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農民=百姓?|網野善彦『日本の歴史をよみなおす』#読書記録2023

網野善彦の『日本の歴史を読み直す』をやっと読み終えた。歴史になじみがないから全体的に難しかったけど、貨幣・女性・農業あたりの話は多少知識もあったので理解しやすくておもしろかった。主に3つ。

1つ目は「百姓=農民」ではないという話が、ちょっと違う意味でなるほどだった。一般的には百姓=農民という認識だけど、実は海や山を生かして交易していたような人たちも含まれているという話だった。
私はなぜか逆に農民=百姓のイメージを持っていた。私の「農民」は消費者ではなく生産者な感じ。生きるために必要なものを自分たちで生み出したり、とってきたりしているイメージだった。だから漁民も山民も入ると思ってた。どこで自分のそういう認識ができたのかはよくわからないけど。

2つ目は、網野さんが使っている「資本主義」の意味をもう少し掘り下げたいと思った。古くから貨幣を用いた交易がなされていたことをもって、資本主義的なものはこのときからあったというようなことが書かれていたけど、市場と貨幣・交易の起源は別々であること、資本主義は労働力が商品化した経済体制であることを考えると、ちょっと違うかも?という気がした。

3つ目は玉野井先生が書いていたのは「狭義の経済『学』」の成り立ちであって、「狭義の経済」の成り立ちではなかったんだなあということ。イギリスでエンクロージャーがあって労働力が商品化されて〜〜って話は、経済学の歴史であり、イギリスの歴史であるけど、日本の歴史ではなくて、だから日本社会から経済学が立ち上がってたとしたらどんな感じだろうと思った。日本社会の成り立ちについてもっと知ったら、広義の経済の像も見えてくるのかもしれない。

そんなことを考えつつ玉野井先生の本を読み返したら、「本源的蓄積は西ヨーロッパの国々のみにあてはまることをマルクスが指摘していて、それは西ヨーロッパと東洋世界の近代化のあり方が異なること、近代化しない道があることも示唆している」って記述があって、おおおってなった。

日本のそれを辿るのおもしろそう!と思ってたら、次に読んだ藤原先生の『トラクターの世界史』でなんかそれっぽいものを掴んだかもしれない。でもそれはまた次の機会に。


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