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新名悟子の想い for ハリトヒト。

鍼灸師は、鍼とお灸を使って、人を治療する。
手のひらにおさまる小さな道具たちと、自分の指先、そして先人の知恵を駆使して、治療する。

自分が鍼灸師になって数ヶ月。
いろんな鍼灸師の先生に出会ってきた。

共通しているのは、その点だけ。
治療の方針や道具の使い方が、ひとりひとり違っていて、みんな、この世で唯一無二の、「特別な鍼灸師」だった。

生き方だってバラバラだ。
同じ時代に生きる、同じ資格を持つ者なのに、似た人がぜんぜんいない。
さまざまな選択が、治療のスタイルを、生き方を、大きく分けて、鍼灸師の個性を彩る。

「鍼灸師として生きる」って、どういうことだろう。
「鍼灸師の生き方」って、どんなのがあるんだろう。

鍼灸師が、会社や企業のように大きな組織を作って、日々顔を合わせて仕事をしたり、議論をする機会は少ない。
自営業の人たちが横でつながる組合のようなものも、入ってもいいし、入らなくてもいいことになっている。

学会や勉強会でお会いして、挨拶する先生は、その場にいる鍼灸師の何パーセント?
隣に座る先生は、何を思い、何を目指して、鍼灸師をしているのかな。

SNSが大好きで、毎日インターネットで全国の鍼灸師とつながっている私でさえ、
先生たちの「生き方」を知る機会はとても少ない。

同業者のことをよく知らない。先輩たちのことをよく知らない。
それは、どこかで、私を孤独にさせていて。

鍼灸師1年目にして、思うこと。
「この先30年、私は何を目指して、鍼灸師として生きていくのだろう。迷った時に、何を指標に生きていけばいいのだろう。」
常につきまとう、不安のようなもの。

知っている先生や、勉強会やセミナーをしている先生の中から、指標を探すのもいいけれど。
自分のように母親になってから鍼灸師になった人や、30年以上治療を続けている先生にめぐりあう機会は少ない。
ましてや、弟子入りしたり、勤務することは、いまのライフスタイルでは、難しそう。

鍼灸師の数だけ生き方があるのに、人脈を広げる仕組みがほとんどないから、指標となる人が見つからない。
そんな不安を持つ鍼灸師や、学生さんが、たくさんいるんじゃないかな。

「鍼灸師として生きてきた鍼灸師」の話を、もっともっと聞く機会があったなら。
たくさんの先生たちから、治療法やビジネスのことだけではなく、「鍼灸師としての生き様」を聞くことで、
自分の「鍼灸師としての生き方」を決める、ヒントがあるんじゃないかな、と思ったのです。

70歳を迎え、臨床歴40年を超える先生との会話も
3代目鍼灸師として生きる先生との会話も
古典を学び、現代に活かす先生との会話も
どれも私をワクワクさせる。

ああ、こんな生き方があるんだなあ。
こんなふうに選択をして、いまの先生がいるんだなあ。

隣の町の先生も、何百キロと離れた都会の先生も、
みんな何かを思い、日々治療をしている。

隣は何をする人ぞ

まだ見ぬ彼らの「鍼灸師としての生き方」に興味を持ち、お話を聞きたくなったから、このサイトを立ち上げました。

鍼【ハリ】と、鍼灸師【ヒト】との関係に迫りたい。

それが、ハリトヒト。

(もちろん、両面Aサイドで、灸【キュウ】の存在もあるんだけどね。音で選んじゃった)

「こんなサイトがあるといいな、と思うんだけど」と、鍼灸師仲間たちに相談をしたら、
「明確な道を示す地図ではないけれど、空を見上げればいつもある北極星のような指標があるといいよね。
鍼灸師としての生き方に迷った時に、ふと見上げて、そこに向かって歩き出せれば、また前進できるから」

という言葉が、返ってきて。
ああ、まさにというキモチ。

治療や経営の方法は、いつだって状況に応じて更新するし、迷いが生じるもの。
でも、根本的な生き方の指標があれば、技術的、経営的な迷いがあっても、いつだって前に進めるじゃない?

そんな会話ができる仲間たちと、コツコツ、たくさんの鍼灸師の方に、お話を聞こうと思っています。
それぞれ、「自分たちの北極星」を見つけるために。
そして、ぜひあなたにも「北極星」を見つけてほしいから。

読めばきっと見つかるはず。
空を見上げて、鍼灸師としての道を、一歩ずつ前へ。

2019年3月3日
「ハリトヒト。」編集長 新名悟子(さまんさ)

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