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虐待を受けたからと言って人間不信になるわけではない

虐待を受けた人は、人間不信になると思う人がいるかもしれない。
でもそれって、ただの先入観だったりする。
ごく稀に、人間不信どころか人間が大好きだ!と言う人もいるのよ。
めっちゃレアキャラかもしれない。
ドラゴンボールが7つ集まるぐらい、珍しいことだとも思う。

私がそうなんですが、
虐待を受けてきて人間不信になるどころか、
人間が大好きで。

人を信じることを諦めたくないとか、
そういったものではなく。
幸せそうな人を見て、
「キーッ!」と腹立てたことは何度もあるけど、
それってただの僻みだと気付いたら恥ずかしくなっちゃって。

今では、
心の底から人間という生臭い生き物を好きだなぁって思うんですよ。

虐待を受けたことがない人からすれば、
「そんな壮絶な経験をしたら人間不信になるよ!」と思うよね。

チッチッチ(花輪くん風に)
それはあなたの勘違いです。

むしろ虐待を受けてきたからこそ、
私は人間が好きなんだ。

私が幼少期の頃、
母はとてもヒステリックだった。
そして父は、
いつも冷静な人。
虐待の主犯格は母で、
父はそれを黙って見ているだけ。
父から何かされた記憶はないけど、
あえて言うなら私を助けないといった共犯説はある。

さらには妹が重度障害を持っていることを理由に、
半ば強制的に妹の介護をさせる母。
父は私の成長と共に酒を飲む頻度が増え、
毎朝洗面所で血を吐くというルーティンを欠かしたことがなかった。

重度障害を持つ妹には激甘で、
私には激辛料理並みにスパイシーな母。
母のいないところでこっそり優しい父が、
私にとって唯一の救いだった。
母に内緒で丼に移さずに行平鍋ごと食べた、
父の作ってくれたチャルメラの味は今でも忘れない。

そして追い討ちをかけるかのように、
保育園の頃から特定の友達二人にいじめられてきた。
その友達も面白いもので、
一人の時は仲良くしてくれる時もあった。
でも、
二人がセットになると私をいじめるのだ。

そんな劣悪な環境の中で育ってきたからだろうか。

私は昔から、
人が何を考えて行動しているのかを考えることが大好きだ。

例えば、
私が学生の頃交際していた彼氏のお母さん。
このお母さんはとても曲者で、
息子のしでかしたことは全て私のせいにしてくる。

今でいうモンスターペアレントというやつね。

息子の帰宅時間が遅ければ私のせい。
息子の成績が落ちれば私のせい。
とにかく何かあるごとに私の自宅に電話をしてきて、
母に私の悪口を吹き込むのだ。

はじめは、
ただただ悲しかった。
私の前ではニコニコしているのに、
私の母には電話で悪口を言っているのだから。

そんな状況が続くと、
彼氏のお母さんが私の悪口を言う理由に、
興味を示すようになった。

これはきっと、
息子を取られた腹いせかもしれない。
それに、
このお母さんは私に息子を取られることが怖いのだろう。

そう、
このお母さんこそが今でいう毒親なのだ。
本人はきっと、
毒親なつもりは絶対にない。
だけど、
今でいうモンスターペアレントであり毒親なお母さんに「NO」と言える人はいなかった。

今となっては、
彼氏のお母さんは自分の躾や教育に間違いがあったことを、
私のせいにして逃げていたんだと思う。
どう考えても女の子を遅くまで連れ回す男なんて、
世間的には印象が悪い。
彼女ができて成績が落ちたことも、
世間的には「自己管理ができない」と思われるだろう。

それを私のせいにして、
現実から目を背けたかったと推測する。

モンスターペアレントの心理を紐解くと実に面白く。
「自分の躾・教育が間違っていたことを認めたくない」といった、
心理が働いている。
そこを指摘される前に、
他人のせいにして自分を守る。
それがモンスターペアレントの心理。

他にも、
「私たち親友だよね」と口癖のようにほざく友達がいた。
この子は私に親友だとほざいておきながら、
共通の友達に私の悪口を言っていたのだ。

そしてその共通の友達にも、
「私たち親友だよね」とほざいていたものだから、
女という生き物は怖い。

他にも書ききれなぐらいに、
心が満たされていない人との出会いがあった。

そんな出会いと別れを繰り返していくうちに、
もっと人を知りたいと思うようになる私。

どうして母は私を虐待するのか?
どうして父は、母がいないと優しく母がいると助けてくれないのか?
どうして友達は私をいじめる割に、単独だといじめないのか?
どうして彼氏の母は、影で私を悪く言う割に私の前ではニコニコなのか?

幼少期から私は、
「どうして」と自分で考える癖がついていた。
簡単に言えば、
起きた物事に理由をつけないと気が済まないのだろう。

そして、
人間観察が大好きだった。

人間観察が好きな人は、
心のどこかで他人を恐れ、
それでも人を好きになりたい心理状態だと言われている。

虐待を受けてきた私は、
それでも家族と仲良くしたかったのだろう。
冷静に家族のことを分析し、
仲良くなる方法を探していたのかもしれない。

虐待を受けてきた傷を癒すことに時間はかかったけど、
新しい人間関係を構築するうえでの貴重な学びだったとさえ思う。

もしあなたの周りに私と同じようなレアキャラがいたら、
「虐待を受けてきたのに、よく人と仲良くできるね」なんて言わないで欲しい。
どんな過去があっても、
現在の人間関係に劣悪な過去の経験が大きく影響するとは限らない。

劣悪な過去の経験を武器に、
自分スキルを上げたい!という人だっている。
私もその一人。

みんな違っていいし、
生き方に正解なんてない。

もちろん、
人間という生き物に正解なんて存在しないのだから。

私は今でも、
人間観察が大好きで人間という生臭い生き物が大好きである。

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松永春奈
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