ハプスブルグを終わらせることだったのです。「3」という子供のような無邪気さで人生を楽しむナンバーを持つ二人。遺体となって発見されたのは、1889年1月30日、やはり「3」の日だでした。
 
 余談ですが、東京宝塚劇場のロビーに飾られたお雛様、とても綺麗でした。
3月3日、並べると「33」です。二人に共通のナンバーがここにも!! 運命を感じずにはいられません。


 


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