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「法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する」水野祐(@フィルムアート社)を読んでみた!

「法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する」水野祐(@フィルムアート社)を読んでみた!
 
JASRACのAI生成の著作権セミナーに出演されていた弁護士の水野祐さんのことがとても気になりました!
著作権についてかかわっておられる方で、クリエイティブコモンズという考え方が著作権の中にあるのですが、その日本での代表をおやりになりながら弁護士として活動されている方です!

そして一番共感したのは、この水野さんの発言がクリエイターに対するレスペクトと愛情をとても感じられたことなんです!
ということで興味を持った水野さん、何か著書を出されていないか?と調べて出て来たのが本書でした!2017年2月に発行されています。

それ以降コロナ禍となりAIの生成技術も同時に進化しており、いろんな状況が変わっているのは否めないのですが、

本書では水野さんはまずはそもそも論から語られています!この「そもそも論」は変化しないものです!なぜ法律があるのか?そして法律とはどういうことなのか?ということ。その考察から始まります!
同時に社会の状況の変化によって法律は変化していきます。その変化のスピードが加速している今、法律が現状に追いつかなくなっているという現実も加速しています!
新たな創造や技術革新(イノベーション)が生まれるたびに法律がこのままでいいのかと考える視点が必要になって来ます!

本書の題名でもある「法のデザイン」英語にすると「Legal Design」と言うのでしょうか?この法をデザインするという考え方がこれからますます大切になってくると思い、本書を書かれたのだと思います。

6年前の著書ですがここに、現在すごく話題になっているCHAT GPTを開発しているオープンAIのことが既に書かれています。創作者は、そもそも、新たなイノベーションを起こすことによって利益を得たいとか考えて創作をしているのではない!という前提があるのではないでしょうか?知的あるいは美的な好奇心のおもむくままに創作したら出来たみたいなことなのでは?その芽を周囲がつぶさないことこそが大切だと水野さんは考えておられます!

現在、日本映画「Winny」が公開されていますが、これの開発者は著作権をかいくぐって違法にDLするためのファイル交換ソフトを作ったわけじゃなく、これがあればさらに広い意味で便利だということで純粋に創作されたということを新聞記事で知りました!
その才能を周囲が「よってたかって」つぶしてしまった。
そんなことはあってはならないことなのに!というのがこの映画製作者たちの創作の原動力だったのではないでしょうか?
そして水野さんも同じような感情をいつも持って創作者と向き合っておられます!
著作権を扱う弁護士の先生方はそうしたポリシーを持って仕事に当たられているのでしょうか?福井健策さんという弁護士の先生のお話を聞いていてもいつもアーティストたちに寄り添っているのを感じます。

創作者は著作権で稼ぎたいという欲求みたいなものは、最初はないのでは?そして、創作者の思うこととして、より多くの人に見てもらいたい!という気持ちの方が大きいこともあるります。そんな気持ちがCC(クリエイティブ・コモンズ)という著作権表示の仕組みを生んだのではないでしょうか?無料で自由にお使いになっていいですが、一応、名前だけはクレジットしてくださいね、みたいな。
プログラミングの世界ですとGIT HUBなどに代表されるプログラムを公開してオープンアーキテクチャとしてみんなでそれをより良くしていくということが基本とされていたりする場所がその典型的な事例ではないでしょうか。その最たる事例が「LINUX」というOSの制作だったりします。

創造性とイノベーションを活かすために、どのような法体系にすればいいのか?ということを水野さんは真剣に考えておられます。
その総論から始まって、その後は具体的に、
1「音楽」、2「二次創作」、3「出版」、4「アート」、5「写真」、6「ゲーム」、7「ファッション」、8「アーカイブ」、9「ハードウェア」、10「不動産」、11「金融」、12「家族」、13「政治」と
多岐にわたっています。

時代に応じて変化する社会において、それぞれのジャンルが持つ現在の課題を認識しながら、うまく「法をデザイン」しなければいけない。
そして、その視点が全方向でなければならないという強い意志を感じさせてくれるものでした!

AI生成物の氾濫、CHAT-GPTが導入されてどうなるのか?を考える際に
本書はその「そもそも」について
考えさせてくれるものなのではないでしょうか?

 
 



 

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