見出し画像

8時4分

しとしと雨降り あなたのいない街
なんら変わらない 三月の景色

空を越えて 海さえ越えて
言葉だけでも届くように
白い光に委ねていた
まだ浅い春の訪れ

チョークでなぞる線で繋ぐ 幼い歌声
窓の外 今日と同じように 雫が流れてた

桜の花もとなりで見れない
まだ、咲かない
咲けないでいるのは私

しとしと雨降り あなたのいない街
いつものように通り過ぎる 光のない朝に

別れは美しい詩だけ残して散った
優しい春の雨に 左手だけ濡らされていく

萌える緑 燃える花びら
全て霧がかかったように
私だけ取り残された いのちの分かれ道

街は華やぐ きれいな色で染まる
でも足は震えたままそこで

しとしと雨降り あなたがいた街
いつものように眺める 曇りガラスに
映るは寝ぼけまなこで揺れる分身
このまま泣いていたら
捨てられないものばかり増えてく