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修学旅行すき焼き事件

今でも忘れることのできない修学旅行の思い出がある。

私が高校2年生の時、世間は「新型インフルエンザ」が大流行していた年だった。
そのため修学旅行は延期となり、2年生が終わるギリギリ3月に流行が落ち着き始めやっと修学旅行に行けた。
介助が必要だろうという学校側の判断で、母親も強制的同行することになった。
修学旅行に母親も行かなければいけないという事が嫌だった私は、昼間は母親と別行動してお風呂など介助が必要になるであろう夜は母親と一緒にいると事で学校側の許可を得た。

いざ!楽しみしていた修学旅行。行き先は「京都・奈良・大阪・神戸」だった。

まずは、奈良・京都観光から始まった修学旅行。
定番の奈良公園のシカ見たり、京都の金閣寺に行ったり王道のコース。
3月上旬だったこともあって京都はとにかく寒かった。防寒はして行ったけど、ずっと外にいたら結構冷えた。
その日の夜ご飯は、そんな冷えた身体を暖めるのにもピッタリなお店だった。
京都のすき焼き屋さんだったのだ。京都のすき焼きって言うだけで美味しそうだなー、京都だから薄めの味付けなのかなーなんて私はワクワクしていた。
お店に入ると、私と母親だけカウンターで他の同級生達は奥の座敷へと案内された。私はみんなと一緒じゃないのかと少し残念に思ったが、ゆっくりすき焼き食べれるからいいか!と思っていた。

まさかこの時はこの後とんでもないことになるとは思ってもいなかった。

カウンターに座った私と母親の元に、料理長自らすき焼きを作ってくれるため来てくれた。料理長が作ってくれるなんて絶対美味しいすき焼きが出来上がるのだろうと期待感が一気に高まる。

グツグツと煮込まれて出来上がったすき焼き。いよいよ食べれる時が来た!
ワクワクしながら、お肉を卵に付けて一口食べた。

ん???

味がしない、、、
京都は薄味にしてもあまりにも味がしない、、、
北海道はどちらかと言うと濃い味だから、自分の味覚のせいか?
いや卵の味しかしないなこれ。何かがおかしくないか?

一瞬の内に私の頭の中でいろんなことを考えた。そして母親に小さな声で聞いてみた。

「ねぇ母さんこのすき焼き味しなくない?」
「全然味しない。何かおかしいけど目の前に料理長いるに味しないなんて言えないでしょ。」

確かに。目の前で料理長は美味しいでしょ?とでも言いたげな顔でこちらを見ている。
味しないなんて絶対に言えない雰囲気が漂っているのだ。

料理長出汁入れてないのか?水で煮込んだのかと思いながら、仕方ないので味しないすき焼きを食べていた。
すると料理長がどこへ行ったではないか!これはもう女将さんに聞いてみるしかない!

「あのー、、、このすき焼き味がしないんです。お出汁入れてもらうことできますか?」
「えっ!?味しませんか!?ちょっと待ってくださいね」

慌てて何かを確認している女将さん。本来すき焼き食べて味しないわけがないんだからそりゃ慌てるだろう。

「お客様申し訳ありません。料理長がお出汁の容器と番茶の容器を間違えて番茶で煮込んだみたいです。。。すぐにお出汁入れて煮込みしますので。申し訳ないです。」

えええええええ!!!!

そんな事ある!?もはやコントかっていう勢いの衝撃。
料理長が出汁と番茶間違える???
そんな事あるはずないだろと思うほどの驚き。でもこれ実際に起こった出来事。

お出汁が入ったすき焼きはもちろん、ちゃんと味のするすき焼きになった。
その後お店を出るまで料理長が出てくることはなかった、、

これが私の修学旅行すき焼き事件だ。
今となれば笑い話の思い出になっている。

世の中が落ち着いたら京都に美味しい本物のすき焼きを食べに行きたいな。

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