見出し画像

学生たちの「世界観」とは何か

最近、学生のレポートや会話の中で「世界観」という言葉を耳にすることが増えました。彼らの日常語彙に自然と組み込まれているこの言葉。何気なく使われる一方で、深い意味を持つ言葉でもあります。私もずっと「世界観」という言葉に興味を持っていましたが、具体的にどう捉えるべきか悩んでいました。

世界観エンタメの新潮流

『〈面白さ〉の研究―世界観エンタメはなぜブームを生むのか―』(角川新書・2015)という本を手に取ると、エンターテイメントの新しい潮流が見えてきました。「スター・ウォーズ」「千と千尋の神隠し」「進撃の巨人」など、どれも魅力的な物語が展開される一方で、その背景にある**「世界観」**が物語以上に人々を引きつけていることに気づきました。物語を超えた「世界に住みたい」という感覚が、現代のエンタメの核心にあるようです。

印象的な作品たち

2015年以降、特に印象的なのは、『君の名は。』や『鬼滅の刃』といった作品です。『君の名は。』では、東京と地方都市を繋ぐ時間と空間の交錯が描かれ、その独特な世界観が観客を魅了しました。『鬼滅の刃』は大正時代の日本を舞台にした独自の世界観とキャラクターたちの葛藤が見事に融合し、多くの人々を虜にしました。こうした作品の成功は、「物語」そのものよりも、「世界観」に共感し、それを体験したいという欲求が鍵となっているように思います。

デジタルとリアルの融合

また、スマートフォンゲーム『Pokémon GO』の登場で、「デジタルとリアル」が融合する新しいエンタメ体験が広がりました。街を歩きながらポケモンを捕まえることで、プレイヤーはゲームの世界と現実の世界の境界を超える体験をしています。これは、「世界観」の持つ力が、物理的な空間と時間の感覚を超越し始めた例と言えるでしょう。

若者たちの「世界観エンタメ」への共感

若者たちがこうした「世界観エンタメ」に魅了される背景には、何があるのでしょうか。単なる「物語の消費」ではなく、その世界に「住んでみたい」と感じる共感と没入感が求められているのかもしれません。これは、伝統的なドラマや映画が持つ「感動」や「共感」とは異なる、新しい形のエンターテイメントです。

教育現場での「世界観」の対話

私も学生たちともっと「世界観」について語り合いたいと思います。彼らがどんな世界観に魅了され、その背景にどんな思いがあるのかを知ることで、教育現場における新しい対話の可能性が広がる予感がします。例えば、講義で「AIを使って自分の好きな世界観を描いてみよう」という課題を出し、学生たちとその世界観について意見を交わしてみたいと思います。きっと新した視点や発見が生まれるはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?