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日本人があえて、東南アジアでスタートアップ起業する理由

※記事を書いた日は6月26日になります。

フィリピンに来て、1週間今ここで感じていることにすごく価値があると思っているので、久しぶりにnoteを開けました。
今このブログをまさにここフィリピンで書いてます。2022年6月26日のこのブログはきっと自分でも後々見返すものになると思っているくらい今色々込み上げるものがあるので文章にまとめておきます。

このブログでは、この死ぬほど住みにくいマニラを経験した上で今感じていること、課題だらけの場所でスタートアップ起業することに意義があること、不便を通り越して”消耗”するこの世界で実現したいこと、最後になんでスモールビジネスをエンパワーメントすることが世界をよりよくすることにつながるのかについて書きます。

結論だけさっと読みたい方は、”課題のある場所でこそスタートアップすることに価値がある。日本には課題は少ない。”まで飛ばしてください!


人が人らしく輝ける世界をつくるためにkamilas4am株式会社を起業しました

さて、知らない方もいるかもしれませんが、私は2022年3月28日にkamilas4am株式会社を共同創業者のミミとともに設立しました。
"Empowering small business owners" スモールビジネスオーナーをエンパワーメントすることをミッションにしているスタートアップです。
”人が人らしく輝ける世界をつくる”ことをビジョンに掲げて日々直向きに頑張ってます。
これは私たち自身もスモールビジネスオーナーであったこと(Kamila's 4am Art)、また自分の周りでもパッションを仕事にできないことで輝けていない人たちをたくさん見てきたので、スタートアップとしてスモールビジネスを支えてよりより世界をつくる!という志で起業しました。

ちょっとだけ会社のことを説明しておくと、日本人は自分だけで英語が社内公用語の名古屋のスタートアップです。私、堀真輔(通称ハリー)とミミで起業してます。普段は名古屋のPRE STATION Aiに入居しており、今はプレシードのエンジェルラウンドが終わりそうな段階で、現在3週間(ミミはもうちょっと長め)フィリピンに来てます。チームは、副業メンバーがフィリピンと日本に10名弱いる生まれたてのスタートアップです。

kamilaってなに?4amって何?とよく聞かれますが、以下のエントリーが参考になると思うので貼っておきます。

一度ホームレスになったら大人になってもホームレスのフィリピン


私が大好きな漫画キングダムの映画のトライラーでこんな言葉が出てきますが、フィリピンにいると常に思い出させられます。

「一度奴隷になったら大人になっても奴隷。抜け出すには剣しかない。」
英語訳は以下。
"Once a slave, always a slave… The only way out of this life is by the sword."

映画『キングダム』予告

なんでいきなりキングダム?

そう思った方もいるかと思うかと思いますが、まずはマニラを理解するためにこのトピックから始めさせてください(ちなみに私はキングダムの大ファンで何回も漫画を読み返してます)。
私にとって今回が4回目のフィリピンですが、起業後は初。起業家として来るフィリピンとそうでないフィリピンは景色が全然違いました。初回はセブを以前の仕事の関係でリサーチで3日、2回目もフィリピン3日、3回目はスモールビジネスオーナーとしてコロナ直前で渡航したけどホテル缶詰めで帰国したので、ほぼ実質初めてと言える渡航です。
今回あえてMakati(マカティ)という地域を選び、現地のスモールビジネスオーナーの生活に浸ってみようと思って生活した結果たくさんのことが見えてきました。

「一度奴隷になったら大人になっても奴隷。」この言葉をマニラの生活で何度も思いだします。
「ホームレスで生まれたら一生、ホームレス。」これがマニラのフィリピンの現状です。

例外はあるかもしれないですが、これは決して嘘ではありません。
私が関わる人でスラムや路上生活を経てきた人はいないですし、ミミの周りでもいないです。唯一一人だけ大学時代に一人スラムのようなところに住んでいる子がフィリピンのトップのミミと同じ大学に通っていてみんなで交通費を交通費をかんぱしていたらしいですが、路上生活を経てきた人はいないと。つまり、交わることはないのです。路上で生まれた人とそうでない人たちの人生は。

少なくともチャンスがあるレベルの”貧困”とチャンスがない”貧困”の決定的な違い

これは感覚では知っていましたが、実際に肌で見て聞いてより深く理解するとなかなか難しい問題だと思いました。と同時に、この国の課題の深さを感じた瞬間でもありました。
ミミの家庭は”貧しい”家庭でした。貧しさのレベルは、学校に行くのに教科書を買うことができずに、周りの人たちに教科書代を借りないといけなかったレベルで、毎月給料日が近づくとご飯がだんだん少なくなってくるようなレベルです。日本だとかなりの貧困層になると思いますが、この国ではそのレベルは「少なくともチャンスがあるレベル」の貧困だと私は理解しました。
ミミの家のレベルの貧困は「少なくともチャンスがある」のです。事実として彼女はフィリピントップの大学をマグナコムラウデ(日本でいう主席に近い)として卒業して東京大学、京都大学、名古屋大学さらには海外の有名代も合格して名古屋大学のPhD(大学院博士課程)に所属している。彼女の努力は言うまでもないですが、少なくとも”チャンスがある”環境で生まれた。これが路上に生まれていたら文字通りノーチャンスです。だから私たちは事業を成功させてそうした子たちにもチャンスがある環境をつくりたい。人が人らしく輝ける社会というビジョンを実現するには長い道のりが必要ですがそこを見据えてます。

ちなみにリアルなフィリピンのホームレスの人たちの生活を知るにはこの映画をお勧めします。

二人のホームレスのカップルが騙されて子どもを売人に取られて探しに行くインディーズの映画ですが、ネットフリックスで見れるので是非見て見てください。リアルすぎて心痛いですが、世界の真実を見れます。

死ぬほど住みにくいマニラが教えてくれた大事なこと

マニラは本当に住みにくい


めっちゃ住みにくい。笑
死ぬほど住みにくいです(しつこい)。
語弊がないように伝えると、おそらく外国人が住むエリア、また高所得者層が住むエリアは別です。普通にここはNYCか?って思うところもあることはあるんです。(例えばBGCという地域は特別に整備がされており、芸能人なども住んでいる。マニラの真ん中のなのに非マニラ。BGCがあることがマニラにとって良くないという意見もあるが一旦そこには触れない)
好きな人もいるとは思うので、全くもって否定はしないですが、20カ国くらいは見てきて、20代もほとんど海外で生活してきた上でこれははっきり言えます。
住みたいとは思えない街です。
私バックパッカーもしていたこともあり、結構耐性は強いし、ローカルの食事もなんでも基本いけるし、あんまり「ここはいやだ!」って国はなく、強いていうならホンジュラスの首都くらいだったのですが、マニラはきついです。笑


考えることが多すぎる住みにくさ

何が住みにくいって、もう毎日考えないと行けないことが多すぎるんです。まず外に気楽に出れません。外に出る時は、まずはスリに合わないようにバッグを前掛けするのは当たり前、ポケットに日本のように長財布お尻から出てるとかもちろんアウト。

日本にいるとお腹が空けばコンビニに行けばいいけど、こちらのセブンイレブンは現地のフィリピン人もまずいというクオリティ。
食べるものがあらかた美味しいって日本の特権です。考えなくていい。

外でトイレに行きたくなれば、日本ではそこそこ綺麗なトイレはコンビニか駅かどこかで必ず見つかるけど、フィリピンのトイレは結構綺麗っぽいカフェでもなかなかの汚さというケース結構あります。
日本では最悪スタバにトイレだけ仮に行っても、よくはないけど、それで咎められることはおそらくないと思うが、こっちはパスワードないとスタバのトイレも入れないこともあるレベル(場所による)。笑

日本ではどこかに行くには、電車、バス、タクシー、今では自転車レンタルなどなんでも手段はありますが、こちらはほぼGrab一択。笑
ジプニーとか電車とかバスとか、あることはあります。実際に私もビジネスオーナーのところに行くために、電車とか乗ってみたりもしました。
ただ基本Grabになるのですが、Grabの欠点は、Grabが全く捕まらないということも日常茶飯事であります。さて、どうする?

待つ!
です。笑

フィリピン人は、めちゃくちゃ遅刻するのですが(プライベートの予定で定時で来た人を見たことがない&予定を平気でスッポラかす)、こっちにいるとなんか分かる気はします。遅刻しても許す。笑
時間がそもそもコントロールできないから、コントロールしない生活スタイルに変えていっているようにも感じます。笑
時間をコントロールできるのは日本に住んでいる特権です。

ちなみに徒歩で行ける距離圏内は極力徒歩で行く私でさえ、あえてGrabをこちらで選択する理由は、歩道が整備されすぎてない&信号があるようでないからです(歩行者青色だから渡れるとか舐めてたらだめ笑)
まあこんな形でカオスです。

私もそれなりにいろんな国を経験してきました。LAとNYCは住んだことあるし、シェムリアップも3年ほどいたし、渡航歴でもアジアと中南米と南米合わせてまあまあ行ってきましたが、生活するのにここまで色々考えないと行けない都市はない。。
別に文句を言っているのではなく、事実を言っているので勘違いはしないで欲しいです。
私はこういう環境の方が楽しさを感じるタイプではあるので。


課題のある場所でこそスタートアップすることに価値がある。日本には課題は少ない。

ここからが、本題です。
このような上記の経験を1週間してきてある考えにたどり着きました。

スタートアップのCEOとして、今毎日こうやって課題しかふってこない地を最初のマーケットとしてスタートアップできるのは最高です
このnoteで言いたことはこれ!!

なぜか。説明します。

どこかで見かけた気がするのですが(確かスマートHRの宮田さんが話していた気がする。。)、「日本は解決する課題を見つけるのが大変だ。」と。
その時の文脈はスタートアップは課題発見が一番大変なんだという話で、宮田さん達も何度もピボットして確か13回目とかで見つけたって話だったと思うのですが(違っていたらすみません)、私はこの「日本で課題を見つけるのが大変」だということに死ぬほど共感します。
と同時に、東南アジアのような国に来ると、”解決すべき課題”で溢れています。もう毎日課題しか見当たらない。
日本のようなちょっとした不便を解消して効率を良くしようとかのレベルではなく、「これはもう悪でしかないから解決しましょう」というレベルの課題が溢れてます。これは現地に来て真に感じた学びです。

日本は頭のいい人材が多く揃っており、もちろんこれから高齢社会に向かうなどの課題はたくさんあります。でも、課題の量に対して、解決すべき人材やリソースが既に揃っている。僕がそこでスタートアップしなくてもいいだろうなと思えます。必ず他の優秀な日本人が解決するだろう、と。
スタートアップは社会の課題を驚くような速さで解決すべき生き物だと思ってます。そして変化に常に対応していかないと行けない。
こっちは課題は溢れているのに、人材が足りてない。逆に言えば、チャンスしかないと思います。
改めて今朝、「ああ、自分の選択は間違ってなかったな」と心から感じました。

日本人だからという感情は全くない

いいか悪いかは置いておき、僕は、日本人だから日本のためにという気持ちはあんまりありません。
日本人であろうが外国人であろうが、家がなく道路で寝ないと行けない人が溢れているのは解決しないといけないし、学校に子どもがいけないのは解決しないといけないし、トイレが死ぬほど汚いのも解決しないといけないし、街を安心して歩けない治安も解決しないといけない。
基本的に僕が一人の人間として考える「これは解決しないと」という課題は結構エッセンシャルな人間のコアな生活につながるところに琴線が触れます。
もともとカンボジアの人身売買の問題の解決に興味を持ったことも原点に近いです。
スモールビジネスオーナーのエンパワーメントも裏の目的は自殺がなくなるようにと願っている背景もあります
解決しないといけない社会の課題は結構暗めのテーマが多いかもしれないですが、それこそ向き合うところだと思ってます。
だから、エンタメとかお金稼ぎのNFTとかは全く興味がない。もちろん否定はしないです。が、どのように社会を変えれるのかに興味がある。そんな起業家です。


なぜスモールビジネスオーナーをエンパワーメントすることで社会がもっとよくなるのか

なんでスモールビジネスオーナーがエンパワーメントすることが社会にとっていいのか、これって多分日本にいるとあんまりピンとこないと思います。正直話します。ぶっちゃけ自分もこれまで社会の構造をよくわかってなかったです。でも今は心の底から深く理解して話せます。

一人の女性のスモールビジネスによって学校に行ける少女が増えた奇跡

Kamila's 4am Artで起きたことを話します。ミミが1人でアクセサリー販売を始めました。ビジョンに共感してお客さんが増えて、売れてくると人手が足りなくなります。ここで採用する最初のメンバーはAte(アテ)です。フィリピン語でアテは「お姉さん」ですが、いわゆる家政婦さんです。
一般的にはこうした人は学校をドロップアウトしてます。
つまりスモールビジネスが育つと学校をドロップアウトした人に職業チャンスが生まれます。ここからが素敵なストーリーです。僕たちのアテはKamila's 4am Artで働きお金を貯めて、自分の妹を大学に行かせることができました。彼女の家系で初めての大学生です。これってすごいストーリーだと思うんです。Kamila's 4am Artのおかげでアテは妹を大学に通わすことができた。書いているだけでもちょっとうるっときてしまいます。

奴隷に生まれたら奴隷を覆すことができるのがスモールビジネスの持つパワー

最初の「一度奴隷になったら大人になっても奴隷。」ではないですが、家政婦で働く人がいる家庭=そういうレベルの家庭です。基本大学にたどり着く前に学業を終えている可能性が非常に高い。
そんな家から大卒が出るのですから、このチェンジはすごいことです。
キングダムでは、抜け出すための手段が剣でしたが、実際の世界では教育です。

なんでスモールビジネスなのか?

「え?別にスモールビジネスでなくても大きなモールとかでもよくない?」という意見もあるかもしれないです。自分もミミに聞きました。
でも、モールで働くには、高校などの卒業証明が必要。
つまりアテはその時点で面接を受ける権利もないのです。
ちなみにモールの時給はフィリピンの最低時給なので、1日大体10ドルちょっとという感じです。1日です。しかもそこから交通費は抜かれます。日本のように交通費支給は珍しいです。そうすると、2時間かけて通勤はザラです。東京の満員電車もすごいなと思いましたが、こっちは比じゃないです。

スモールビジネスが育つ⇒スモールビジネスが人を採用しないといけない⇒そこで働く人に新しいチャンスが生まれる⇒その家族にもチャンスが生まれる
この循環をスモールビジネスオーナーができるのです。

少し長くなってしまいましたが、まとめます。

・ホームレスに生まれたらそこから挽回することはほぼノーチャンス
・マニラは死ぬほど住みにくいが、だからこそ日本との対比で学びがある
・課題しかないこの地でスタートアップをすることに意義がある
・スモールビジネスの持つパワーを信じている

来週は少しネットの届きにく地域に行きます。
噂では、1日4時間しかネットは繋がらないとか。。
毎日のこの問題しかない日々を大事にして、自身もスタートアップも成長していきます!

最後に、こんなどシードのスタートアップに興味がある人は気軽にメッセージください!

採用ページも貼っておきます!

読んでいただきありがとうございます!
何か参考になったらスキしてください!
モチベーションになります!


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