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はるきあるき〜深川江戸資料館編〜

この春から、商業空間のデザイナーとして働き始めた。学生時代が終わり「業界の人」となって早半年以上が過ぎたわけだが、1年目のド新米ペーペーにとっては毎日何もかも新しく、ぴよぴよ言いながら仕事してます。

とりわけ私が現在属している部署は博物館等の文化施設をメインで扱うチームである。個人的にはこのジャンル、非常に面白く感じている。展示を行う空間、情報を魅力的に伝えるために展示資料に文脈を与えて構成し、来場者の行動を先んじてプログラムする空間…学部時代はプロダクトデザインを専攻していたが、仕組みを考えてゆくと共通するところも大いにある気がしている。

しかし私、やはりまだ圧倒的に知識が足りない!学部時代から美術館はよく行っていたが、意外と博物館系の施設はそこまで多くをカバーしていなかったのだ。

「はるきあるき」と題したこのシリーズでは私が実際に体験した商業施設、文化施設、公園、イベント…などについてレポートしたいと思う。コロナの状況もあるため、様子を見つつ、少しづつやっていきまーす。さてシリーズ第1回目は「江戸深川資料館」、行ってきました!

1. 深川江戸資料館とは、清澄白河とは

資料館通り

↑深川江戸資料館通り

深川江戸資料館(ふかがわえどしりょうかん)は、東京都江東区立の江戸時代に関する資料等を収集、保存及び展示している資料館。公益財団法人江東区文化コミュニティ財団が指定管理者として、管理・運営している。(引用 : https://ja.wikipedia.org/wiki/深川江戸資料館)

徳川家康の時代、清澄白河は干潟であったらしく、干潟を開拓した弥兵衛という者の名字から後に清住町→深川清澄→清澄白河になったんだとか。江戸をフィーチャーした商店や施設が多いのと同時に、サードウェーブコーヒーの聖地にもなっているためカフェなどモダンな外観の建物も多く、双方が混在しており面白い町並みをつくっている。デートで行っても楽しいハズ。

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↑深川江戸資料館通りの公衆トイレ、「商い中」とのこと

駅から徒歩7分ほど、到着。さて、入っていきましょう!

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↑入口

2. バックトゥザ 江戸

深川江戸資料館の展示の魅力といえばなんと言っても江戸時代の街並みの1:1スケール再現である、ど迫力!

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↑表通り

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↑展示室の様子、デカイ空間はいいなぁ

街並みには解説パネル等はほとんど設置されておらず再現に徹しており、まさに江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚である。天保年間ごろの深川佐賀町という設定とのことで、当時の人々の生活史にクローズアップしている。例えば長屋に暮らす人々の設定もかなり細かく、時代背景を生活者の視点で読み解くことができる展示内容だ。

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↑このマークは?

館内にはボランティアガイドの方がいて、展示内容について詳しく解説してくれる。例えば長屋の玄関先に描かれていたこのマーク。お話を聞くと、この長屋に住むのは於し津さんという三味線の師匠、読み書きも近所の子供たちに教えているらしい。描かれているのは「杵」で、於し津さんは長唄三味線(歌舞伎音楽との関わりが深い三味線音楽の種類)の「杵屋」という系譜に属している、ということらしい。ちなみに、かの勝新太郎も杵屋である。彼の父は杵屋勝東治という長唄三味線方であり、勝自身にも「二代目杵屋勝丸」という芸名がある、なんてことまで教えてもらった。おもちろい。

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↑猫

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↑生木とのこと、樹脂含浸させたのかな

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↑奥まった道も歩けます

3. 舞台の主役になれそう

展示室内には堀がある。

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↑深川と木場をつなぐ堀とのこと

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↑上から見る、一直線にローホリRGB照明

この背面の壁、ローホリ照明ががたえずゆっくり色を変えつづけながら投射され、昼夜の移り変わりが表現されているのだ。加えて、展示室内ではときおり火の見櫓の鐘の音や猫の鳴き声、行商人の声などサウンドも聞こえてくる。展示室全体がまさに舞台装置といった感じだろうか。着物を着て鑑賞しているお客さんもいたが、なるほど様になっている。それもそのはず、映画「もういちど」(2014年 監督 板屋宏幸)では展示室がそのまま撮影セットとして用いられた、なんてこともあったらしい。ローテクではあるが、古さをそこまで感じさせない自然な手法だなと思った。

4. 密度のあるダイナミックさ

前述の通り、江戸時代にタイムスリップしたような圧巻の展示。しかし予備知識がないと「すげー」だけで終わってしまう感もなくはない。やはりボランティアガイドのおじさんの解説を聞きつつ街並みを歩くと、再現のスケールに圧倒されるだけではなくディティールに込められた想いを読み解くことができるので面白いのではないだろうか。そもそもこれだけの物量と規模であれば、資料の解説パネルをもっとたくさん置きたくなるのが研究者、学者ゴコロというもの。「読ませる展示」よりこの「江戸時代に入り込み体験して学ぶ展示」的コンセプトを貫くためには、デザイナーは多くのプロセスを踏む必要があったろうと個人的には推察する…。恐れ入ったね、粋だね!

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↑長屋の部屋の中、ストーリー詰まってます


ということで、「深川江戸資料館」でした。コロナ、てやんでい!収まりやがれ!________________________________________

深川江戸資料館:https://www.kcf.or.jp/fukagawa/



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