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#創作童話
人魚と零れた星の夜(お休みします)
人魚はびっくりして、満月を見上げました。何と答えていいのか黙っていると、月がもう一度、言いました。
「あなたの一番に願うことは何ですか?」
「わたしが一番願うこと……」
人魚は頭の中で、今の自分から生まれたばかりの自分までで、一番欲しいものを探しました。
こんばんは。晴季です。
遅くなっちゃった上に、ちょびっとしか進みませんでしたが、
できたので〇とします。
明日から、わたしの実家に泊まりに行
人魚と零れた星の夜(すべて幸せに変換済み)
「ありがとう。星をここまで連れてきてくれて」
満月は、心からの感謝を伝えますと、人魚にこれまでのことを尋ねました。人魚は、尋ねられるままに、海の底からやってきたこと、様々な経験を乗り越えて空にたどり着いたことをそっくりそのまま話しました。
「まあ……、そんなたいそうな思いをして、貴女は、ここまでやってきてくれたのですね」満月は、深い尊敬とより一層の感謝を漏らしました。
「それほどまでに力を尽くして
人魚と零れた星の夜(いろいろ渋滞中)
羽毛のように柔らかい声音は、聴いているだけで喜びに包まれるような、幸せに満たされるような、なんともいえないいい心地になりました。いったい誰の声なのでしょう。人魚が声のしたほうを見上げますと、満月が、穏やかな微笑みを浮かべてこちらを見ていました。人魚は恥ずかしいのに嬉しい気分で胸を膨らませ、頬を赤らめながら答えました。
「こんばんは。あなたは月ですか?」
「ええ。わたしは月です。そして、夜空に散らば
人魚と零れた星の夜(深夜投稿~)
「こんなに美しい景色が現実にあったなんて」
人魚が深いため息を落とした胸の上では、星が嬉しそうに光っています。
「星は、こんなすごいところからやってきたのね」
人魚が感心した面持ちで星を見つめると、星は誇らしそうに輝きました。どこまでも突き抜ける夜の空と、ひっそりとさざめく海の間には、人魚と星と、お互いの温かい気持ちばかりがありました。そうして一匹とひとつが眺め合っていると。上の方から優しい声が降
人魚と零れた星の夜(自己責任でしかない)
「!!」
最初、感じたのは、風でした。夜の澄んだ空気が、頭の上から肩、胸元までをさらりと撫でてゆきます。海水とは、まるで違う感触に人魚は驚き、それ以上に、頭の上に広がる空の景色に何も言えなくなりました。漆黒で塗りつぶされた空には、無数の小さな輝きが灯り、その中央一点には、丸く満ちた大きく柔らかい光がしっとり輝いているのです。黒と光りだけの、どこまでも続く黒と光りだけの風景は、今まで見たどの景色より
人魚と零れた星の夜(海の中から夜を見る)
まっさらだった視界には、泳いでいくほどに魚が現れ、さらに魅力的な景色に立ち止まりそうになることも、もっと危ない目に遭うことも、落ち込んで動けなくなりそうになることもありました。そのたびに、人魚は星に勇気を貰い、元気をもらい、黙々と、淡々と、粛々と、あきらめることなく泳ぎ続けました。すると、海の色が、なんだかきらきら明るく見えてきて、どうしたんだろうと思った時には、ざばんっ。初めて味わう水しぶきと共
もっとみる人魚と零れた星の夜(褒め合ってます)
人魚がつられて「ふふふ」と笑うと、口元がほろりほどけ、肩のこわばりがすとんと落ちました。頑なだった悲しみが溶けて、お腹の底から勇気が湧いてきました。もうどこへも行けないと思っていたけれど、相変わらず、ここがどこなのか分からないけれど、もう、どこへも行けるような気がしました。
「ありがとう。星のおかげで、わたし、もう、大丈夫みたい」
元気が出てくると、人魚は改めて、星を空へ返してあげたいと思いました
人魚と零れた星の夜(物語っていいね)
人魚は堪らず、大いに泣きはらそうとしたその時、胸元にほんのり違和感を覚えました。人魚が赤くなった目で俯いて見ますと、星の光がいつもと違って見えました。どこがどう違うのか、言葉で言い表すにはとても難しいのですが、なんだか勇ましくて、逞しくて、優しいような、安心できるような、とにかく、人魚の沈んでいた気持ちを温めてくれるような光でした。引き寄せられるように、人魚がそっと、星に触れてみますと、冷え切って
もっとみる人魚と零れた星の夜(どんな一歩でも一歩は一歩)
「どうしよう……」
不安で身体がいっぱいになった人魚は、泣き出しました。けれど、どれだけ人魚が声をあげて涙を流しても、誰かがやってくる気配はありません。声は海に吸い込まれ、涙は海に溶け込んで、人魚の悲しみは誰の耳にも、誰の声にも届きません。人魚はさらに悲しくなって大いに泣きはらそうとした時、胸元がほんのり温かくなりました。
こんばんは。晴季です。
昨日は図書館やら児童館やら保育園やらで、うごきま
人魚と零れた星の夜(最後まで突き抜けるぞー)
泳いで泳いで、泳ぎ尽くしたお陰で、サメはいつの間にか、見えなりました。けれど、そんなことにはお構いなしで人魚は泳ぎ続けたので、しまいには動けなくなって、岩場の上に倒れ込んでしまいました。
そうやって、どれくらいじっとしていたでしょうか。ようやく人魚は目を覚ましました
「ここは一体どこなのかしろ」
疲れて重くなった身体を抱きしめながら、人魚は不安そうにあたりを見回しました。辺りにはなんの生き物も見当
人魚と零れた星の夜(いつか死ななきゃいけないわたしのために)
「ここはなんて素敵な所なの」
人魚は誘われるように泳ぎだし、初めはゆっくりと、それから、だんだんと、やがては、くるくる踊るように回遊をはじめました。
「ああなんて楽しいの!なんて嬉しいの!なんて幸せなの!」
人魚はとってもいい気持ちになって、横に縦に、縦横無尽に泳ぎ回りました。ずっとここにいられたらどんなに幸せだろうと、人魚は思いました。人魚の胸元では、星が目を回しながらきらきらきらきら光っていま
人魚と零れた星の夜(今日は昼にかけたぞ)
人魚の胸には、初め、たくさんの期待と、ひとかけらの心細さがありました。けれど、そう思ったのは、ほんのわずかな間だけでした。海の上へ泳いでゆくと、目に映る薄暗さはどんどん明るく、肌に触れる冷たさはどんどん温かく、海草は豊かに揺らめき、珊瑚は鮮やかに花開き、魚は大小さまざま、色とりどりに踊り泳いでいるのです。銀色や金色、赤や黄、緑や青、黒や白の色だったり、細長かったり平べったかったり、感触も固かったり
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