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小説 これは私の夢のはなし

🐑#010 ラストストーリー

目が覚めると窓から日差しが眩しく感じれた。
もう起き上がれない程身体は弱っていた。
長い長い夢を見た。
わたしになっていた気がすると、ハル子は微笑みを浮かべた。

「お嬢様、お庭の桜が満開で綺麗でございますよ。」メイドが少しだけ窓を開ける。

「滝山、夢を見ていたの。」

メイドの滝山は、呟くはる子を優しく見た。
滝山は、ハル子の子供の時からのメイドだ。

「どんな夢でございますか?」
滝山はベッドの横の丸い木の椅子に座った。

「手紙泥棒に手紙を書いたり、博物館にいたり、雷雲にも乗ったわ。それと喫茶店の父母が煎れてくれたコーヒーを飲んでサンドイッチを食べて洗い物をしたわ。ふふ。」
ハル子は楽しそうに笑う。

滝山は驚いて言う。
「まぁ。それは楽しそうな夢でございますね。」

「占い師がいて、私は赤ちゃんになって、犬がいて、、、、」
ハル子は息が続かないで息切れした。

「無理をされてはいけませんので。」
滝山は、ハル子を心配そうに気遣う。

「滝山、“生まれ変わり”ってあるのかしら。」
独り言のように言うハル子に滝山は優しく見つめて「左様でございますね。」とだけ言った。

「私はあの“ハルさん”になるのかしら。」
ハル子はポツリと呟いた。

少し間があってからはる子は声を絞り出した。
「滝山、お願いがあるの。」


滝山は「何でございましょう?」とハル子が細い痩せ細った白い左手を差し出すと手に持っていたペンダントを見せた。


「*あの人*がここに来たら、これを渡しほしいの。それと幸せになってと伝えて。お願いね。
    滝山、いろいろ有り難う。」

滝山は、ハル子の左手をそっと握るとペンダントを無言で受け取り、下を見て顔を両手で覆った。
目には大粒の涙がこぼれた。

「何だか穏やかな気持ちなの。」

ハル子は微笑みを浮かべて、ゆっくりとゆっくり目とを閉じた。
瞳には一筋の涙が流れた。

「“さよなら、あなた” 」

ハル子は遠のく意識のなか呟いた。


庭の桜の下ではあの人と居た季節のような風が舞い木々が木漏れ日に影をつくる。


そして、ハル子は長い長い眠りについた。

🌸これは私の夢のはなし🌸

ジーと静かな部屋に機械音が微かにする

「ちと、メロドラマ過ぎたかな。」
最近、独り言が増えた。
私はパソコンの画面をガン見している。

小さな犬はあくびをし、よいしょと後ろ脚を伸ばす。私があくびをするのを確認して椅子の横にふせをする。

パチパチとキーボードを打つ音が静かな部屋に響いている。

無機質なパソコンではなしを書いている。
私は最後に書く。



これは私の夢のはなし
おしまい。

あとがき

*あの人* 桜の人。ハル子さんを探していた人
#003  よろしければそちらもご覧ください

🌸これは私の夢のはなし🌸をお読みいただき有り難うございます。
なんとなく初めて小説もどきを書くことに味をしめて10作品も書いてしまいました。
こんな「ど素人の小説もどき」を読んで頂いた方、スキをして頂いた方、ちらりとでも目をとめて頂いた方、本当に有り難うございました。
🐑これは私の夢のはなし🐑は主人公“わたし”が夢の中で色々な物語にいる、その物語を“私”がストーリーとして書いていると言う設定で書きました。
また夢のはなしの登場人物の話を書けたらと思います。
物語を書いていろいろな発見がありとても勉強になりました。
noteさま有り難うございます。
また物書きを致しますのでどうぞ長い目で今後ともご覧いただければと思います😊
本当に有り難うございました。

                                                                              

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