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忘れてもそこに残るもの

2024年3月10日(日)、お昼から東京都町田市のThe Play Houseで開催されたはるかぜさんのワンマンライブ、「忘れても覚えてる」に伺ってきました!
2021年から横浜市に居を構えて活動してこられたはるかぜさんが、故郷の静岡県藤枝市に戻る前の節目のライブ。開催が発表されて、参加するかどうか、正直少しばかり逡巡がありましたが、昨年の藤枝音楽祭のアーカイブを観ている内に、「自分はまだ全然はるかぜさんのライブを観ていないな。今回行かなかったら絶対に後悔するな。万難を排してでも観に行かないとダメだな」という気持ちが湧き上がってきて、参加することを決めました。と、その辺の経緯などは前回の記事で書いたので、今回は純粋にライブレポートに徹して書いていきたいと思います!・・・がいつものように脱線してしまうと思いますので、どうかご容赦ください。

開演前

地元は朝から雪が降っていましたが、関東圏に出てしまえば暖かな日差しの下、綺麗な青空が広がり、絶好のライブ日和となりました。新幹線の車窓から富士山を眺めつつ、乗り換えを繰り返して一路初めて訪れる町田へと向かいます。
今回のライブは12時開場・12時30分開演。事前に前物販の実施と後物販はあまり時間が取れない旨がはるかぜさんから告知されていましたので、少し早めに着けるように・・・と思っていたのですが、昼食の時間などもあり、結局会場に着いたのは12時15分過ぎでした。町田駅北口から線路沿いを歩いてたどり着いたThe Play House。入り口にはフライヤーの貼られた看板とピンクのフラミンゴがお出迎え。

初めて訪れた町田The Play House

列に並んで入り口で受付をすませ、階段を降りて地下1階の会場に降りると、既に席は8割方埋まっているようでした。
入り口から左手にステージ、右手にドリンクカウンター、奥に物販スペースが見えました。配信で観て、ステージの雰囲気はなんとなく分かっていましたが、天井の高い地下空間のライブハウスの雰囲気はやはり独特のものがありました。
幸いステージに近い辺りに一人分の席が空いており、前物販にも間に合いました。はるかぜさんのお母さんと妹さん、弟さんが物販を担当されていて、ご家族の仲が良くていい雰囲気を感じました。
ステージを隠すスクリーンではThe Play Houseの告知映像が流れていて、レトロリブラの「リブラ」のMVのワンシーンや、はるかぜさんの「鏡」のMVが流れるたびにニヤニヤしていました。

そんなこんなであっという間に12時30分を過ぎ、若干時間を押してライブが始まりました。

アコースティックの部

スクリーンが上がると、キーボードに向かって座るはるかぜさんの姿。
客席から一斉に沸き起こる拍手の大きさに、私も手を叩きながら正直驚いてしまいました。
一部立ち見席が設けられるくらい、客席を埋めた大勢の観客。多くの方がはるかぜさんの歌を聴きに集ったことに私もなんだか嬉しくなってしまいました。一方のはるかぜさんは観客の多さに戸惑いと緊張が見られましたが、それを観客側が受け止めて見守るような暖かい空気感が感じられました。

西日

ライブの一曲目は、一番新しい曲「西日」から始まりました。

歌詞とか、そこに込められた想いについては、はるかぜさんがご自分で語ってくださっているので是非ご覧いただきたいのですが、このワンマンライブを迎えるまでの期間、なかなか思うようにならない時間もあって、でも長くて厳しい冬を越えて、また春を迎えて、ここからまたリスタートしていく。今日のライブを象徴するような曲だと感じたら、いきなり目が潤んできてしまって。
まだ数回しか聴いていない曲ですが、本当に良い曲だと胸に迫ってきました。

おまじない

挨拶を挟んでピアノ弾き語り2曲目は「おまじない」。配信では何度も聴いてきて、最近は音源化されて『hint』収録版も聴いていますが、この曲も歌詞がすごく良いです。自分で自分を褒めるってよく聞く表現ですけど、なかなかできなかったりするじゃないですか。むしろ上手くいかない自分を責めてしまったりする人生で、そんな時にちょっと力を分けてくれるような、おまじないって曲名が本当に秀逸だと思います。

金魚すくい

目が潤んでくる曲が続きます。自分の子ども時代を思い出すということもあるんですが、自分が親になり、子どもを育てるようになるとまた見方が変わる曲で、昨年「水槽を洗う父」になった身としては切ない歌詞が胸に刺さります。

すみれの花

これはある意味で、一番ライブで聴けて嬉しかった曲かもしれません。
この曲は私の話を聞いたはるかぜさんが作ってくれた曲です。私はできればはるかぜさんがライブで歌って、多くの方に届けて欲しいと願ったのですが、こんな大切なライブで歌ってもらえるようになったんだ、私の個人的な想いから芽生えた歌がちゃんとはるかぜさんの歌として花開いたんだと思えて、どうしようもなく嬉しくなって、でも聴いていると歌に込めてもらった感情が蘇ってきて切なくなってしまって、今思い返しても感情がグシャグシャになってしまう曲なんですが、でもそれだけはるかぜさんが私の想いを汲んで曲にしてくれたってことですからやっぱり嬉しいですね。

かばん

ここでキーボードからギターにスイッチ。
比較的新しい曲を続けたので以前からの曲を、ということで「かばん」から。
軽快な曲調で、しんみりとしていた気分がクルッと切り替わっていきました。
今回のライブでは、はるかぜさんのギターを弾く手元もよく見えていて、あ、これってこういう弾き方で出ている音だったのか!(いや技術的なことは全然分からないんですが)という新しい発見が自分の中ではあり、すっかりウキウキした気分で曲に聴き入っていました。

さよなら、三月

懐かしい!
初めてお会いしたライブで歌っていたことをMC含めて覚えています。
YouTubeに動画が上がっているんですが別のチャンネルなので探しにくいところもあって、ライブでもこの時期、たまにしか聴けない曲というイメージなんですが、すごく好きな曲の一つです。
今回は新たな門出のライブでしたから、この曲の情景とは必ずしも付合しないんですが、ちょうど3月だったので時季に合った一曲でした。

犬がこわい

はるかぜさんはこれで締めて良いのか、と仰っていましたが、それもまたはるかぜさんらしいなあと思う選曲でした。私もあまり犬が得意ではなく、犬を飼っているお客さんのところに行くのがなんとなく憂鬱だったりするので、共感できる曲だったりします。曲自体は可愛い感じで、一度聴くとクセになる、不思議な魅力のある曲ですよね。

ここまでで7曲、普段のライブなら十分過ぎるくらいの曲数ですが、今回はワンマンライブ。
まだまだライブは続いていきます。

レトロリブラ(ゲスト)

アルゴノート

アコースティック編成が終わり、転換を挟んでゲストのレトロリブラが登場!
私は配信で何回か観たことがある程度で、曲もあまり知らないんですが、生で観て聴くバンドの音は迫力があって、一曲目から会場の雰囲気をガラリと変えてしまう姿がなんともカッコいい!
「アルゴノート」は初めて聴く曲でしたが、ボーカルの松下譜割さんの声も好きですし、今レトロリブラはレコーディングをしている最中で、5月5日に次の音源がリリースされるようなので楽しみです。
手拍子の中一曲目が終わると、松下譜割さんが「はるかぜ、せっかくだから一緒に歌おうぜ!」と呼び込んで再びはるかぜさんがステージへ。この演出は個人的に粋でツボでした。

続きはまた明日 feat.はるかぜ

あ、これ私が好きな曲だ、とイントロで分かりました。
レトロリブラのライブは配信で何回か観たことがある程度なんですが、その中でも好きになった曲です。
はるかぜさんもマイクを手に、時折ボーカルで参加されていたんですが、私の目には、はるかぜさんが同じステージ上という特等席で大好きなレトロリブラの音楽を楽しんでいるように感じられ、またその様子に気付いた松下譜割さんが笑みを浮かべて隣で視線を送っている姿に良い関係性が感じられてニヤついてました。曲もすごく良かったです。

リブラ feat.はるかぜ・もちこ

はるかぜさんがもちこさんを呼び込んで、ステージ上に本日の出演者が勢揃い。改めてレトロリブラ、もちこさんの紹介を挟み、全員で奏でる希望の歌、「リブラ」
「リブラ」のMVの主演女優がはるかぜさんという縁もあり、観たいと期待していた光景で、期待以上の曲が聴けて、幸せを噛み締めていました。流星群を感じさせる照明の演出もバッチリ決まって、満足度の非常に高いステージ。しかしまだ前半戦の終わりでしかないのだ!

はるかぜバンド

ここからはいよいよはるかぜバンド。ギターにレトロリブラのマツムラタダトシさん(はるかぜバンドでは他のメンバーに合わせて伊達メガネを着用)、ベースにもちこさん、ドラムにレトロリブラのルンバさんを迎えての4人での編成は、2022年10月に行われたレトロリブラとはるかぜさんのツーマンライブ「あまやどり」と、11月の「マツムラ × タツマ × かけるんばpresents【Λ Border Culture Day2】」以来3度目(会場はいずれもThe Play  House)となりました。過去2回は配信視聴だったので、生で観るのは初めての体験。ドキドキする気持ちと期待する気持ちが胸の中でドンドン大きくなっていきました。

片道

一曲目の「片道」は、元々の曲の軽やかさが、バンド編成になるとよりクッキリと感じられました。会場からも手拍子が湧いて、私自身がこの日は快速電車に乗って町田までやってきたので、歌詞の世界をイメージして手を叩きながら聴いていました。普段の弾き語りとはまた一味違う、バンド編成の良さを伝えてくれる伝道師のような曲でした。

いつか

『向こう側』に収録された音源自体がバンドアレンジなので、バンド編成のイメージがあった一曲ですが、やはりライブになると演奏も力強く、音源版とは印象も変わってきます。
何よりもはるかぜさんの歌声のイメージが変わりました。演奏の力強さに負けない伸びやかな歌声は、普段の弾き語りよりも一層会場に響き渡って聴こえました。

ある恋

今回初めてバンド編成で演奏されたのですが、一番印象深い曲でした。
元々ギター弾き語りの美しい曲でしたが、バンド編成で音が重なり、それに負けじとはるかぜさんの力のこもった歌声が合わさって、より美しく、力強く、心に響く曲に仕上がっていました。特にサビの歌声の響きは素晴らしかったです。

あなたは青の向こう側

バンド編成でイメージが変わった曲でした。
『向こう側』に収録された音源はギター弾き語りで、普段聴いていると「向こう側に行ってしまったあなた」を想う寂しさが印象に残る曲なんですが、今回のライブで聴いていると、寂しさはもちろんあるんですが、それを乗り越えて前を向いて生きていこうという力を強く感じました。

エール

「エール」はやっぱりはるかぜさんの代表曲ですし、今回のライブでもセットリストに入ってくるだろうと思っていましたが、満を持して!という感じでしたね。
元々明るい曲調の曲ですが、バンド編成はより明るさを増して、優しい歌詞がスッと心に染み込んできました。改めて大好きな曲だと再確認させてもらいました。

はるかぜバンド feat.レトロリブラ

最後は再び全員で!ということで松下譜割さんとSHOHEiさんもステージに。
ここはどう表記するか悩んだのですが、レトロリブラのステージにはるかぜさん・もちこさんが加わったのではなく、はるかぜバンドにレトロリブラの残りのメンバー、松下譜割さんとSHOHEiさんが加わったステージだったので、この表記にしてみました。

ノンフィクション

元々ピアノ弾き語りの曲の「ノンフィクション」をバンド編成でやるんだ!と驚きましたが、ピアノ以外の音が重なることで感情がより豊かに伝わってきました(この辺は他の曲でもそうなんですが)。
大切な人を過ごす時間を大事にしてほしい、自分が大事に過ごすことももちろんですし、はるかぜさんにも大事に過ごしてほしい、そんなことを考えながら聴いていたら、直前のはるかぜさんのMCも相まって目頭が熱くなりました。

事前の告知でもまた当日のMCでも改めてはるかぜさんからお話がありましたが、今回のライブはアンコールの準備はないということで、最後の曲は「傘」
元々がレトロリブラとのツーマンライブ「あまやどり」で全員で演奏するために書き下ろされた曲なので、バンド編成こそがこの曲の真骨頂だと思っているのですが、およそ1年半ぶりに聴く、いや前回は配信でしたから、本当の意味では初めて聴くことができた、6人で奏でる「傘」は本当に素晴らしかったです。
今日ここに足を運んで良かった、満足した、そんな感情が籠った万雷の拍手が、演者全員がステージを去るまで長く長く鳴り続きました。

終演後

アンコールはありませんでしたが、最後に全員で集合写真を撮りましょう!とステージに演者が戻り、帰りかけた方も席に戻ってきて、シンプルに「はい、チーズ」と写真を撮り、本当に終演となりました。

時間が押したので後物販の時間もあまりなさそうで、でもなんとなく去り難い気持ちがあってしばらく客席でグズグズしてしまったのですが、会場を出て階段を登り始めたところでちょうどはるかぜさんがバタバタと階段を降りてこられて、「後物販まだ時間あるから大丈夫ですよ!」と声をかけてくださったので、後につられて会場まで戻ってしまいました。
前物販で欲しかった巾着袋は買っていたのですが、やはり今回のライブでは「ある恋」がとても良かったので、次回またライブに来られるように、という験担ぎのつもりで『ああでこうで』を購入させていただきました。元々持っていたものはリリース時に通販で購入したもので、ライブ会場で直接買えたという意味でも良かったです。はるかぜさんにもお母さんにもきちんとご挨拶ができて、「いつかまたライブを観にきます」「私もそちらまで歌いに行きたいです」と言葉を交わし、心の底から満足をして帰路に着きました。

はるかぜさんが今後藤枝に帰られて、どのようにライブを含めて音楽活動をされていくかは分かりませんし、私の方も今までよりもライブに足を運べる機会が増えるなんてことはそうそう起こりそうにありません。
今はそんなことは考えられませんが、私もいずれは今回のライブのことも忘れていってしまうのかもしれません。でも、そうなったからと言って、私の素晴らしい体験がなかったことにはなりませんし、このnoteを含め、思い出のカケラは残り続けていくはずですから。
いつになるかは分からなくても、いつかの約束を果たせるように、また笑ってお会いできる日まで、精一杯に生きていこうと思います。

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