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僕とおばさん

酒が好きだ


僕とおばさん。

僕のおばさんはお酒が好きだ。

日頃の家事に没頭していると、あれこれ頭を使うから疲れ切ってしまう。

そんなときの楽しみはお酒を飲むことだ。

僕のおばさんはビール2缶(500ml)ぐらい飲んでも平気だ。
たまに蒸留酒を一瓶飲むときもある。

僕のおばさんは旦那さんと一緒に飲む機会が多いのだ。
旦那さんも酒好きだから、一緒になって「今日はぐびぐび飲むかー!」と軽快な気分で楽しむのだ。

毎日飲んでいるわけではない。「飲みたいなあ。」と思った時に飲む。
それが僕のおばさんのストレスフリーになるんだ。

ただ、僕のおばさんはお酒を飲むと必ず酔っ払うのだ。

酔っ払うと陽気になる反面、不機嫌になることがある。突然怒り出すことがあるのだ。

僕の家族の怒り方はユニークだ。

僕のおじさんは怒ると「何やっているんだ!!」と目をぱっちり開ける。

僕のお父さんは怒ると「何やっているんだよ!!」と目をぐるぐる回している。

対して、僕のおばさんは怒ると「何やっているんだよ!!」と目だけでなく首を回して歌舞伎顔のようになるのだ。

おばさん…  首を回したら血の巡りが悪くなるからほどほどにね。

僕のおばさんはお酒が好きだ。

僕のおばさんはお酒と一緒によく食べるのは魚系のおつまみなのだ。あん肝、ホタルイカ、明太子、フグのお刺身、サバの切り身。などなど。

これらを食べてビールを飲めば、日ごろの疲れはスッキリ。

僕のおばさんは「ああ、この日のために生きているんだなあ。もう幸せ。」と満面の笑みがこぼれるのだ。

僕は「幸せなのはわかるけど、痛風には気をつけてね。」と言った。

僕のおばさんは「大きなお世話じゃ。」と酔っぱらった勢いで言い返された。

だめだこりゃ。


中華料理が好きだ


僕とおばさん。

僕のおばさんは中華料理が好きだ。

旦那さんの出張で中国へ渡ったことがあるのだ。

そこで本場のうまいもんをいっぱい食べたのだ。
北京ダック、チンジャオロース、天津飯、麻婆豆腐。定番のメニューはほとんど平らげたのだ。

僕のおばさんは大満足だ。

中華料理を食べる機会に恵まれると、「わあ、嬉しい。」と喜ぶ。

日本にある本格派の中華料理店には敷居が高くていけないけど、ごく普通にバーミヤンのような中華風レストランだったらなんでもよいのだ。

僕はバーミヤンの「桃あんまん」と「ごまだんご」がうまかったなあ。

それはそうと、僕のおばさんは餃子もよく食べるのだ。
近場の餃子店に足を運んで、二人前の餃子を買ってきてくれた。

家族も集まってみんなで食べると、「香ばしいにおいと肉汁の詰まった包み餃子は絶品だ。おいしい。おいしい。」と満足の域に達していた。

ああ、よきかな よきかな。

僕のおばさんは中華料理が好きだ。

僕のおばさんはたまに家で作る食べ物がある。

それは揚げ餃子入りの中華風スープだ。

作り方は簡単だ。中華だしの素を水と溶かして沸騰させ、千切りにしたネギを入れる。煮立ったら、火を止めて丼ぶりに盛る。そこに揚げ餃子をトッピングすれば出来上がりなのだ。普通なことだから驚かない。

揚げ餃子入りスープが完成し、みんなはテンションアゲアゲだ。

「ああ、おいしい。おいしい。」

僕のおばさんは大満足だ。

僕は「これで金運や仕事運や幸運もアゲアゲになってくれればなあ。」と密かに思うのだ。

キートン山田さんは「欲深い男である。」と言うに違いない。

僕は… 返す言葉がなかった。


そんなおばさんでも、僕にとっては大切な家族なのだ。



おしまい




■ 読書案内

ベストセラー『TOEIC L&R TEST  上級単語特急 黒のフレーズ』などの英語学習書を世に出した著者が送る酒場探訪記。

文芸誌編集者のサチコが美食を求めて東から西へと渡り歩き、食べまくるグルメ・コメディー漫画。グルメにまつわる表現術を磨くことができる。


ご助言や文章校正をしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。