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No.6【使い捨てない!自然を循環するみつろうラップ】

宮城県にてオンラインショップを運営するスズノキ堂。
地球に負担がかからず、それでいて日々わくわく楽しく使用できる日用品を販売したり、暮らし方を提案しています。今回はスズノキ堂で作成している、使い捨てずに繰り返し使用できるラップ「みつろうラップ」に焦点を当て、店主の鈴木さんにお話を伺いました。

使い捨てない暮らしをオンラインで発信

ーお店(オンラインショップ)の紹介を簡単にお願いします。

肩肘はらずに無理をせずに使い捨てをしない暮らし、というのを元々提案していて、イベントやオンラインで日々使っていてわくわく楽しく使える物、そして、地球に負荷があまりない物、この両方が成立する物を販売しています。
お店でもインターネットでも、買い物をするだけで使い捨ての包装ゴミが発生するのも気になっていたので、できるだけ簡易包装で、プラスチックは使わない、というコンセプトで行なっています。
ただ、オンラインショップがメインなのではありません。実店舗が無いので、普段はイベント出店がメインでお客様とお話して商品を販売したりワークショップをするのがメインです。元々はみつろうラップを作るワークショップのみをやっていました。
SNSでイベントやワークショップの情報や思っていることを発信していくうちに、県外の方からもご連絡いただくこともありがたいことに増えてきて、オンラインショップを立ち上げるに至りました。

ー今も県外の人がご購入されることが多いのでしょうか?

一度ワークショップに参加してくださった県内の方もいらっしゃるんですけど、県外のお客様も遠くて沖縄の方もいらっしゃるので、すごく嬉しいです。

ー良いですね。それがオンラインショップの良さでもありますもんね。

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自然を循環するラップ

ー普通のラップではなく、みつろうラップならではの特徴はありますか?

まずパッと思いつくのは、使い捨てないところ。使ったら、すぐ捨てるのではなくて、洗って何度も繰り返し使える。そしてだんだん使っていくうちに皺々になったり、ちょっと”ろう”が剥がれてきてしまって、密着しなくなってしまうんですね。
そういう時はアイロンを使って簡単にお直しができたりするので、自分で直しながら使用することができる。私はお直ししながら何年も使い続けているんですけど、ボロボロになっちゃったら、細かくハサミで切って土に埋めてあげる。スズノキ堂のみつろうラップは全て天然のもので出来ているので、土に還り、自然を循環します。

ー本当にゴミにならないんですね。アイロンをかけると剥がれたみつろうも復活するんですか?

剥がれきってなければ、布に残っているみつろうをアイロンの熱で溶かして、滑らかにしてあげるという感じでお直ししていきます。みつろうが剥がれてしまって粘着力が無いという場合はみつろうをちょっと足してあげる必要があるんですけど、それも簡単にできるので、それをいつもワークショップでお伝えしています。

ーみつろうラップを長く使うためのコツはありますか?

愛着を持って、使うことですかね。
使い捨てだとどうしても手元を意識しないで使いがちだなと思っていて、さらに、テレビ見ながらとか、携帯見ながらとか、どうしても便利な生活になってしまうと頭ばかり働いてしまって手元に意識がいかなくなってしまうので、心ここにあらずになってしまいがち。なので、五感を意識して包んでいるものをちゃんと見て、触れて、ということがすごく大事だなと。
そういうのってきっと物にも伝わると思うので、愛着を持って、使うことがコツかなと思います。

ーちなみにどれくらい長く使えるものなんですか?

使う頻度にもよるのですが、一般的に売っている他のメーカーさんの詳細を見てみると大体一年位と説明されています。でも私は頻繁にお直しをしながら使っているので、3年以上は使い続けていますね。布がちぎれなければ、使えるんじゃないかと。

ー元々布なので、結構頑丈なんですね。

そうですね。包むものが食べ物なので、すぐ破けたりということはよほどのことがないかぎり無いですね。
ただおうちの状況によってはカビがどうしても生えやすかったりします。カビが生えた時は、生えちゃったところをはさみで切って、ぜひコンポストや土に埋めて欲しいです。カビの生えていない部分はお弁当の仕切りにしたり持ち歩きのカラトリーを包んだり、色々使えます。
お弁当のカップなども大体使い捨てだったりしますが、毎日使うと大量のゴミになりますよね。

ーちなみにカビなどを生えさせないように、定期的に乾かしてあげたり、お手入れをする必要があるのでしょうか?

そうですね。使ったら洗ってあげて、水気を切って吊るして乾かします。あとはお皿を洗った後に置いておく水切りカゴに置いておくとか、なんでも良いんですが、乾けばOKです。

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みつろうラップからはじめる、丁寧な暮らし

ーみつろうラップを使用することで、どのように暮らしが変わりますか?

先程もちょっとお話ししたのですが、単純に使い捨てのラップのゴミが減り、ラップがなくても生活ができる、ということに自ずと気づく。そうすると、便利だからという理由で使っていたような物に対しても、「あ、なくても大丈夫じゃん」っていう風に気付きが広がっていってどんどん生活がシンプルになっていきます。そうすると、自然と物が減り、物に溢れた生活から脱却できるし、思考も生活もどんどんシンプルになるという良い循環が生まれていきます。
買う物もその分減るので、出費も減るし良いこと尽くめなんです。買うものが多いと悩んじゃったりするんですけど、そういうところで悩むこともなくなるので、心にも余裕ができるのかなと思います。
生活を便利に楽にするためにいろんな商品が溢れているけど、私たちの生活って楽にならないじゃないですか。むしろなぜかもっともっと忙しくなってしまって。なのでみつろうラップを使うことはそこをどんどん戻していく作業のきっかけになると思います。

ー本当にそうですね。これから進化していくものもあれば、後退して元の暮らしを見直して戻っていくものがあるんじゃ無いかな、と思っていて、その1つが繕うことだったりとか、リノベーションもどんどん行われてきて、暮らしについても見直されてきているのかな、と思います。

そうですね。住まいに関しても外国だとずっと長く住んだり、中古に住んだり、日本では目新しいものがスタンダードのようですね。色々あるみたいですけどね。

ーちなみに、物が減るということは例えば最近ミニマリストの方とか増えてきていますが、そんな感じでミニマルになっていくということなんでしょうか?

そうですね。思考も視界もすごくクリアになるというか…
心にも時間にも余裕が生まれるってそれだけですごい豊かみたいな…!

ーいつ頃からこのようなみつろうラップを始めたのでしょうか?

2、3年前に。もともと趣味のアロマテラピーを活かして、アロマのみつろうクリーム作りなどのワークショップをしていました。みつろうの使い道が他に無いかなと思っていたところ、いろいろ調べていたら、みつろうラップっていうのを知って。

環境問題と私たち生き物の生命は繋がっているからこそ、今の地球環境や私たち人間の健康状態に危機感を感じていたこともあり、みつろうラップ作りのワークショップをすることで地球や自分たちにとって最善の洗濯ができるきっかけ作りに慣れたら良いなと。それで、作るのが好きな方にはワークショップ、作るのは苦手だけど使いたいという方もいらっしゃるので販売もするようになりました。

ー結構みつろうって色々な使い道があるんですね。

そうなんです。みつろうは養蜂家さんから仕入れて、そのみつろうとホホバオイルと松脂(まつやに)を自分でブレンドしています。
山形の朝日町の「ハチ蜜の森キャンドル」さんという素敵な養蜂家さんのみつろうを使わせていただくこともあります。みつろうに残っている残留農薬もちゃんと検査されているんです。みつばちって花の蜜を吸うときにそこで農薬も一緒に摂取しちゃうので、みつばちの体だけでなく、ハチミツにもみつろうにも農薬が残るんです。口に入るものを包むものだから、どんな質のものかは譲れない条件ですね。みつばちにも愛情を持っておられる養蜂家さんを支援する意味もあります。

ーとっても安全なんですね。

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みつろうラップ、繕うことから考える、これからのこと

ー「繕う」ということが今より広まることで、10年後はどう変わると思いますか?
使い捨てが当たり前の時代から、物を最後まで大事に使い尽くす暮らしの良さが再認識されていくようになると思います。
昔は着物をお布団にしたり、子どもの布おむつにしたり、雑巾にしたりし、最後は燃料にして、灰になったらそれを石鹸がわりにしたり、肥料にして…と最後まで使い尽くすのがあたりまえでした。昔のようにそっくりそのままライフスタイルを戻すのは難しいですが、最後まで責任を持って使い尽くすことに意識を向けた生活に変わっていくと思います。
そして安く大量に買う、というお買い物スタイルから、質が良いものを必要な分だけ購入するお買い物に、そして誰から買うのかということを重要視する買い方になっていくと思います。

ーそうですね。ファストファッションもエシカルな物だったりとか、産地や作り手もちゃんとWin-Winな関係になれるものも増えてきてますもんね。

これ(みつろうラップ)もオーガニックコットンで作っています。農薬を使わないで物を作り上げることは使う人だけじゃなくて、生産者の金銭面や健康、土壌や水環境を守ることにも繋がっています。
ものが作られる環境から私たちの手元に届くまで。全て繋がっていることです。それを知っていて欲しいので、スズノキ堂では無農薬の物を使用していますし、ワークショップやイベントでもお伝えしています。

ー本当に素敵ですね。

ー次世代の消費者に伝えたいことがあれば、教えてください。

今、お洋服のことでもちょっと触れたんですけど、今自分たちが日頃、何気なく使ったり買ったりするもの衣食住に関わらず、どんな人たち、どんな条件で作って、ということを知って欲しいな、と思います。
そしてその商品を使い終えたとき、どんな風に処理されていくのか、というのを調べたり、考えた上で購入していけるようになって欲しいなと思います。そして、私たち大人は、子どもたちにそういう考え方とか、購入の仕方を教えていける大人にならなくちゃいけないと思います。
今の時代、使い捨てやプラスチックを完全にゼロにして生きていくことはできません。だけど、意識を変えることはいくらでも出来ます。
まずは私たち大人がそういう余裕を持って生きる社会の仕組みを作っていき、愛をもって子ども達に伝えていくことかな、と。

ーそうですね。私も大きくなってもそういうのを心がけられるようになりたいです。本当にこれから環境問題や、プラスチックのゴミ袋が廃止されたということもあって、若い方も結構環境問題に興味を持つきっかけになる人が多いのかなと思いました!

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地球を思いやる、新しいラップ

ー実際にみつろうラップを触らせていただいても良いですか?

どうぞー!

ー結構しっかりしているんですね。

パンやおにぎりとかお野菜の切れ端など、使い捨てのラップのように使えます。
子育て中は特に食べ物を持ち歩くことが多く、そんなときにもみつろうラップが役に立ちますよ。
また、みつろうラップによる抗菌・保湿作用で、包んだ食材も長持ちします。りんごを包んだ場合は変色が遅くなるし、遅いとその分食品ロスも減るから良いなと。

ーすごい!そんな作用もあったんですね。

みつばちって本当にすごいんです。でもみつばちって最近すごい減っているって聞いたことありますか?
みつばちの数がどんどん減っていて、諸説あるんですけど、アインシュタインが「みつばちが滅亡すると人間は大体数年で滅亡する」って言い残してるくらいなんです。なんでかと言うと、私たちが食べる食べ物ってほとんどみつばちの受粉によって作られていて、鳥や豚などの餌もみつばちの受粉によってできているから、野菜や果物だけじゃなくて、お肉や牛乳や卵も食べられなくなっちゃうんです。

ー恐ろしいですね…。

こう言う話をするとだんだん暗くなってきてしまいますよね、「地球のためにみつろうラップを使わなきゃ!」と言って使っても全然楽しくないし、続かないです。環境問題のお話もしますが、一番は地球にも私たちにも優しい生活は楽しくできるんだよ、ということを伝えたくてワークショップをしています。でも、みつろうラップを使うことを強制しているのではなく、地球に住む一員という意識、自分だけではなく周りの人や環境に優しさを循環できる心の余裕を作り出すことが大事だと思っているので、そこを一番強調しています。

ー環境を考えながらも、日常の暮らしの中で楽しく使えるみつろうラップ、とても素敵です。本日はありがとうございました!

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スズノキ堂
オンラインショップにて商品を販売中
HP:https://suzunokidou.stores.jp/
Instagram:@suzunokidou_home

協力:スズノキ堂
interviewer / writer:加藤はる
photo:浅野美海

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