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最近どう?ちせちゃんに聞いてみた 編

ついつい気になる隣のテーブルの話。

村上春樹の「カキフライ理論」ご存知だろうか。「原稿用紙3枚で自分のことについて書くにはどうしたらよいか」という読者からの相談に、村上氏は「カキフライ(コロッケでもメンチカツでもよい)と自分との距離を書くことで、自分自身を表現することができる」と語った。私はカキフライ理論者であるし、今こそこの考え方は社会に必要なのでは、と言いたい。というのも最近は猫も杓子も「啓発」「自己分析」「発信」。野心に溢れたプレゼン大会、論旨が通った140字も大いに結構、刺激的。ただ、個人的には常に前傾姿勢な他者の自己表現に対し息苦しさを感じるクチである。例えばコーヒーの一杯越し、もしくは枝豆をつまみながらに聞く最近の「プレーンな話」に滲むその人の人間性にこそ表現としての普遍的な強さを信じたい。

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というわけでこの記事は、私の友達に最近あったコトや思いについてプレーンに聞く、というもの。インタビュー記事!というより、「なんか隣のテーブルの人たちの話ちょっと面白いな…!」を再現することを目指します。
今回は同じ大学の、この前まで”世界一周旅行”に出掛けていたちせちゃんにいろいろ聞いてみた。「最近どう?」

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"絵画みたいだった白壁と窓と作業員(ドイツ)"

(春)ーこんにちは〜久しぶり!まずは…自己紹介をお願いしていいですか 。(笑)どういうことをやっているかとか。

(ち)筑波大学 比較文化学類 表現文化領域 文化創造論コース 戸川です(笑)。比文はそもそもなんでもやる文系みたいな感じなんだけど…文化創造論コースは特に自由で、アート/メディア系の自分の興味分野を研究していくようなところ!勝手に思ってるのは、文創は「比文は作品を作らない芸専(芸術専門学群 : 筑波大学の学部)」っていう側面が強いかな。

ーなるほど。俺はそうだったけど、芸専でも比文の授業とったことある人はかなり共感するかも。で、今回はこの前まで行ってたという世界一周旅行のことについて聞いてみたくて…どういうきっかけで行くことにしたの?

まず休学がしたくて。サークル引退して、就活して、卒論書いて、バイバイ!…って早すぎて心構えができないなと思って、1年間考える期間をつくりたいと思ったんだよね。で、何をする1年にするか決めないとって親に言われたんだけど…、旅行が好きだから、行きたいところに行けるだけ行こう!と思ったのね。…としたら(世界)一周がベストなのでは?みたいな。当初は「一生分の旅行をこの1年で!」くらいの気概だったかな(笑)。あとは…ピースボート(NGO ピースボートが主催するクルーズツアー)も考えたんだけど、思ったよりコスパが悪くて。ツアーに参加するより自力で何とかしたほうがいろんなところに行けるしお金も安く済みそうだと思って。

ーハンパない気概だー(笑)。なるほど、ツアー組んであるとその分組んである中でしか行動できないしね。

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"凧揚げ歴40年以上のベテランおじさん(トルコ)"

ー旅行してみての感想を「衣・食・住」で聞いてみようと思ったのだけど…まずは「衣」から。見た目的な話で、衣服に限らず「日本人旅行者」としての目線で見られることに関して印象に残っていることはある?

アジア圏以外の人から、アジア系で一緒くたにされることがあったかな。ホステルの部屋で台湾とか中国の人がいると他の地域の人からそういう接し方をされたり。外国人に対して見た目でカテゴライズするっていうのはともすると自分もやっちゃいそうになるんだけど、実際にやられると結構気分が悪かったから改めて気をつけないとなって。

ーそうなんだ…そういえば思い出したけどモスク的な場所で向こうの人の衣装を着ていたのだっけ。あれはどうだった?

あれはイランのモスクだね。女性はある程度の年齢になると「ヒジャブ」っていうスカーフみたいなもので頭とかを覆わないといけないんだけど、格式あるモスクに行く時は「チャドル」っていう全身を隠す布を纏わないといけないっていう。…邪魔なのよ(笑)。ヒジャブはまだしもチャドルは暑いし歩きづらいし…。でも現地の人は生まれた時からだから、普通なのかな。現地の人が着るときれいに見えたりしたよ。

イスラム感覚(高校の現代文の教科書に載っていた)思い出したなぁ。じゃあ、次に「食」について聞きたいんだけど、印象に残ってる「食」ってある?

イスラム圏とか、ヒンドゥー圏だと牛とか豚が食べられなくて。行く前は全然大丈夫じゃない?て思ってたんだけど、実際にもの自体が売ってもないとか現地で体験すると、ちょっと落ち込む?ところはあったよね。でも代わりに「ラクダの肉」食べれたりとか。臭くなくて、硬い牛肉みたいな感じで美味しかったよ。あとは、ヨーロッパはヴィーガンコーナーとかスーパーにあるのが普通で、レストランにもヴィーガン用のメニューがあったりするのが新鮮だった。ヴィーガンやりたい人が困らずやれる環境が整ってるなあって。

ー日本で普段食べていたもので、向こうで「本場のもの」食べてすごかった、とかは?

ドイツのエルディンガービールは、ビールってこんなに美味しくなれるんだ!と思ったくらい美味しかったのでおすすめ!

ーウワー気になる!じゃ最後に「住」。風習とか慣習、土地の雰囲気とかが印象深かった経験ってあるかな。

またイランの話なんだけど。イランのトイレって2パターンあって、洋式と、地面に穴があるだけみたいな和式に似ている感じのものとあるんだけど。なんでかっていうと、用を足すときにしゃがむ姿勢が人間として自然で、宗教上良いこととされていて…トイレまで戒律があるのかって思ったなぁ。水回り系でいうと、フランスとかは断水の時間っていうのが決まっていたりして、ライフラインに関して日本って豊かなんだなーと。あとは…モロッコとかは「中庭」がある家がステータスになっていて、ホステルもそれをウリにしていたりとか。スペインの「パティオ」とも似ていてそういう文化的な共通点が見られたのも面白いね。

ーパティオかぁ。つくばにも土地はいっぱいあるけどねぇ。

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"モスク(イラン)"

ー少しトピックを変えて。もう一度、今度はつくばの友達と一緒に旅行に行くならどこに行きたい?

つくばの友達?…東ヨーロッパかな。私カメラを途中で盗まれて(笑)、トルコから東ヨーロッパにかけての写真がなくなっちゃって、また行きたいと思っているんだけど。東ヨーロッパって戦争とか冷戦の跡がまだ濃く残っていたのね。今回は全然世界史とかを勉強しなおさずに行ってたから勉強しなおして行きたいと思うし、つくばの人って賢い人が多いからそういうことに関して喋れたら面白いかな。

ーじゃあ、つくば関係なく行きたい人と行くなら?

ムズイな…モロッコ!モロッコの客引きとかすごくしつこくて、ウゼっ!て思う回数が多かった(笑)。友達と行けばウザさも笑い話とかにして発散できるかも。

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"写真撮ってたら現地の人も撮ってて、綺麗だねって言い合った夕焼け(モロッコ)"

ー日本、つくばに帰ってきて、自分自身変わったなと感じることはある?それか、全然変わってないっていうところ。

基本的には全然変わってないけど…。認識として日本って安全な国だなって思うようになった。夜普通に歩けたりとか、ちょっとした場所取りに自分の荷物置いたりとか、他じゃ無理っていうことも怖くない。あとはお店の便利さとか。ヨーロッパでもメインの地区から外れると日曜日は全然営業してないのもザラで。日本だといつでもどこかしらやってるのが私としては嬉しい!と思っちゃう。向こうのほうが人間が「働く人目線」で動いてるって感じがしたな。私は「客目線」な感じかも(笑)。

ー最後に、これからのことについて。旅行期間が今後の生活の方針について与えた影響ってある?

旅行期間中って本当に暇なんだよね、自分が今日はどこにも行かないって決めたら何もしなくていいし。だからこそ「考える時間」がたくさんあって。外を見に行ったというよりも自分の内面と向き合う時間がただ続いたっていう感覚があるんだよね(笑)。でも気づきとして、職人さんとか屋台の人とか、「人が何かを作っている」のを見るのって好きだなって。あとは自分のために旅行してたけど、そこで見たものとか考えたこととかを人に共有したいって思うようになったかも。ひとりで考えててもわからないし、いろんな人と考える機会をつくるのっていいなぁって思った。

ーそうだね。俺も、就活とかでもそうだけど俺らの年になると自分ってどういう人間なんだろうとか一度は考えることになるんだなって最近思う。話題とかは何でも良くて、「考えて話し合う」っていうのを日常的に人とできたら焦らなくてもいいしもっと楽しいだろうなって。

うんうん。旅行中会う人たちと例えば「今日見た博物館」とか、いろんな話してて、そういうのいいなぁって思ったよ。

ー最後の最後、何か言いたいことがあれば。

自分が住んでる土地も、旅行しにきた気持ちで楽しもうとするといいかも!友達と行く時と違って、一人で旅行してる時って何か発見した時も、自分の中でぐるぐる考えるマインドになると思うのだけど、そういうのをここら辺でもできたら面白いなと思う!

ーめちゃいいね…深堀り、ディグるのって大切よね。

ディグる(笑)。そうだね!

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欲張りかつぐうたらなホームレス(ドイツ)

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というわけで今回はちせちゃんにいろいろ聞いてみました。留学や、普通の余暇旅行とも少し違った視点で、いろんな場所の話を聞くの新鮮で面白かったな。つくばでも、"旅をしよう隣人と"、ね。

2019 11.15 春々 (聞き手)

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とがわちせ (話し手 / 写真とキャプション)

筑波大学 比較文化学類 文化創造論コース

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