![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29930653/rectangle_large_type_2_2b4a3ad68b379da5d2fd194c0b25b540.png?width=800)
アフロにしてYouTuber目指したけど誰も得しなかった話。
2018年2月7日、私はアフロになった。
当時、東京で音楽活動をやっていた私は「これは相当目立つ!」と興奮していたし、実際街に出れば必ず注目を浴びた。
毎日知らない人から話しかけられるのは当たり前。
駅で外国人と一緒に写真を撮ったり、ライブハウスのお客さんにイジられたりしながら、このまま人気者になれるんだろうな…なんてことをホワホワ考えていた。
が、もちろんそんな上手く事は運ばず、結局半年くらいでアフロは辞めてしまった。
アフロを経験したことで何を得たのか?
そもそもどうしてアフロにしようと思ったのか?
今日はそんなお話を書いていきます。
アフロにしたら驚くほど目立った
アフロにしたきっかけは、バイトの先輩だった。
中古レコード店で働いていた私に向かって、ブラックミュージックのジャケットを指さして先輩がこう言った。
「小宮山君、こういうアフロとか似合いそうだよね」
衝撃だった。
先輩は冗談で言ったんだろうが、オシャレ感覚ゼロ・1,000円カットでなんとなく髪を切っていた私にとって、「自分の髪にパーマをかける」という発想すらなかったのだ。
しかし、アフロにすれば目立ちそうだし、他にやってる人もいない。
今まで客席0人だったライブにも、お客さんが入るかもしれない!
さっそくその日から髪を伸ばし始め、約半年後、綺麗なアフロが完成した。
アフロにして分かったことは、とにかく目立つということ。
家から駅までの道のり、電車の中、バイト先に向かう最中も常に視線を感じていた。
テレビやネット番組の取材も3回くらい受けたと思う。
(これだけ目立っているのだから、ライブにも人がたくさん来るに違いない!)
私は毎日湧き上がるニヤニヤを噛み殺しながら、SNSに自撮りの写真をアップし続けていた。
それでもライブに人は集まらない
私は『成らず者』というロックバンドをやっていたが、全くと言っていいほど集客力がなかった。
理由は、呼ばなくても来てくれるほどのファンがいなかったことと、友達に「ライブ見に来てよ!」と連絡することが申し訳なくなってしまう性格だったからだ。
ライブのたびにお客さんが来ず、バンドのモチベーションもみるみる下がっていくのが分かったので、2017年末に一旦活動をストップした。
そして、バンドの復活イベントを2018年4月24日に決めた。
「成らず者が久々に帰ってくる!」と打ちだして、渋谷GARRETという少し大きめな会場を借りた。
失敗すれば大きな赤字が出ることもわかっていたし、メンバーみんなで苦手な集客・声掛けを頑張った。
ライブ前日までは、何とかなるだろうと思っていた。
アフロにしてから2ヶ月以上が経っていたし、その間声をかけられた人には「ライブやるんです!」とアピールしていたから。
予約はそこまで入っていなかったけど、当日はもっとたくさん人が来るはずだと、どこかで信じていた。
結果から言うと、復活ライブは失敗に終わった。
会場の半分もお客さんは入らず、チケットノルマに届かなかった分(6~7万円くらい)はライブハウスに自腹で支払った。
メンバー全員の財布の中身だけでは足りず、ATMへ向かう途中で来てくれたお客さんを追い越したこと、今でも鮮明に覚えている。
その日以降バンドの雰囲気はどん底になり、メンバーに連絡してもなかなか返信が来ないことが続いた。
起死回生を賭けてYouTuberになる
復活ライブから2ヶ月。
完全にやる気を失ってしまったメンバーに責任を感じていた私は、あることを決心した。
「俺が人気YouTuberになって、次のライブこそお客さんを集めてみせる!」
なんと、復活ライブの失敗を経てもなお、俺はアフロさえあれば人気者になれると信じていたのである。
(こんなにアフロを信じ込めるパワーが今となっては羨ましい。)
YouTubeにネタ動画を投稿し、集客が見込めるような人気者にさえなれば、メンバーもまたやる気を出してくれるはずだ。
早速YouTuberっぽいオープニングを作り、週3回の定期更新を開始した。
動画投稿は自分が勝手に始めたことなので、メンバーには頼れなかった。
1人でネタを考え、スマホ1台で撮影・編集し、YouTubeにアップする生活がしばらく続いた。
誰も得していないことに気づく
怖いくらい当たり前のことだが、素人がいきなりYouTubeに動画を上げたところで、再生数って伸びないものである。
人気者になりたくて始めた動画投稿なので、反応が薄いのは辛かった。
しかもやったことのある人ならわかると思うが、動画の編集ってめちゃくちゃ大変なのだ。
週5でしていたアルバイトの休憩時間・帰宅後の時間はすべて動画作りに費やし、自分でも何が面白いのかわからないまま、半ばヤケクソ気味に動画を作り続けていた。
そんなある日、スマホの動画編集ソフトが動かなくなった。
動画を作れなくなり締め切りに追われなくなると、急に頭が冷静に働くようになった。
「これ、誰が得してるんだろう?」
少なくとも私はもう、動画を作りたいとは思えなくなっていた。
再生数が伸びないのも、きっと見ている人が面白くないと思ったせいだろう。
作り手も受け取り手も望んでいない動画を、しんどい思いして作り続けることに何の意味があるんだ?
私はその日から動画作りをやめ、髪を切ることを決意した。
【まとめ】やりたいことをやるのが一番
当時を振り返ってみると、「目立ちたい」だけをモチベーションにやっていたからこそ辛かったんだろうな、と思う。
もし私が純粋に「人を楽しませたい」とか、「自分や仲間内で面白いと思うものを作りたい」という動機だったら、貧乏でも再生数が少なくても幸せだったかもしれない。
自分のために周りのためにも、やりたいことをやるのが1番です。
今の私はやりたい仕事をして好きな人に囲まれて、ずいぶん恵まれた暮らしをしているなぁと感じる。
こういう暮らしを選べるようになったのは間違いなく、アフロ時代の経験があったからだ。
だからこそ今、あの頃の私へちゃんとお礼を言いたい。
アフロだったころの私よ、マジでありがとう!
愛してるぜ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?