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#14 ‘会社育て’ は ‘子育て’

思い通りにはいきません。

いつも思うのだが、会社は子どもに似ている
どんなに「こうあってほしい」と願っても、そんな思う通りにはいかないのである。特に初期は、なんでこんなことを始めたんだっけ?というくらい大変でも、始めてしまったのだから投げ出すわけにもいかない感じが、乳幼児期の小さな赤子を投げ出すわけにはいかないのとよく似ていた。生まれちゃったんだからしかたない!のだ。
2016年から2017年ごろ、当初5、6年目くらいにあったナラティブベースにはいろんな問題が起きていた。「こうありたい」「こんな場をつくりたい」と思う理想を追うわたしたちを、神様は「あなたがたの思う通りにはいきませんよ」と優しく嗜めた。

「リーダー保健室化」問題

まず、プロジェクト数が増えていけばいくほどチームリーダーが必要となり、問題はそのチームリーダーが「保健室化」していたことだ。「保健室化」とは何かというと、さまざまな背景や価値観、職能のフリーランスをまとめ上げる現場では、それぞれが持つ「あたりまえ」が違いすぎて、コミュニケーションの行き違いや、うまく擦り合わない合意でいろんな問題が起きていた。そして、その問題をメンバーがチームリーダーに日々持ちこみ「こんな困ったことが…」と相談に来るので、リーダーは本来行うべき業務に加え、「保健室業務」を抱え込むような状態になっていたのだ。そのころは私自身チームリーダーとしてたくさんのプロジェクトを担当していたし、他のリーダーを束ねる役割もしていたので、ひっきりなしに保健室に人が出入りするような毎日に目が回るような思いだった。当初は夕方になると自分の声がリフレインするくらい頭の中が輻輳状態で、あまりのカロリー消費に、おにぎりを食べてから夕食づくりにとりかかっていたくらいだった(笑)

「何屋か?」問題

一方、「ナラティブベースのありたい姿はわかるけど、外への説明の仕方がわからない!」と困るメンバーが続出していた。ありがたいことに、仕事は紹介で増えていったが、さまざまな職能のフリーランスが課題に合わせてチームを組む変幻自在な組織だったため、はっきり言ってしまえば「何でも屋」の状態で、端的に「どんなことができるのか?」、その提供価値を説明することが難しい。「どんな会社なの?」「何やってるの?」と聞かれたら、どうしたら、、、、みんなで頭を悩ませ、なんどもビジネスモデルキャンパスとにらめっこしながら、議論を何時間も何回もやっていた。
なんだけれども、そもそも「事業」より「組織」が先にあるので、うまく当てはまらない。「事業」のために「組織」をつくっていない。「組織」から「事業」が生まれているんだ…。「ビジネス」について、書けば書くほど後付け感が、、、こんな会社は珍しい。

母子一体化?!

そんな問題だらけのナラティブベースから、去る人もいた。頼りにしていたメンバーが去るときはわたしも辛い。このころは自分=ナラティブベース、ナラティブベース=自分、といった母子一体化状態だったので、人が離れていくたびに、「自分の何がいけなかったのか」「自分に魅力がないからだ」といちいち自分を否定して(もちろんそんな必要がないのは頭ではわかっていたが)落ち込んだ。
小さな子どもが悲しんで帰ってくると自分も悲しくなり、今日あったうれしかった話をしてくれると自分も嬉しくなる…そんな感覚ともよく似ていた。

子育てが忙しい時期は、みんな口を揃えて「記憶がない」と言うけれど、このころのことは、たしかに、あまり詳細を覚えていない。「駆け抜けた」といった感じだ。
「‘子育て’ は ‘自分育て’ 」とも言うが、私の場合、‘会社育て’  と ‘子育て’  が、あわせて ‘自分育て’ になっていった感じ。

まだまだ先の見えない果てしない感や、思う通りにならないイライラ感とともに、それでも会社は育っていった。

つづく

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