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2023年1月3日『あまからカルテット』と友情

 年明け、高校の時の友人と会って、高校のある町で遊んだ。友人も町も変わっていたり変わらなかったり。それはそうか。ビルがなくなってタワーマンションの建設予定地になっていたり、商業施設がなくなっていたりした。友人は転職したり引っ越したりとさまざまだった。

帰ってきて、少し寂しくなった。また会えたことが嬉しいけれど、いつか会わなくなるのだろうなと思っているから。柚木麻子の『あまからカルテット』という小説を思い出した。大好きで何度も読み返している小説だ。同じ女子高に通っていた女性4人それぞれを描いた短編集で、4人は最強のチームワークを発揮していつもカバーし合う。セーフティネットになっている。私にはこれほど濃く、強い人間関係も、いつも会う仲良しメンバーもないけれど、昔からの友人に会うとこの本を思い出す。解説のことも。だれが文庫版の解説を書いていたのか忘れてしまったが、4人の友情は出産などで一時中断され、必ず集まれないときがくる、それでもまた再会するだろう、女の友情はそういうものだ、ということが書かれていた。高校生の時も大学生の時も実感できなかったが、今なら少しわかる気がする。女同士でなくても、年齢の違う集まりでも、何かがきっかけで簡単に会えなくなるのかもしれない。それがけっこう寂しい。ただ、『あまからカルテット』の最後には、あるきっかけでそれぞれが「一人」で難局を切り抜けなければならない時間がある。結局は一人なのかもしれない。でも、その「一人」の強さも背後に見える4人の関係も描かれていて好きだ。

会えなくなる、といえばコロナの流行もそうだ。私はコロナがとても怖いため、ここ1、2年はあまり友人、知人に会わなかった。でも今年友人に会えて、自分で思っているよりずっと会いたかったのだと思った。


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