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「多様性の科学」~グローバルで働く全ての人に必須な思考法~

「多様性の科学」という本(著者:マシューサイド)を読んだ。アメリカのCIA組織、クローン集団の危険性、エベレスト登山の事件、白人至上主義デレクブラックなどの実例を踏まえながら、これからの組織や社会において、必要な問題解決に必要な視点ー「多様性」ーを持つ重要性を説いた本。

何が面白いかって、根拠を裏付ける数々の事例の、カバー範囲の広さと目から鱗な納得性。民族的、文化的な問題にとどまらず、ビジネスから政治、歴史学から進化生物学の観点で、一貫して、「多様性」を持つことで何がどう変わるかを教えてくれる。事例と主張が気持ちいいくらいに結びついていて、自分の「バイアス」に気づけるとともに、とにかく世界の様々な問題を構造的に見る「眼鏡」を提供してくれるような本で、私の知的好奇心はくすぐられまくりました。

主張は、以下の通り。

集合知の高い社会に向けて、あらゆる背景の人々に才能を追求するチャンスを与え、知識のネットワークを拡大すれば、様々な複雑な問題に答えを出していける。そのためには、構造的なバイアスの解体が欠かせない。

「多様性の科学」著者:マシューサイド

つまり、この本での主張は以下3点である。
1.多様性が欠如することで、世界中色々の問題が起きている。
2.ただ人間はそもそも画一性を好む生きものである。
3.そのためまずは、自らのバイアスに気づくことが、第一歩になる。

多様性を持つことで問題解決に生かす、というロジックについては、複数事例と共に繰返し説明されているから、ぜひ本書を読んでみてほしい。が、3の「バイアス」がどんなものかを以下で紹介したい。

・同じ考え方の人といると、自分は正しい、頭がいいと感じていられるし、自分の意見を肯定されると、脳内の快楽中枢が刺激される、という研究結果がある。

・霊長類種の時代から、人間の本能には「ヒエラルキー」は存在していて、特に人は自分が不安なとき、他人の主導力で「埋め合わせ」する心理(代償調整)が働く。

・一つの問題に没頭していると、その細部に取り込まれて行って、そこにいることが楽になるし表面的調整をして満足してしまい、自分の枠組みの囚人になってしまう。インターネットは、同じ思想を持つ画一的な集団が点々と存在する場所になってしまう危険性をはらんでいる。

「多様性の科学」著者:マシューサイド

自分の企業で考えてみても、思い当たる節がある。組織の中での皆の思考は、どんどん似た思考になっていく。互いに反対意見なく意見を肯定しあえる時、自分は頭が良いと信じられるし、認められると感じ、居心地が良くなっていく。

ただ、その組織では、組織外の予測不能な問題にぶち当たったとき、非常に危険。特にそのことに自分自身が気づいていたいことが、更に危険。9.11のハイジャック犯行を事前に見抜けなかったCIAの当時の組織にも同じような傾向があった。建設的な意見をいう人や反逆者こそ、VUCAの時代の改革や問題解決を導く。一寸先のビジネスが不透明で、何が正解かわからない今だからこそ、「多様性」の視点を個々人が持ち始めることが重要である。

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織 | マシュー・サイド | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

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