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HPS的涙腺崩壊

それは突然やってきた。

仕事の帰り、明るく笑顔で挨拶を交わし店を出る。
後ろ手にドアが閉じるのを感じながら、僅かに重さを増してくる鞄を背によろよろと車に乗る。

エンジンをかけると目に飛び込む、自転車を押して歩く夫婦、対向車線のドライバー、すり抜けるように走り去る学生、いつもの街、いつもの風景。

でもどれもひどくざわつく。
勝手に心に飛び込んできて、意味もなくかき回していく。
帰途に向かって車を走らせるほど、それは増えていく。

そして限界が来た。

訳もなく涙が溢れてくる。
感じ取れるのは、ひどく疲れていること、そしていっぱいいっぱいな感覚だけだ。

『やりすぎたーこんなことじゃダメなのに・・・』

この2日ほど感じていた疲れを甘く見ていた。こんな風にリミットが来るとは思っていなかった。
Twitterをチェックする日々。長年の友人とLINEで繋がったのを機に珍しく日に何度か文章で会話を交わす。
noteを始める。スキしてくれた人の文章を覗きに行く。
仕事で他のスタッフと会う。楽しく笑ったり、気遣ったり。
施術。馴染みの指名のお客さま、初めてお会いするお客さま・・・感覚をのばし、からだを読んで、ことばからこころを読む・・・

完全に容量オーバーだった。
刺激過多だ。

わたしがわたしだと認識しているフィールドがわたしではないもので満たされている。その表面張力を超えて溢れだしたような感覚だった。

わたしはHPSだ。と思う。
繊細さなんて長年生きてきて失われたと思っているが(*注)敏感だとは思う。
これだけは慣れることがない。

長年生きてきて、というのはHPSについてわたしに気づかせてくれた勇気ある発言者の方々のプロフィールが本当に若い世代の方が多いというのもあるが、実際人を深く感じて生きていると何転生も重ねてもう何を聞いてもなんでもありだと受け入れられるぐらいの心持ちにもなるからだ。
勿論それでも目の前の生きている人は誰とも違って愛おしい存在に感じて、だからこそ感じすぎることが辛くも切なくもあるのだけれど。

HPSだと自覚して、ひどく納得がいった。
今まで自分だと思っていたものが殆ど自分ではないことに気づいた。道理で自己認識にそれだけ取り組んでも曖昧な領域が消えなかったはずだ。普通なら親から受け継いだ観念や社会的な通念がその「自分ではないが自分自身だと思い込んでいるもの」だけれど、それに他人の感覚が加わるのだから。

でも知性的、感覚的理解についていかない部分があるらしい。

止まらない涙を無理に止めようとするでもなく、ただ流れるままに車を走らせた。
自分の中の感覚を辿りながらあることに気づいた。

今までも何かに向かって邁進しながら一定のところで糸が切れたように進めなくなること。その後はわたしの中の一部は完全に引きこもってしまう。社会的生活においては問題なさそうに見えるが、そうやって引きこもりを繰り返してきたのだ。

『こんなことじゃダメなのに』

リフレインする思い。
重い、ことば。

『もっと』1日の接客量を増やさないと生活が成り立たない・・・だけど4人会っただけで今日はクタクタ。倍の人数なんて信じられない・・・
『もっと』みなさんのnoteも読ませていただいて、自分なりに充実させて・・・ネット引きこもりなんてしてちゃやっていけないぞ・・・

気が付けば「あるべき姿」を自分に押し付けようとしていた。
輝かしく、華々しくみえる、誰かの姿。
そこから想像された行動。

だから。

だから「わたし」は泣いたのだろう。
「わたし」がわかってくれないから。

情報過多、刺激過多はやはり疲れる。
涙の原因が分かった今も、そんな自分自身の心情を客観的に整理しつつもクタクタだ。
クタクタすぎて部屋の電気が点けられないぐらいだ。こうなると灯りもうるさい。

でも。

誰もわかってくれないと泣く自分を、わたしが理解してあげないと。

「誰か」みたいにならなくていいんだよ。
1日の接客人数、4人でもいいじゃん。
その分、代わりに人に会わなくても収入に繋がる仕事をしよう。やりたいことあるって言ってたじゃん。

ネットでも引きこもりでいいよ。
LINEの返事遅くていいよ。
ちゃんと誠意があれば伝わるよ。
繊細じゃない人たちはそもそも気にしてないよ。

色んな人がいるって、みんなが手を繋げる日が来るよ。

・・・そうなるかな?
本当にそうなればいい。

やさしい人が、自分のやさしさで傷ついてしまうことがないように。

弱さを知らない人が、弱さに立ち止まっている人の歩みにそっと寄り添えるように。


*注 要は自分を繊細だなんて言うのがおこがましく気恥ずかしいだけで客観的視点で言えば繊細な部類、デス。
わたしがHPSだというだけで、より繊細な他のHPSの方々を傷つけてしまいそうで怖いというのもあります。言葉にすればするほど道に迷うわたしをお許しください。

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