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10月から広島大学大学院の博士課程へ進学します!👩‍🎓

10月から広島大学大学院人間社会科学研究科マネジメントプログラムの博士課程に進学することになりました!文化人類学が専門の松嶋健先生のもとで、食と農の地域自給・循環をテーマに研究予定です。
5月末に雨風太陽を退職してから4ヶ月(有休消化も含めると約半年!)のながーいお休み期間を経て、やっと、次のステップに進みます。

お休み期間中していたこと

出願が6月,7月で、試験が8月だったから、大半の時間を研究計画書の作成、試験勉強、研究支援金の申請書類に費やした気がする。あとは会いたい人や行きたいところへ行ったり、学会に参加したり、やってみたかった飲食店バイトをしてみたり、猛暑でカラカラの市民農園にせっせと水やりしたり。

今は会う人会う人に「すごい元気そう!」と言われるくらいには、めちゃくちゃ元気にすごしていた(笑)自分でもすごくいい状態だと感じていて、前向きだし、毎日わくわくしている💃

なぜ博士課程に進学を決めたの?

修論で玉野井芳郎の「生命系の経済」と、それを目指すような食と農の取り組みについて事例研究をした。ほとんど独学での質的研究だったから、ちゃんと学んで書き上げてみたい気持ちはありつつも、一旦やりきったという気持ちだった。今後は実践をしながら「生命系の経済」への探究を続けていこうと雨風太陽で働いた。

働いてみてわかったことは、大きな目指す方向性が一致していることはもちろん大事だけれど、日々そのためにすることを、楽しめるのか、努力できるのかが結構大事だということ。知らないことはある程度までは好奇心で楽しめるし、責任感とかで努力することもできるけれど、長くは持たないし良い状態でなくなってくる。

雨風太陽のことが好きでここで働けるならなんでもやってみたい!というマインドで入ったけれど、いろいろやる中で自分のことがだんだんわかってきた。これから先の人生どう生きていきたいか、日々どんな自分でありたいかを考えた時に、内側からエネルギーが溢れてきて進んでいけるような状態が理想だなと思った。エネルギーが溢れてくること、あまり苦を感じずにむしろ楽しめること、大変でも努力できること、それは私にとってはやはり学問かなあと。

働いている時にしんどかったことの一つは、インプットして思考する時間や心の余裕がなかったことだったし(これは自分の時間の使い方や心の持ちよう次第だったとは思うから、次はもう少し上手くやれそうと思うけど)、お休み期間中にまずやりたいと思ったことは本を読むことだったし、テンションが上がる瞬間はずーっとぐるぐる考えてきたことのヒントを掴んだ瞬間だったりする。

何をするにしても、この時間・余裕は絶対に確保する必要があるし、なんならそれが中心になれば最高。中心になるように、チャレンジしてみたいなと思った。

何を研究するの?

私がずっとテーマとしてきたこと(ライフテーマとでもいうのかな?)は、自分たちの生が依存しているものを知り、それらとのよりよい関係を考えていくこと。もう少し具体的に言えば、特に食と農から生産者と消費者、都市と農村、自然と人間の関係性を問い直し、よりよい暮らしを実践していくこと。そして、その理想像を「生命系の経済」に求めてきた。

これまで私は生産者と消費者という「個人」に着目してきたけれど、今度は都市と農村という「地域」に着目してみたいと思っている。

ポケマルを通して生産者と消費者がつながることの意義やそれによる双方の変化というのはすごく感じた。一方で、つながることで生産者個人が経営を維持できたとしても、その地域が持続可能であるかはまた別の問題で、別の動きが必要になる。また、つながることで消費者個人の生産現場への関心が生まれたり理解が促されたとしても、個人を取り巻くシステムが変わらないと日常の行動は変わりづらい。

輸送や梱包などにかかる環境負荷や物流の担い手不足の問題もある。人口的にもどうしても首都圏の消費者と地方の生産者のつながりが多くなってしまうけれど、中央と地方ではなく地方都市と地方農村などのより小さな範囲でのつながりや自給・循環の仕組みがつくれるといいのだろうなと思う。食と農もそうだけど、エネルギー、材料、経済とかも。
とはいえ、有機給食の議論でもあるけど、地産地消とかって一体誰が求めているの、という話もある気がする。

このあたりを、実際に地域自給・循環に関心のある/あるいはすでにそういうことをやっている地域の中に入って関わりながら研究してみたいなと思っている(具体的な地域はまだ決まってないので、もしそんな地域を知っていたら教えてください笑)

雨風太陽で自治体案件の実施や提案を担当する中で、自治体が地域のためにもっている予算があって、どんな地域の未来を描いて、そのためにどんな事業をするかで、地域の今後は大きく変わってきそうという感覚を得た。自治体側はただ単に国の方針で予算がつくことに合わせてその場その場の事業を行うのではなくて、描いている地域の未来のためにそれを使っていくくらいの心持ちがよさそうだし、企業側もそういう提案をしていく必要がありそう。
働くことに軸足を置いたままではこうして言語化することもその先を考えることも私にはちょっと難しかったから、今度は考える方に軸足を置いてみる。

なぜ広島大学?文化人類学を学ぶの?

指導教員の松嶋健先生とは旅する大学でお会いした。先生のお話をきいたり、著書『プシコ ナウティカ』を読む中で、先生の探究するものが私の関心と重なると感じて、先生のもとで学んでみたいなと思った。

『プシコ ナウティカ』は、イタリアの精神医療について書かれている。かつてイタリアでは、精神病患者が強制収容所のような施設に入れられ、街の生活からは隔離されていた(施設化)が、1960年頃から問い直しが始まった。精神病は脳の問題ではなく、生の文脈から切り離した施設によって見出されるのではないか。本当に治すべきなのは、施設を必要とする社会の方ではないか。そうした考えから、精神病院を廃絶し、地域でケアする地域精神保健サービスがつくられた。7年がけのフィールドワークを通してその過程を記述している。

ただ、その地域そのもの(主に都市)も今や施設化しているのではないかと先生は指摘している。スーパー、学校、会社・・・と機能分化して、それらが交通・情報などのインフラネットワークでつながり、生産性(働けるかどうか)で判断される。「施設度」の違いはあるが、特化した機能を持ち、外から孤立していて、サービスの提供者と受給者に分かれている。「脱施設化」には、諸施設のネットワークに完全に依存しない、別のつながりと拡がりの中で生きていけるような場が重要であり、その中で「地域社会生命圏」としての地域という見方が耕されていくという。この「地域社会生命圏」は、まさに「生命系の経済」を実現する場としての地域ではないかと感じた。

文化人類学というと、アフリカとかでのフィールドワークをイメージするかもしれないけれど(私もそうだった)、旅する大学に参加する中でそうではないことを学んだし感じた。農学は農業や農村という対象にひとつ特徴があるけれど、文化人類学の場合は文化や人類という対象よりも、手法というかものの見方に特徴があると理解している。フィールドワークは重要だけど、その場所や距離は問題ではなくて、自分の生きる世界とは違うロジックで動いている世界に入り込んで、そのロジックについて研究していく。

最近読んだ本だと人類学は
・人々についてではなく、人々とともに研究する(ティム・インゴルド『人類学とは何か』)
・分割が基本の近代西洋の知に抗するかたちで、全体としての人間を考える(竹沢尚一郎『人類学的思考の歴史』)
のだそう。

私は実際の社会から問いを立てて研究してまた社会に還元していくような研究の仕方に関心があったし(アクションリサーチみたいな)、量的研究をする中でそこからこぼれ落ちるものに関心を持って質的研究がしてみたいと思っていたので、そういう意味では人類学はぴったりかもしれないと思っている。

博士号とれたらそのあとは?

アカデミアと社会の間の存在になれるといいなと思っている。

分野にもよるかもしれないけれど、もっとアカデミアと社会がつながればいいのにと、研究をしているときも、働いている時も感じていた。アカデミアの側では研究課題が見つからなくて先行研究から空白の領域を探すようなことがある一方で、社会の側では解決したい社会課題や知恵がほしい現場の人がたくさんいたり。せっかくお金や時間をかけて研究した成果がある一方で、全然社会では生かされてなかったり。

地域に住んで地域の問題解決につながる研究をする「レジデント型の研究者」とか、最近では人類学者や哲学者が会社を立ち上げて企業のコンサルティングをしていたりと、いろんな形があるなーと思っている。

どんな形かはわかんないけど、とりあえずそんな方向に進んでみたいなという気持ち!

お金とかライフイベントとか

仕事辞めてしばらく貯金で暮らしてて、それが今度は大学院とか言い出して、なんなら夫も大学院生で、双方の親もびっくりな状態だけど、当の本人は「大丈夫!なるようになる、なんとかする!」という感じなので、余計に心配をかけている、ということは自覚しているが、自分の心に素直に、ありたいようにあれるように方法を模索したいと思う。とりあえず免除やら研究支援金が通ることを祈りつつ、通らなかったら(通っても足りない分は)働いてがんばる。何か良さげなお仕事あればぜひ声かけてください🙏笑

あとは妊娠出産のタイミングとかはやっぱり悩みどころ。博士号とってからとか思うといつになるかわからないので、たぶん途中で挟む感じになるかな(そもそもそんな都合よく授かれるのか)と思いつつ、まぁこれもなるようになるだろうか。

最後に

10月からは1年ほど広島に拠点を移し、夫のいる熊本へは月1くらいで帰る生活になる。もともと理系で経済学以外は人文社会科学をちゃんと勉強したことがないので、人類学、哲学、社会学あたりの授業をとってしっかり勉強するつもり。

いつもぐるぐるし続ける私の話をきいてくれたり、相談にのってくれているみなさん、本当にありがとうございます!!引き続きというかさらに(?)ぐるぐるすると思うので、これからもよろしくお願いします笑 広島か熊本に来ることがあればぜひ声をかけてください❣️

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岸本華果
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