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#ファンタジー小説
【あつ森】World's End HappyBirthday もう1人の僕のエピローグ】
灯火も僕も、「もう一度」の人生。
灯火は恋を叶えて、それなら僕は?
新作短編です。
ワドハピ最終章の後日譚、雪くんのお話。
最終章と、灯火のエピローグはこちらです✨
1.氷の世界
四季咲 董子の誕生日、魔法の夜から1週間後。
僕ー『天野 雪』は、氷華さんに呼び出されて四季咲家を訪れていた。
遥か遠い昔に存在した、冬の精霊の氷の城を思わせる、白亜の洋館。
その奥の奥、氷華さん専用の応
【あつ森】World's End Happy Birthday【最終章 きみが好き エピローグ 君と創る世界】
🌟スペシャルエピローグ 君と創る世界は後半へ
最終章 きみが好き🌸
1.君と指輪
「灯火…!」
声の方向に視線を向けると、亡霊の斬撃が切り裂いたのだろうか、いつの間にか雪の作った結界に裂け目ができていた。
そこから董子が心配そうに覗きこんでいた。
「ずっと心配で…探してたの…。みんな傷だらけで痛そうだよ…。」
涙目になって声を震わせていた。董子がもっと早く来ていたら危なかったかも
【あつ森】World's End Happy Birthday【原作版 第4章 ワールズエンド】
第4章 ワールズエンド
「力を貸すって…どうやって?
そもそもどうして、雪は魔法が使えるの?」
いくら前世が魔術師だったからとはいえ、遥か昔に魔法が消えた世界で魔法が使えるのは疑問だった。
「2人とも、手を出して。」
雪は僕たちの手に、そっと綺麗な石を載せてきた。中でちらちらと光が蠢いているみたいで不思議だ。
光の石はぱあっと、
僕のはふんわりと光った。
「魔石だ。」
「は!?魔石!
【あつ森】World's End Happy Birthday【第0章 おわりのはじまりの世界✨】
むかしむかし、世界に魔法が存在した最後の時代が終わる頃ーー
春の精霊は、今年も春を届けに世界を巡っていました。
彼女の楽しみは、世界各地に飾られた沢山の絵を眺めることでした。
それはとある画家が、かつて春の精霊のために描いたものでした。
彼が世界に遺した愛のかたち。
絵を見つめるたびに、彼と一緒に過ごした日々や、彼が一生懸命に描く姿が蘇り、胸の中にあたたかな灯りが燈るようでした。
けれ
【あつ森】World's End Happy Birthday【0章 いつかお伽噺の王子様が】
YouTube映像版、3章の原作はこちらです✨
0章 いつかお伽噺の王子様が
1.
お伽噺の王子様なんて実在しない。
四季咲 董子(しきざき とーこ)の幼なじみである私、桜庭 泉(さくらば いずみ)は、そう思っていた。
董子が幼い頃からずっと待ち続けていたのに、17歳になる今まで、王子様は一向に現れなかったのだから。
四季咲 董子は、昔からほんわかした不思議な女の子で「私には前世の記憶が
【あつ森】World's End Happy Birthday【原作版 第3章 影と鳥籠】
第3章 影と鳥籠
1. 君の誕生日
今日は董子の誕生日。
夕方16時50分、僕は博物館前広場に到着した。
沈んでいく夕陽が空を菫色に染め始めていた。
すでに董子はベンチに座って待っていた。
本日の主役だったからか、可憐な花模様のスカートのバルーンワンピースに、ブラウンのレザーブーツ姿だった。
「お待たせ、董子。お誕生日おめでとう。」
僕がそう言うと、董子は僕をじっと見つめて不思議そ
【あつ森】World's End Happy Birthday【原作版 第2章②想いをかたちに】
第2章① 料理と音色(雪視点の2章)はこちらから。
第2章② 想いをかたちに
夕ご飯作りも失敗してしまって、散々だ…。
僕は自分の部屋のクッションに座って、溜息をついていた。
「灯火くん、あなた…。
本当に董子のことが好きなの?」
氷華さんの問いかけが頭の中でこだまする。
目を閉じると、この1年見つめてきた董子の姿が浮かんできた。
子猫みたいに無邪気で、かわいくて、側にいるとあたた
【あつ森】World's End Happy Birthday【原作版第2章①料理と音色】
第2章① 料理と音色
1.雪と氷華
四季咲 氷華、魔法時代の前世は、冬の精霊。
僕の前世、スノウとともに、魔法時代の世界を冬に閉じ込めたのだった。
「約束通りこれを渡すわ。」
氷華さんは白い布で覆われた包みを僕に差し出した。
「私のとても大事なものだけど、貴方が夢で見た状況を解決するために、特別に貸してあげる。」
両手で受け取るとずっしりと重かった。
「これは貴方の因縁よ。
しっか
【あつ森】World's End Happy Birthday 【原作版 第1章③ 蛇と蛙】
光の家からの帰り道、僕はトーカのことを考えながら、ぼんやりと川沿いの遊歩道を歩いていた。
董子と出会った1年前から、時々思い出すようになった前世のトーカの記憶。
絵を描くことも、トーコのことも、好きだったのは『トーカ』で、僕って一体なんなんだろう…。
川面に映る影のように、これまで灯火として生きてきた自分が揺らいでしまうようで、少しだけ辛くなる。
こんな思いをするなら、董子や雪のように、物
【あつ森】World's End Happy Birthday 【原作版 第1章②杖と前世】
第1章② 杖と前世
「灯火、いらっしゃい!」
春休み3日目、僕は光の家に遊びに来ていた。
光の親は大学教授で、家のそこかしこにいくつもの本棚が並んでいた。
光の部屋も例外ではなく、魔法関連の書籍がうず高く積まれ、怪しげな物が隙間からたくさん覗いていた。
「もう3年生か〜。灯火ってさ、絵も上手だし、成績もいいし、進路どうするの?」
「うーん。まだはっきり決めてなくて。」
絵を描くことは好
【あつ森】World's End Happy Birthday 【原作版 第1章①ドーナツとコーヒー】
プロローグ
第1章① ドーナツとコーヒー
兄の雪が工房を訪れていたのと丁度同じ頃、
双子の弟の僕ー灯火は、董子と並んで博物館前広場のベンチに座っていた。
僕たちはドーナツ屋さんで買ったドーナツに、博物館のカフェのコーヒーをテイクアウトして、おやつにするところだった。
董子はいちごドーナツと、ミルクとお砂糖たっぷりのコーヒー、僕はチョコドーナツとブラックコーヒーを選んだ。
あたたかな春の
【あつ森】World's End Happy Birthday 【プロローグ 雪と魔石】
プロローグ 雪と魔石
1.魔法のオーナメント工房
春休みの初日、僕は旅に出ていた。
行き先は、弟の灯火にも伝えていない。
家を前夜に出発して、目的の場所に辿り着いたのは今日の午後3時だった。
ここか、魔法のオーナメント工房跡…。
大昔は星のように輝く魔石がトロッコに積まれ、鮮やかな煙を噴き上げる大釜が並んでいたが、
今では沢山の歯車や配管で囲まれた、金属加工の工房が建っている。
建物の