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【Vol.16】関節リウマチの鍼灸治療

この記事では、西洋医学や東洋医学の理論で症状について考えていき、その症状についてどのように鍼灸治療をしていくかを書いていきます。

みなさまのカラダの状態を把握するための参考にしてください。

今回のテーマは、リウマチの鍼灸治療です。

1.関節リウマチとは

症状は主に関節にでます。

全身のカラダを支える組織(骨や軟骨など)に多く発生して、長い期間にわたって炎症をおこす病気です。

関節リウマチが進行すると、関節の破壊と変形がおきます。


よく発症する年齢は、20~50代で、男女比は1:4です。


2.関節リウマチの原因


(1)関節の症状

関節に多く発生して、左右両方に炎症がおこります。

初期には、朝に関節がこわばるのが特徴です。

関節の痛み・関節の腫れがおこり、やがて、関節の破壊・変形・かたくこわばる状態に進行していきます。


(2)関節以外の症状

病名とその説明を列記していきます。
難しい内容になるので、(3)合併症まで読み飛ばしてもOKです!

〇 皮下結節(ひかけっせつ)
〇 間質性肺炎(かんしつせいはいえん)・肺線維症(はいせんいしょう)
〇 胸膜炎(きょうまくえん)
〇 血管炎(けっかんえん)
〇 強膜炎(きょうまくえん)
〇 虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)
〇 心膜炎(しんまくえん)
〇 心筋炎(しんきんえん)

などさまざまな症状がでます。


〇 皮下結節(ひかけっせつ)
皮膚の下にできるこぶのようなしこりのことをいいます。


〇 間質性肺炎(かんしつせいはいえん)・肺線維症(はいせんいしょう)

肺に肺胞(はいほう)という小さな袋があり、肺胞には間質(かんしつ)という場所があります。

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この間質に炎症がおこることで、肺胞の壁が厚くかたくなって、血液中に酸素がとりこまれにくくなる病気を間質性肺炎といいます。
(肺胞の壁が厚く・かたくなることを線維化(せんいか)といいます。)

線維化が進むと肺に多数の穴ができます。
肺に穴があいたものを肺線維症といいます。


〇 胸膜炎(きょうまくえん)

肺の表面をおおっている膜を胸膜といいます。
この胸膜に炎症がおきる病気を胸膜炎といいます。

炎症がおこると、肺に水がたまってしまい、胸の痛みや呼吸困難の症状がでます。


〇 血管炎(けっかんえん)

全身の血管のどこかに炎症がおこる病気です。

そのため、皮膚やいろいろな組織や臓器が侵される病気です。


〇 強膜炎(きょうまくえん)

目をおおう丈夫な膜を強膜といいます。
この強膜に炎症がおこるのが強膜炎です。

目の奥の激しい痛みがあり、その結果、眠れなかったり、食欲がおちたりします。


〇 虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)

目にある虹彩や毛様体と呼ばれる場所に炎症がおこる病気です。

炎症によって腫れたり、充血したりします。


〇 心膜炎(しんまくえん)

心臓をおおっている膜に炎症をおこす病気です。

炎症をおこすことで心臓に余分な水がたまってしまいます。

発熱や胸の痛みがでます。


〇 心筋炎(しんきんえん)

心臓の筋肉である心筋に炎症がおこる病気です。

血液を送り出すためにポンプの役割を果たす心筋の機能が失われるため、心臓の収縮ができなくなったり、不整脈をおこします。


いろいろな症状がでますが、カラダのいたるところに炎症がおこることが多いです。


(3)合併症

関節リウマチの後に続けておこるアミロイドーシスによる腎臓の障害や心臓の障害がおきることがあります。

アミロイドーシス
異常に集まったタンパクが内臓などに蓄積したのが特徴の病気です。

シェーグレン症候群などの合併もあります。

シェーグレン症候群
涙腺、唾液腺をはじめとする全身の外分泌腺(液体をだすところ)に長期間にわたって炎症が起こり、外分泌腺が破壊されてドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現する病気です。

3.関節リウマチの診断

1987年にアメリカのリウマチ協会から提示されている診断基準があります。

しかし、臨床の研究を行うために、患者さまの状態を均一にするためのもので、確実に関節リウマチであると分類するのが目的です。

そのため、診断基準ではなく、分類基準になります。

また、関節リウマチの初期の状態では、診断に使えないことが多いといわれています。


・朝のこわばり
最大限に改善するまでに1時間以上継続します。
症状は最低6週間持続します。 

・3か所以上関節領域の関節炎
最低6週間持続します。

・手関節の関節炎
手首の関節、ゆびの付け根(こぶし)の関節または第2関節に1ヵ所以上の腫脹があります。
症状は最低6週間持続します。

 ・対称性関節炎
カラダの左右に同じ関節の場所にの同時に症状がでています。
(ゆびの付け根(こぶし)の関節または第2関節の両側の状態は、絶対的な左右対称でなくとも含まれます。)
所見は最低6週間持続します。

・リウマチ結節
皮下結節(こぶのようなしこり)があります。

・血清中リウマチ因子
血液検査で異常な量の血清中リウマチ因子を明らかにします。

X線画像上の変化
手および手首のX線画像上の変化をみます。


上記の7項目のうち4項目以上があれば関節リウマチに分類されます。


4.関節リウマチの治療

病院では、症状に対しての治療をします。

・過労を避けて、じゅうぶんな栄養と休養をとって、全身の状態をよくします。

・痛めている場所を温めて、重いものを持った時などの負担を減らします。

・関節の屈伸運動をして動く範囲を保ちます。

・炎症の抑える薬、免疫を抑える薬、ステロイド薬などを適宜使います。

・関節の破壊・変形が強く、関節の機能が損なわれたときには、手術して人工関節にします。


5.関節リウマチの鍼灸治療

東洋医学において人のカラダは、気・血・水でつくられています。
気・血・水の流れが悪くなれば症状がでます。

また、血・水を流すためには気が流れなければカラダ全体にいきわたりません。

これは、関節リウマチも例外ではありません。


(1)リウマチは昔から存在していた。

リウマチに関して東洋医学の理論を書いた昔の古典にその記載があります。

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