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風のうたコンサート・昼公演のとても長いレポ

ありがたくもご縁がありまして、昼公演に現地参加することができました。
本当に素敵な一日で。この日のことを、感じたことを忘れないようにと、自分の備忘録も兼ねてちまちま書いていたら、最終的に1万字を越えていました。
自分でも引くぐらいの文量です。おかしいだろ…これ、昼公演だけの分なんだぜ…。
お時間のある時に、お付き合いいただける方はどうぞお読みくださいませ。


1.会場内のこと

会場は玩具屋さんとして有名な、銀座の博品館劇場。
劇場があるのは知っていましたが、実際に入るのは初めてでした。
こじんまりとしたロビーに入ると、笑顔で迎えて下さっている眼鏡の男性が。
あれは…Twitterの写真でしかお見かけしたことないけれど、もしかしてプロデューサーの片岡さんではないだろうか!!
コンサート開催のこととか、一言お礼を言いたくてしばらく遠くから見つめていたものの、ずっとお客さんを迎えていらっしゃるし、いきなり話しかけるのも不審者丸出しだよな…と思い、お背中に念を送るだけにとどまりました。


会場に入って、薄くスモークが立たれているなか見渡してびっくりする。
座席が舞台に近い!!!
小さい箱だとは思っていたけど、これはすごく近い。オペラグラス持ってきたけど後ろの方でも普通に肉眼で演者さんのお顔が見えるぞ!!

そして会場内を流れるハンターのBGM。懐かしの佐橋さんのBGMがホール全体で聴ける喜びに、すでに情緒が揺さぶられて泣きそうになる。

Twitterによると、どうやら選曲はうえのさんご自身によるものだったようですね。
曲目は「ハンター×ハンターのテーマ〜伝説〜」「無邪気な挑戦者〜ゴンのテーマ〜」「魂魄のエレジー〜クラピカのテーマ〜」「アツいぜ!!〜レオリオのテーマ〜」「オレと遊ばない?〜キルアのテーマ〜」などなど。
あと「ゾルディック家の屋敷」「ハンターハンターのテーマ〜回想〜」「乾杯しよう!!」なども流れていたような。
正直、全部は思い出せていません。興奮で当時テンションがおかしいことになっていたので、合っているかもちょっと自信がないです。

今この空間に佐橋さんや松田さん(ネルケの社長さん)もいるんだよなぁ…と思いながら、席へと移動。
座席にはそれぞれ、チラシがいくつか置かれていました。
今回の風のうたコンサートのチラシには、セトリだけでなくうえのさんと片岡さんのメッセージも書かれていたので、早速見ようとしたところで、お隣の方に「落としましたよ」と小さなカードを渡されました。
なんだろう、とお礼を言いつつ受け取ったのは、小さすぎて思わず落としてしまっていた黄色いカード。手書きで「25th」と「うえのけいこ」の文字。

これ、昨晩うえのさんがTwitterに載せてらしたカードだ!!
ひえっ、直筆!!(ご家族様との)手作り品!!本物!!!
裏返すと、QRコードになっているようで。「すごいですよね。ここまで手の込んだことされていて」と、拾ってくださったお隣様としばらくお話をしました。
そちらの方は、当時ミュージカルを生でご観劇できたそうで。思い出話をいいなぁとお聞きしながら、今日この場に来れて本当に良かったですね、とお互いにしみじみと感じ入りました。
後ろに座った方々の会話からも「今日の出演者、本当にすごいよなぁ…」なんて声が聞こえてきて。
皆同じ気持ちなんだなぁ。

2.開演〜「風のうた」と「晴れた空お天気」


そしていよいよ開演。
「風のうた〜ホープアンドティアーズオブアイランド〜」のBGMに乗せながら、これまでの楽曲がスクリーンで振り返られていく。

幕が上がり、薄いスクリーン越しに見えるシルエット。
白いドレスの、AKANE LIVさんの姿だ。
コンサートタイトルにもなった、うえのさんのデビュー作「風のうた」
ミトさんの心情を歌い上げる力強くも、寂寥感のこもった、切ない歌声。
本田美奈子さんを最大限リスペクトされた上で、見事にご自身の歌唱として昇華されていました。
それに重なるように、スクリーンにはさまざまな風景が写って。
ゴンが旅していくであろう土地の数々。それを一人思いながら、くじら島で一人夜空を見上げるミトさんを想起させる演出でした。


大きな拍手の後、MCの木内さんが登場。フジ版ではバショウやマジタニを演じられていた役者さん。
コンサートの始まりと、コンサートタイトルの由来にもなった「風のうた」の紹介の後、次の曲が始まる。

軽やかな前奏とともに、ステージに灯った可愛い形のランプのライト。
「晴れた空お天気」。赤く可愛らしい衣装に身を包んだ鈴木真仁さんが登場。
想像していた通りの、なんと伸びやかな歌声。
「風のうた」ではさまざまな色に変わっていた会場のペンライトが、緑色を中心とした色合いに変わる。皆ハンターの、ゴンのイメージソングだってわかっているんだ。
同じ曲を知っている人がいるという喜びに、胸がいっぱいになりました。
元気いっぱいの、遠くまでどんどん歩いていけるような、鈴木さんの歌声が会場全体に突き抜けて聞こえて、気持ちがいい。
歌詞の大好きな部分「いつかきっと会えるから」の後、手を振りながら鈴木さんが最後に歌われた「やぁ!」がしみじみと胸に染み渡る。
やっと、会えたね。CDでしか聞いたことがなかったこの曲と、やっと、会えた。


3.ハンター・キャラソンパート


続いてはじまったのは、ゴンのキャラクターソング「風向きが変わったら」
ゴン役・順ちゃんこと竹内順子さんが緑色のドレスに身を包んで、笑顔で小さく両手を振りながら登場。
その時は、ファンに優しい可愛らしい順ちゃんの顔だったのに、歌い始めたら懐かしいゴンの声が聞こえてきました。
無邪気で前向きで、知らずたくさんの人を惹きつけるゴン。
そんな彼の約二十年前の歌を、大事に大事に歌ってくださってるのがわかりました。

間奏の時、舞台の階段をそっと降りて、腰掛けた順ちゃん。
会場に向かってゆっくりとリズムを刻みながら大きく手を振るその時の笑顔、その時に見えた順ちゃんの瞳が、キラキラと輝いていました。
まるで少年のように。
ゴンだ、と思った。ゴンがそこにいる。
ミュージカルのDVDで何度も見た。センターステージで伸びやかに歌っていた順ちゃん。
その姿を思い出しました。


歌い終わって会場に向かってお辞儀をした後、舞台の下手に向かって手を振る順ちゃん。
ピアノの音色が始まり、会場の照明がシックな落ち着いた紫に変わる。その中で暖色のランプが幻想的に灯る。
下手から現れたのは、キルア役の加奈ちゃんこと、三橋加奈子さん。
キルアのキャラソン「魔性の天使」は、当時のものはどちらかというと、幼く、あどけなさの残った可愛らしい少年声での歌唱という印象でした。

歌が始まって、思わず息を飲みました。「う、上手い!」
上手い。かっこいい。キルアだ。ハンター試験を経て、グリードアイランドを経て、ゴンと一緒に大きくなってきた、加奈ちゃんキルアの声だ。
素人目線なのに烏滸がましいですが、この二十数年間、芸能に磨きをかけ続けてきた加奈ちゃんの努力を感じました。
時折込み上げる感情を堪えるように胸を押さえて、振り絞るように歌われていたのに、こちらもまた胸が熱くなった。
数年前のニコ生の時もそうだった。
加奈ちゃん、この歌をずっと大事にしてくださって、ありがとう。


荘厳な曲の入り。照明が赤一色に染まる。
クラピカのキャラソン「祈り」のイントロだ。
黒いドレスに身を包んだクラピカ役・甲斐田ゆきさんがやってきて、照明の中に黄色が混じり始める。
フジ版ハンターのクラピカのグッズに使われていた黄色と、緋色の色だ。
会場も呼応するように、すぐさま赤と黄色のペンライトに変わる。
当時のクラピカのこの歌も、クラピカの地のトーンよりキーが高いことがあって、どちらかというと可愛らしい印象が強かったように感じていました。
そして奏でられた甲斐田さんの歌声を聞いて、戦慄しました。
なんて、力強い。なんてかっこいいんだ。
一族の復讐のため、一人で立とうとするクラピカの孤高な強さ。気高さ。
それらを体現するかのような歌声でした。
甲斐田さんは演技に入られると、途端にスイッチが入って別人のような印象を受ける役者さんで。
歌の合間に、普段の柔らかいご本人の雰囲気を覗かせるんですが、ひとたび歌のパートへ入ると、そこには色んな人の人生を狂わせていった、気高い甲斐田クラピカがいました。
ああ…なんて、格好いい。
感動で泣きそうになるたびに「だめだ!泣いたら前が見えなくなる!!」とぐっとマスクの下で唇を引き結んでいました。


…後からTwitterでの感想の検索と、配信で見返して気づきましたが、甲斐田さん、指にクラピカみたいなリングとチェーンのブレスレットつけてらっしゃいましたね!
ネイルも青と黄色。そんなところも、愛を感じて嬉しい。


「祈り」が終わった後、「いくぜー!!」と威勢の良い声が上がって、会場にレーザーライトが反射する。
それまでなかったマイクスタンドと共に照らされたのは、レオリオ役の郷田ほづみさん。
「DANCIN‘ヨーデルナイト」だ。
ミュージカルの時と相変わらずに、郷田さんは年を経てもなおスタイルがいい。
そして顔にかけているのは、見覚えのあるサングラス。
あの特徴的な形は…ミュージカルでかけられていた、サングラスだーーーー!!!
時に片手で危なげなく披露されるマイクパフォーマンス、会場内に響く歓声。
か、カッコ良すぎるーーーーーーー!!!!!
会場のペンライトは、レオリオのスーツの色によく使われていた、青や紫が多かったです。
年齢を感じさせない動きに皆大興奮。
そしてカッコよく歌い上げていたのに…突如、鳴り響く独特の楽器の音色。
一転して曲は、牧歌的なヨーデルへと変化。
カッコよく構えていた姿勢を直立させ、でもしっかり歌われるその心意気と先ほどまでとのギャップに、感動と笑いで会場から歓声が上がる。
そして何事もなかったかのように、ダンシングナイトに戻る曲。
ちゃんと最後の「ヨロレイヒ」も歌ってくださり、手が痛くなるほど拍手を送りました。

4.ハンター・ミュージカルパート


会場は暗転。スポットライトが舞台端を照らす。
再び登場した木内さんがナレーションを始める。
「聞け同胞よ 今復讐の時は 来ませう」
ミュージカルの曲の歌詞だ。
当初公開されていたセトリに、新たに追加されたマダム・イザベルのナンバー「復讐の時」
激しく点滅する照明の中で颯爽と現れたのは、フジ版ハンターではカイトやピエトロを演じられていた岸祐二さん。
男性ボーカルでの「復讐の時」。さすが帝劇センター俳優というべきか、マイクを離しても腹から響いてくる歌声。なんという声量。そして歌唱力。
この曲は「ついてくるがいい」の部分の音の運びが難しいのと、テンポが速くあまり休みのない、素人目にもパワーがいる曲なのですが、それを見事に歌い上げて下さいました。
時に拳を突き上げ、ヨーデルナイトで熱くなった場をさらに盛り上げてくださった岸さん。
初めて拝見した俳優さんでしたが、この数分間でお人柄が感じられました。


再び木内さんのナレーション。
読み上げられたのは、今度はハンミュ二作目・ナイトメアオブゾルディックのあらすじ。
そして暗がりから登場したのは、紫色のドレスに身を包んだイルミ役の風間水希さん。
ミュージカルオリジナルの楽曲「熱を持たない闇人形」
まるで時を超えて当時のミュージカルから出てきたかのような、圧倒的な歌唱、圧倒的な存在感。
場の空気が、一気にククルーマウンテンのあの山へと変わった。

間奏で当時のように、そっと微笑んだまま手を伸ばす仕草をされたとき、興奮にぞくぞくしました。
続く「答えはもう出ている」も、息を飲んだまま皆引き付けられていて。
キルアの時と同じ、会場は紫の光に包まれ、けれどランプに灯りは灯らない。
闇世に浮かび上がる風間さんご自身は、線の細い女優さんなのに、あのミュージカルでいたイルミがそのままいました。
怖い。なのに艶っぽく、目が離せない。
まるで本当にイルミが針を構えて立っているかのような。キルアと気持ちがリンクして、動けなくなってしまったような気持ちになりました。


再び木内さんが登場。ミュージカルでのヒソカの立ち位置を説明したのち、あの有名な伝説的な歌のイントロが始まる。
スクリーンには森の木々と、ヒソカのモチーフであるトランプの意匠がシルエットになって映る。
森の中を歩いてくるように、舞台中央に再び岸さんが登場。
「大きなリンゴの木の下で」。「復讐の時」に引き続き、見事に岸さんの歌として仕上がっていた。
それでいて、細かい技巧の部分…息の抜き方とか、笑い声とか、声を伸ばした時のヒソカ特有のあの不気味さを、本家の広樹さんにすごく寄せて下さっているのがわかった。
これはリスペクトなしにはできない歌唱だろう。


対照的な赤と青のスポットがステージを二分する。
短い前奏ののち、「もうこんなことはよそう」が流れ出す。
下手側に立ったゴン順ちゃんが隣へと問いかける。「なんでかな 友達に会いにきただけなのに」
上手側の鈴木さんが答える。「なぜ なぜそんなにまでして 向かってくるの」
「晴れた空お天気」と歌い方が全然違う。カナリアだ。
ミュージカルならではの掛け合いが再現されていく。
鈴木さんは最初と髪型も服装も違っていて、カナリアの本心を覆い隠すような黒いフードで苦しげに問いかける。「仲間なんでしょ なぜ止めないの?」
すると舞台に響く、レオリオとクラピカの「仲間だからだ」の声。
一瞬舞台裏で言っているのかと思いました。でも後のトークで、当時の音源をそのままスタッフさんがなんとわざわざ抜き出して使ってくださったようで。
そんなところにも、関係者の方々の愛を感じました。
ラスト、白い照明の中、そっとカナリア鈴木さんに手を伸ばす順ちゃんが見えて、二人の心が通い合うのを見届けました。


照明がククルーマウンテンの夜の青に変わる。
サングラスを外し、ジャケットの中のシャツを変えた郷田さんが登場。
名曲「友達だから」
裏表のないレオリオの熱い友情の歌。
私が勝手に思っている郷田さんのレオリオの真骨頂は、熱さだと思っていまして。
フジ版の幻覚ピエトロ回(トンパにだまされた末に見た幻覚に惑わされるアニオリ展開)で吐露した「オレは…生きて医者になりてぇんだ!」の時のような、斜に構えていても隠しきれない、彼自身のひたむきさ、熱さがたまらなく好きなのですが。
その彼の隠しきれない心の温度が伝わってくる歌を、大事に、熱く歌い上げてくださいました。

そしてなんと、サビの2回目で甲斐田さんも登場。まさかの二人で歌ってくれました!
こんな…こんなニクい演出があるだろうか!!
会場が感動で「わ、わぁ…っ」って、声が出せないちいかわみたいになってました。

一番を歌い終わり、感慨深げに向かい合ったのち、甲斐田さんが一言。

「今日は…服を着てくれていてよかった」
「脱ぎたいのは山々だったんだけどな。一応失礼になっちまうからな」

微笑み交わす二人に、笑い声と歓声が起こる。
そうそう、ミュージカル本編だと、裸にタオル1枚なのにタオルを外しちゃったレオリオを、クラピカが全力で隠してくれてたんですよね(笑)

笑いながら手を振ってダメダメ、と止める甲斐田さんに「じゃあ、あとは任したぜ」という郷田さん。
その時の声音が、当たり前のことなんですが、クラピカとレオリオだった。
生の二人のやりとりだ……とジンと来ていると、漫画やミュージカルでも見たレオリオの「よっ」の仕草をして去っていく郷田さん。
ああ、そんなところまで、寄せてくださって…。

歌はクラピカのパートへ。会場の照明もレオリオの青から赤色に変化。
フジ版ハンターのクラピカの魅力がぎゅっと詰まった、クラピカのソロパート。
原作の「現実は単純じゃない…!」を先取りしたかのような、クラピカの仲間達への思い。
当時のミュージカルでピンスポットライトの中、一人ゆっくりと歩きながら歌っていたクラピカを想起させるかのようなライトの演出。
「だけど今 澄んだ夜空に」で、甲斐田さんの顔をゆっくり照らすのも、当時を思い起こさせて胸が熱くなりました。

そして2回目のサビで、先ほどの甲斐田さんのように、舞台にレオリオ郷田さんが再び登場。
「友達のため 仲間のため 苦しみを分けあえるなら」
「どんな夜明けが 待つのだろう」
まさかここの部分を、二人で歌ってくれるなんて。

本編のレオリオとクラピカが心を許しあえた知己になれたのは、二人とも「友達のため」という動機が根底にあったシンパシーがあると思うのです。
それを、ミュージカルではソロでそれぞれ表現されていたものを、まさかレオリオパートだけでなくクラピカパートでも二人一緒に歌ってくれるなんて。
観客もだけれど、甲斐田さん、郷田さんが本当に嬉しそうなのが表情から伝わってきて、何度目かの涙が滲みました。
な、泣かない、私は泣かないぞ!泣いたら前が見えなくなる!


会場が暗転。
何度も聞いた曲のアレンジが聞こえる。「風のうた」の歌詞違いバージョン「自分の道」
三度目の順ちゃんが登場。
切々とキルアへの想いを歌う順ちゃんに寄り添うように、舞台後方にいた甲斐田さんと郷田さんが照らされる。
間奏での静かに佇む御三方の立ち位置が、ゴンを中央に据えた左にクラピカ、右にレオリオの、ミュージカルのポスターみたいで。
中央でまっすぐ客席を見つめて歌う順ちゃんの眼差しが目に焼きつきました。


会場が明るく照らされて、ポップな音が流れる。
三人が空間を開けて、そこへやってくる加奈ちゃん。
ミュージカル最後のナンバー「さあ行こう」。
甲斐田さんと加奈ちゃんが笑顔で笑い合って、加奈ちゃんが順ちゃんの額をツンと弾く仕草をして、順ちゃんと郷田さんが微笑んで顔を見合わせて歌う、それらのやりとりは、当時のミュージカルのまま。
ハンターの持つ陽の部分、皆の背中を押してくれるポジティブな面を表した曲。
4人の歌声でどこまでも道が開いていけそうな、そんな明るい気持ちにさせられる。

間奏の合間に順ちゃんが「ここで大事な人をお呼びしたいと思います。まずは岸さん〜」
と、舞台裏にいた方々を次々に呼び寄せる。
「みんなで歌いましょう、さんはい!」と言う順ちゃんの声に合わせて、全員での合唱になる。
ああ、本当に当時のカーテンコールみたいだ。

当時はまだハンターのことを知らなくて、後からはまって。いろんな大人の事情で、もう再集結が事実上不可能みたいな状態になったと知って。
嘆きながらも、過去のDVDなどの遺産や、当時参加された方の思い出話や、ネットの海に落ちていたブログなどの記録を見聞きして、募らせていたフジ版ハンターへの憧憬。
いつかタイムスリップしたら、全通したいと思っていたミュージカル。
それらを、時を経て、見に行けたような。
叶うはずの願いが叶ったような、そんな気持ちになりました。


会場で至る所で、ことあるごとに目頭を押さえていたり、啜り泣きの声や、涙を我慢している仕草をしている人がたくさんいました。
それほどまでに、皆この時を待ち望んでいたのだとわかって。


生きていてよかった。この作品と出会えてよかったと、改めて思いました。


万感の思いで迎えた前半の締めくくり。
MCの木内さんが登場し、トークコーナーへ。
ハンターのキャラクターソングは、実は公の場でお披露目されたのは今回が初めてだったそう。
詳細を答える女性陣に続いて、木内さんに感想を聞かれた郷田さん…。

「いや、甲斐田さんがね、トイレと間違えて男子楽屋に入ってくるんですよ」
全然関係ない話題に、一同大笑い。木内さんが「(部屋が)隣ですからね」とフォローする中、軽く崩れ落ちる甲斐田さん。
甲斐田さん「どうして(話)振られて…!?もっと素敵な話あるでしょう!」
加奈ちゃん「なんでその話!?」
ラジオCDとかで聞いていた皆さんのやりとりが、今もそのままあって。変わらないんだな、と感じました。

木内さんに順々に話を振られていくミュージカルメンバー。
岸さんは、ゼビル島でのヒソカのプレート番号44のナンバーが刺繍されたベストのことを話してくださいました。
なんとこの日のために特注で作っていただいたそうで!愛がすごい。
途中天に向かって「広樹〜」と呼ぶ一幕も。仲がいいなぁみなさん。
(後からうえのさんの呟きで知ったのですが、この衣装に携わってくださったのは当時の衣装担当の方だったようで。縁が、縁がすごいよ〜)

風間さんは当時イルミという怖い役で出演されたのと、ミュージカルからの参加だったこともあり、当時「誰この人?」と思われていたように感じていたけど、こんなに歓迎してもらえるなんて、と感動してらっしゃいました。
前方の客席にあったらしき「イルミ」と書かれたうちわに、嬉しそうに目を細めた後、そっと目頭を抑えてらしたのが印象的でした。

鈴木さんは「晴れた空お天気」に「ど頭に私が音を外しちゃった歌です」とぶっちゃけたことを話されていたり(木内さんに「そこまでは言ってない!」と突っ込まれていた)、その後もゴンとカナリアの掛け合いを「もっとボコボコにしたいと思います」と、お茶目な面を覗かせてくださいました。

5.後半〜「けせら・せら」からアイドルステージまで

他にも思い出話が尽きないながらも、コンサートは後半戦へ。

甲斐田さんによる曲紹介ののち、披露されたのは「明日のナージャ」のED「けせら・せら」
「倫敦どんより晴れたら巴里」、一度聞いたら忘れられないフレーズ!
それを満面の笑顔で歌う甲斐田さん。なんとダンス付き!贅沢だ!
世界各国をめぐるナージャの旅路を、言葉遊びも含んで歌われたとても楽しい歌。
うえのさんの遊び心が詰まった可愛い楽曲を、心底楽しそうに歌われる甲斐田さん。
見ていてとっても幸せな気落ちになりました。
サビ前の部分は、何でもこなせる甲斐田さんの、不思議な生き物のような声での歌唱という妙技。一体どこからその声を出してるんだろう…。

少し昔のアイドルソングを思わせる「毎日、ノープロブレム」
白いレトロデザインの可愛らしいミニドレスに身を包んだ加奈ちゃんと、白いロングドレスの横山智佐さんが登場。
お二人の可愛らしい歌声で奏でられる歌詞が、なんていうか、子供の頃より歳をとって心に染みるなぁとしみじみ。
放り出してきた仕事のことを思いながら、この曲みたいにめげずに頑張りたいなぁ…と思ったりしました。
ノープロブレム、って言えるぐらいになりたい(完全にただの社会人のぼやきである)。


横山智佐さんによる「あの花〜天の声〜」
初めて聞いたのですが、とても美しく優しい歌で。夏の煌めきやその中に潜む寂しさや、青春の一瞬の切なさを思わせる歌詞と、横山さんの柔らかく包み込むような歌声に、グッときてしまいました。


赤いライトで照らされたAKANE LIVさんが登場。
「道を迷わないように〜もう何も譲らない」
このコンサートのために、配信で2015年の黒執事の舞台を見てきました。
ありがとうhuru。今は便利な時代になったものだ。
黒執事のキャラクターの中でも複雑なバックボーンを持つマダム・レッドの内面を描いた、7分越えの楽曲。
ミュージカル内での台詞は、描写と共にスクリーンに浮かぶという演出。
初見の方でもわかるように、なおかつ歌の世界に浸れるような良い演出だと感じました。
会場は燃える火の粉のように、赤いペンライトがゆらゆらと揺れていました。

グレル役の植原卓也さんは台詞なし。けれどミュージカルからさらに磨きをかけたダンスで、大人数を相手にした立ち回りをたった一人で再現されていました。
そして最後はミュージカル本編のラスト、マダムレッドの結末までも入れ込まれた構成になっていました。
舞台装置と二人の役者さんの力で、目の前に黒執事の世界が広がっていました。
圧巻でした。本当に…。

アイドルステージの曲も、YoutubeのPVで勉強してきました。
聞いて思ったのは、うえのさんの作られる作詞の世界観の振り幅がすごいなということ。
この会場で流れている歌の歌詞、全部同じ方が作られているのが不思議だなぁと。
それはどの歌もその世界の、キャラクターの目線に寄り添って言葉を紡がれているからなのかな、と思ったり。

出演者の方はどちらも初めてお目にかかったのですが、皆お若くかっこよかったです。
そして終始笑顔で動きのある振りをこなされていて…3次元(いや舞台設定的に2.5次元か)のアイドルを間近で浴びる楽しさを肌で味わえました。
私事ですが数年前から別作品のアイドルジャンルにハマっているので、会場に向けた声かけと、それに返すファンの姿に「これが本物のコール&レスポンスか!」と「テンションが上がりました。
近くの席にドルステのファンの方が多かったみたいで、小さな声ながらも嬉しそうに返されているのが印象的でした。
ファンはアイドルを応援して、ファンはアイドルに応援されて。
お互いにその空間を作って、明日への活力をもらう。そんな関係の一端に、少しながらも触れた気がしました。
コンサートの締めにうえのさんが「Moonlight Serenade」を選ばれたのも、なんだかわかる気がしました。


全ての曲が終わって、最後は出演者の方々とうえのけいこさんご自身が登壇され、ご挨拶。
初めてお見かけしたうえのさんは、とても素敵な方で。
言葉の端々に、この「風のうたコンサート」に込めた思いが見えて、胸が一杯になりました。


全て終わって、半ば放心状態で隣の方と顔を見合わせて「…すごかったですね…」「本当に…すごかったですね…」と言い合い、ご挨拶をして別れ。
会場内で久々に会ったハンター繋がりのお友達としばらく外でお話しした後、帰路につきました。


6.終わりに



コンサートが終わった後もずっと、一夜の幻のような、地に足がつかない感覚で。
夢見心地だった気持ちが、自宅へ帰り着いたら、やっと現実が腑に落ちてきて。
実感となって体を満たして、涙が止まらなくなりました。


改めて、ご縁をくださった方、コンサート当日にお話しさせていただいた方々、出演者の皆様、スタッフの皆様、プロデューサーの片岡さん、うえのさん、素敵なイベントを、本当にありがとうございました。
そしてうえのさん、作詞家25周年おめでとうございます。
これからも微力ながら、応援しています。

いつの日か、この日の奇跡が、また何かへと結び付きますようにと願いながら。
このとてもとても長い感想文を終えることとします。

最後までご拝読くださり、ありがとうございました。


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