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【anan】榮野ハルの連載ごっこ 第1回

※ananに連載したいという気持ちが溢れて「連載ごっこ」をはじめました。

vol.1 始まりは魔法ごっこ


最近思うことがある。
あれ自分、全然大人になんねえぞ?ということだ。 

閃光のように輝く高校時代が終わり大学生となった今、バイトの時間以外のほとんどをベッドに寝転んでお菓子を食べながら昔買ったギャグ漫画を一人ケタケタ笑いながら読んで過ごしている。

バイトマンガマンガヴァイトマンガヴァイトマンヴァ………


思い返せば小学生の頃は、大人になるには毎日ご飯を食べ、若干のズルをしつつもそれなりに生き、それなりに時間の経過すれば大人へと進化していくような、たまごっちみたいなシステムなんだと思いこんでいた。高校生になれば半自動的に彼氏ができて少女漫画のような映画デートをし、大学生になれば遊びつつも心は学校の先生たちのようなかっこいい大人になっていき、就職して結婚して、そういう人生を誰もが選ぶものだと思っていた。(その頃は大人=先生だった)

あの頃思い描いていた大学1年の夏はきっとこうだ。

ビキニを着て友達と海に繰り出し、イケメンの兄ちゃんと声かけられちゃったりして。でも彼氏いますとか言っちゃったりして。彼氏とフェスに行ってガチ勢過ぎてちょっと引かれちゃったりして。そんな甘酸っぱさもいいよねなどと、友達とおしゃれなカフェでのろけ話をしちゃったりして。

月9の夏クールで何千回も使われてきたであろう主人公の夏。

ベタすぎるけど良い!!!!!!非の打ち所ねえ。。。

まあそういうやつは日焼け肌が痛くてお風呂で悶え苦しめ!!!!!


実際はこうだぞ、10年前の私よ。よく聞け!!

友達にデブと呼ばれていた小学生の頃からぽっちゃりなのは変わらないし、それゆえビキニも着れないし、彼氏どころか海へ繰り出す友達もいないのが私なの。バイトは欠員が出るたびに断れず入った結果社員並に出勤していて、終電に飛び乗り赤い顔のおじさんが座席を5席分使って眠りについているのを片目に、深夜ラジオで自分の投稿が読まれるのだけが楽しみなの。鼻をほじりすぎて最近鼻穴が大きくなってるのが悩みなの。それが18の夏なの。

どうだ!!失望したかあああああ!!泣け泣けえ!!泣き叫べえええええ!!!!!!

おっと。取り乱したぜトリニダード・トバゴ。


あの頃の私が今の私の姿を見たら、泣きながら逃げ帰るだろうな。

「未来なんか見るんじゃなかった!!あんな意地悪でだらしなくてデブで肌荒れひどいばばあが私だなんて!!うえーーーん!!!」泣き叫んじまええええええええええ!!!!!!!

違う違う。過去の自分をいじめるために書いてるんじゃない。

今回からAERAで連載(ごっこ)をはじめる事になったが、そのきっかけは小学生の頃の自分が残してくれたものにある。先日母親に叱られて渋々部屋の掃除をしていたとき、一冊のノートを見つけた。読んでみると、そこには意味不明な日本語の羅列があった。

【すっぱいフルーツをだすまほう】

すっぱいフルーツすっぱいフルーツ「〇〇〇〇」をだして!! ※石をまえにだす

【いろんなものになったときになおるまほう】

ハナパナ・ミロン・パナミラン

↑↑実際の写真

これはどうやら「魔法ノート」らしい。当時ごっこ遊びを愛していた私は、自分が魔法使いになったテイで自己流の魔法書を作っていたのだ。

初めは、あら可愛らしい!とほっこりした気持ちで見ていたのだが、「赤ちゃんがやかましいときのまほう」や「びんぼうにさせるまほう」などいくつか洒落にならない魔法もあり、過去の自分に恐怖を抱いた。そのノートの他に、クラスの友達の細かな属性や技などが書かれたトレーディングカードなども発掘され、家族でひとしきり笑った。やっぱり小さい頃の思い出の品って何時間でも語れるよね。

魔法ノートの発掘は、なんとなく今の自分に届いた挑戦状のような気がしている。一日中空想にふけっていたあの頃は、いつもワクワクした気持ちでいっぱいだった。

作家にも超能力者にもゲームマスターにも何にでもなれたあの時を思い出すと、脳みそ使わなすぎて昨日なにを食べたかも思い出せない自分が猛烈に恥ずかしくなった。雑誌に連載してみたい、でも出来ないだろうなー。なんて鼻くそほじりながら言っていた自分にビンタしてやりたくなった、というか心の中で心臓平手打ちした。今の自分は絶対この子にワクワク度で負けている。。悔ぴーーーーーーーーー!!!!!なんだか自分も負けていられなくなって、連載(ごっこ)を始めることにした、というわけである。

小学校の頃の私見てろよ!!たぶん今私のほうがワクワクしてるからな!!

相変わらずすぐムキになる私だ。大人になるめどはこのまま一生つかないかもしれない。


※実際に連載されている訳ではありません。あくまでも連載しているテイです。

えいの・はる
大学生。空想が趣味。最近占いで「OLだけは向いていない」と言われる。ブレイク時期未定。夢は雑誌連載とオールナイトニッポンをやること。