男性育休推進で、ミレニアル世代の課題解決とデュアルキャリア支援(企業編2)
ミレニアル世代26~40歳(1980年~1995年生まれ)とは、男女雇用均等法の第1回目の改正(1999年)後に就職し、次世代育成支援対策法(2005年)、男女雇用均等法の第2回目の改正(2007年)、「イクメン」普及後に、子育てをしている世代を言います。家庭科男女共修が1993年から中学校で、1994年から高等学校で開始となり、ミレニアル世代は全員、家庭科を男女共修しています。
彼らは情報化の波の中で育ち、仕事の効率化と家庭の役割分担、これら二つの要求に応えるべく、新しいバランスを模索しています。
ここでは、この世代が抱える仕事と育児の課題を公益財団法人21世紀職業財団の調査研究※から、その解決の糸口を探っていきます。
※出典:「~ともにキャリアを形成するために~子どものいるミレニアム世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究(概要)2022年2月 (公財)21世紀職業財団
デュアルキャリア・カップルの定義
公益財団法人21世紀職業財団の2022年の調査研究ではデュアルキャリア・カップルの定義を「ただ働くだけでなく、それぞれがキャリアを自律的に考えて形成し、仕事においても家庭においても充実した生活を実現する夫婦」となっています。同財団によるアンケート調査の中で、「あなたと配偶者はどのタイプをめざしていますか(*キャリアアップとは昇格・昇進することに加え、仕事の幅を広げたり、仕事のレベルを上げることを指します)」に対し、「お互い、キャリアアップをめざしていく」という回答をデュアルキャリアカップル志向と名づけています。
ペトリグリエリ(ハーバードビジネスレビュー2020年2月号) は、「『デュアルキャリア・カップル』を2人がともに高学歴で、専門職か管理職という大変な仕事にフルタイムで就き、上昇志向が強い」としていますが、財団の定義は、それよりも広い範囲とされています。
ミレニアル世代の課題
1980年代初頭から2000年頃までに生まれたミレニアル世代は、新たな時代の中でのキャリアと家庭生活のバランスに直面しています。彼らが就職を果たしたのは、グローバルな競争が激化し、働き方が多様化する中でのこと。さらに、社会的な期待や価値観の変化により、育児の役割も従来よりも変わりつつあります。
このダイナミックな環境変化の中で、ミレニアル世代は仕事と育児の両立という大きな課題に直面しています。
●キャリアロス
就業継続はできても、出産や育児を機にキャリアが停滞してしまい、思うように活躍できない、いわゆるマミートラックの問題(キャリアロス)
●プライベートロス
日本の男性は、海外に比べ、家事・育児参加時間がきわめて短く、育児休業取得率は、依然として低い。(プライベートロス:家庭から得られる幸福のロス)
女性のキャリア意識と就業の特徴
ミレニアル世代においても、自分のキャリアよりも配偶者 のキャリアを優先していこうと考えている女性が多く、女性の正規職員・従業員率は低いという調査結果となっています。
この世代においても、自分のキャリアよりも配偶者のキャリアを優先していこうと考えている女性が多いということです。
そして、女性は子どもが生まれた後、働き方を大きく変えています。
一旦、マミートラックに入るとなかなかそこから脱出するのは容易でない
調査研究結果から、第一子出産後に仕事に復帰した際に「マミートラック」に入ったと感じかつ現在も「マミート ラック」にいると回答した女性は7割で、一旦、「マミートラック」に入るとなかなかそこから脱出するのは容易ではないことがわかります。
他方、第一子出産後に復帰した時に「仕事の難易度や責任の度合いが妊娠・管理出産前とあまり変わらず、キャリアの展望もあった」と回答した女性では、その8割が現在もそのままキャリア展望を持っていました。
第一子出産後に仕事に復帰した際、仕事の難易度や責任の度合い、キャリアの展望を低下・縮小させないことが、その後の、女性のキャリア形成には極めて重要であると指摘しています。
マミートラックを脱出できた理由は、上司の関わり、働き方の変更、家事・育児負担の減少
第一子出産後復帰した時に「マミートラック」を脱出できるかどかは、上司の働きかけや必要に応じて残業するなどが大きな要因になっています。
上司も本人も性別役割分担意識を見直して、仕事を進めることができれば「マミートラック」から脱出できると考えます。
育児休業を取得した男性では、デュアルキャリア・カップルを志向する人の割合が高い
育児休業を取得した男性は、お互いのキャリアアップを目指していきたいとする割合が47.8%と高く、育休や休暇を取得したことがないと人と10ポイント以上差がついています。
男性において、仕事の面白さを感じた経験がない場合、夫婦ともキャリアアップはめざさない割合が高い
仕事の面白さを感じた経験がある男性では、仕事の面白さを感じた経験のない男性の2倍以上、デュアルキャリア・カップル志向が高くなっています。仕事の面白さを感じたかどうかで、夫婦のキャリア形成に影響がでるということですね。
企業の取組みとデュアルキャリアカップル志向の関係
調査研究報告は、企業と取り組みとデュアルキャリア・カップル志向の関係を次のようにまとめています。
現場での具体的な取り組みとは
現場でのアンコンシャス・バイアスの排除
上司だけでなく、全員がアンコンシャス・バイアスを排除することが大切です。「女性は子育て中を優先すべき」や「男性は子供ができたら稼ぐために長時間労働すべき」などがあげられます。
具体的な取り組みとしては、以下です。
アンコンシャス・バイアス研修
他社事例共有
いきいき職場づくりワークショップ
キャリア形成支援
上司が部下のキャリア形成を支援する施策があることが、本人の成長を後押しします。「少し背伸びした経験を積ませる」「チャレンジできるチャンスを与える」などです。また、キャリア面談を行うことや夫婦でキャリアについて話合うことが「本人のキャリア展望」を高くすることにつながっていきます。
キャリアデザイン研修
キャリア面談
メンター制度導入
越境学習(ジョブ・クラフティング)
働きやすい、柔軟な働き方の制度導入
働きやすい、柔軟な働き方の制度導入は、育児をしている人だけでなく、性別・年齢を問わず従業員の成長や働きがい・健康を守り、職場全体の生産性向上、ウエルビーイングにつながります。
短時間制度(週に2日なども可能とする)
週休3日制度
スーパーフレックス制度
テレワーク
これからのダイバーシティ・マネジメントとは
これまでのダイバーシティ推進は、女性が子育てをすることだけを前提にしてきましたが、これからは、男女とも、そして育児だけでなく、介護や病気治療などの多様なニーズに対応できる仕組み作りが必要です。
デュアルキャリア推進「ともに働き、ともに育てる」ために(企業編1)|「働きがいを高め、生産性を上げる」働き方改革推進ラボ (note.com)もご覧ください。
夫婦の働き方・キャリア形成について話し合う
プロティアンフォーラム2023「ボドゲで語ろう♪パパ育児とママキャリア」
互いの価値観や不安を話し合うサンゴクエストのボードゲームと心理的成功を目指すプロティアンキャリア理論を活用し、夫婦の共通のビジョンや戦略を考えることに役立っている事例をサンゴクエスト開発者の上原氏と育休ラボのパパメンバーがご紹介します。
社会保険労務士法人ハーネスの支援サービス
調査→優先課題の把握→取組提案→評価のCPDAを回す
柔軟な働き方の設計、賃金評価制度構築、コミュニケーション研修、チーム対話へのファシリテーション、管理職・子育て世代のお悩みの解決は、社会保険労務士法人ハーネスお任せください。
管理職向けダイバーシティ・マネジメント研修
一般職向けキャリア・デザイン研修
仕事と育児のお悩み解消ワークショップ
育児介護休業法改正セミナー
柔軟な働き方支援(短時間勤務、週休3日制、スーパーフレックス制)
女性活躍推進セミナー
人的資本経営支援
人的資本情報開示支援
ビジネスと人権対応支援
社会保険労務士法人ハーネスとは
私たちのビジョンは、公平で多様性に富んだ職場を実現し、企業の持続的な成長と従業員一人ひとりの心理的成功を支援することです。
心理的成功とは、職場での達成感や居場所を見つけること、そして家庭とのバランスを取りながら成果を出し続けることを意味します。
私たちは、男性育休の取得という選択が、企業価値創造と従業員の心理的成功の双方を高める鍵となると確信しています。このnoteを通じて、新しい企業文化の魅力とその背後にある価値を共有いたします。
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