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【ゲーム感想】夜明け前より瑠璃色な PC/Brighter than dawning blue (2005/2006)

はじめに

 『夜明け前より瑠璃色な』は、オーガストから2005年に発売されたPC用アダルトゲーム(所謂ギャルゲー/エロゲと呼ばれる)。2006年、18禁描写を省き攻略可能ヒロイン・新規シナリオが追加されたPS2移植版が、『夜明け前より瑠璃色な -Brighter than dawning blue-』の題でオーガストの別ブランドARIAから発売された。

 本稿では、無印PC版並びに『Brighter than dawning blue』のPC逆移植版(内容はPS2版とほぼ同一なので、以下PS2版と呼称)を扱う。

・PC版公式サイト(R-18)
・PS2版公式サイト

STORY

あなたと一緒なら、きっと大丈夫────。

会ったことなんてないはずの人の、どこか懐かしいような声。
生まれてからずっと、それよりもっと前、ずっとずっと前から、
空を見上げればそこにあって、
ネオンの街を、雪原を、さざ波が立つ海を、木々が生い茂る山を、
優しく、冷たく、静かに、明るく、朧に、照らしていた月。
歴史の教科書によると、そこに、大昔に渡った人たちが国を作ったらしい。
地球上のどこよりも遠いのに、見上げればそこにある王国。

そんな国から。
お姫さまが、
うちに、
ホームステイしに来るって言ったらどうする?

どこか懐かしいような声で、会ったことなんてないはずの人が言う。

私には、あなたがいるわ────。

AUGUST, 「夜明け前より瑠璃色な」, https://august-soft.com/yoake/story.htm


 『穢翼のユースティア』に情緒を破壊されるほど感銘を受けたので、ほかのオーガスト作品もプレイしてみよう企画第2弾(過去記事↓)。

 もともとPS2版だけプレイするつもりだったのに、気づいたらPC版にも手を出していた。欲望には抗えないから仕方ないね。なので、発売日とは逆にPS2→PCの順にクリアした感想になります。

 それと、本作は『よあけな』『あけるり』『けよりな』等、略称が複数ありますが(公式曰く「自由に呼んでください」)、ここでは『よあけな』に統一します。

 ちなみに今回の感想、無駄に長いです(15,000字超)。


総評 (※ネタバレ無)

 「オーガスト最高傑作」の呼び声は伊達じゃなかった!! えっ、ちょっと待って🖐、これって本当に2005年のゲーム?完成度が高すぎじゃございませんこと? 本編に「ロストテクノロジー」というキーワードが出てくるけど、『よあけな』こそ何らかのロストテクノロジーで製作されたんじゃないの?

  同年発売のギャルゲータイトルを確認すると『車輪の国』『SWAN SONG』『最果てのイマ』『天使ノ二挺拳銃』 etc. と、思い入れのある&癖の強い名作がズラリと。商業ギャルゲーがまだバリバリ元気だった時代ですね。そんな猛者揃いの中でも本作が埋もれなかったのは、やはり純粋に作品の質が高かったからではないかと(決してキャベツのせいではなく)。

 絵、音楽、演出のどれを取っても高水準。シナリオのパンチ力では少々物足りなく感じるものの、王道展開が好きなファンから根強く愛されている理由がよくわかる。自分の好みで言えば、『ユースティア』こそ至高であるという点は揺るぎませんが。明るい作風同士『フォアテリ』と比較するならば、イラストの美しさは『よあけな』優勢、シナリオでは『フォアテリ』の方が構成が良かったと感じます。キャラクターの魅力はどっこいどっこい。相変わらずヒロインはみんな可愛いし、サブキャラも物語を十二分に盛り上げてくれる個性豊かな面子が勢揃い。

 ルート構成は『フォアテリ』とも『ユースティア』とも異なり、ヒロイン攻略順が準固定式というやや変則タイプ。一周目が終わってから知って愕然。あの大量の選択肢は御飾りだった…ってコト!?
 
はい、最初のフィーナルートでは、選択肢は特に意味ありません。

 攻略法はADVの一番オーソドックスなシステムで、固定ルート以外は選択肢でヒロインの好感度が上がるタイプだけど、自分は昔からどうにもこれが苦手。単純に面倒だし。特に『よあけな』では表面上変化のない(イベントが発生しない)パターンも多いから尚更虚無感が強い。その点では『フォアテリ』のマップ選択式が合理的で好ましいですね。

 これは自分の勝手な想像ですが、製作側がわざわざ初回攻略をフィーナ固定にした理由は、「全クリしなくてもフィーナルートだけは遊んでほしい」という切実な願いがあったからではないでしょうか。実際、本作はフィーナにハマるかハマらないかで評価が大きく分かれると思います。シナリオの面白さ・バランス的に丁度よくて、最初の攻略対象としては悪くないんですよ。ただ、自分のようにお楽しみ(好きなヒロイン)を後に取っておきたい派としてはちょっと残念。
 ちなみにネタバレ無い範囲で評価すると、フィーナ、エステル、翠の3ルートがほかと大差をつけて圧倒的に面白かったです。メインヒロインに比肩するPS2版追加ヒロイン強すぎる。

 PC版とPS2版の違いについて。前述のようなHシーンの有無や追加ヒロインだけでなく、細かい演出が結構違います。日常イベントの追加に伴って専用CGも増えていたり。よって、どちらをプレイするかお悩みの方はPS2版やっとけば間違いなし。追加シナリオがマジで良いから。もし感動しなかったら木の下に埋めて貰っても構わないよ!
 とはいえ、『よあけな』のHシーンを見ないということは、本作で一番旨味のある部位をむざむざと捨てるようなものなので、「本当にそれでええんか?」と問いたい。どちらかと言わず両方プレイすべきだよね!

 そして『よあけな』と言えば、音楽について触れないわけにはいかず。オーガスト専属の音楽制作チーム・Active Planetsのデビュー作です。厳密には前作『オーガストファンBOX』で主題歌の作曲やBGMのリミックスを同スタッフが手掛けてるけど、チームとして発足されたのは本作が初。以降、最新作に至るまで、作品ごとに異なる音楽家を起用しながらオーガストの音楽を全面監修してます。

 本作の歌ものについては今更言うまでもなく名曲揃い。PC版イメージソング「Lapislazuli」(歌:泉伶)は、儚さと力強さが同居した本作の象徴的な曲で、PS2版イメージソング「brilliant azure」(歌:ちっち)も方向性は同じく神秘的なイメージ。対するOPソング「Eternal Destiny」(歌:榊原ゆい)は、当時珍しかったハピコア(ダンスミュージック)&美少女ゲームの組み合わせでノリの良さを前面に押し出した、同氏の代表曲として知られています。

 BGMに関しては「『フォアテリ』や『ユースティア』より少し地味かな?」という第一印象でしたが、翠ルートでのシナリオとリンクさせた演出はお見事。全体的にPC版の曲よりもPS2版の追加曲が好き。というか、「自分はsumiisan氏の曲が好きなんだな」と再認識。でも、一番印象深い曲が商店街のテーマこと「thrilling flavor」ってどうなんだろう(笑)。
 ただ、ひとつだけ不満があるとすれば、シリアスシーンでインスト版「Lapislazuli」擦りすぎ。名曲とはいえ、こうも乱発されるとさすがに食傷気味っす。

 キャラクターについて。長年オーガストの顔役やってるフィーナ姫はデザインが完成されているし、文句なしに可愛い。普段は御姫様然とした気品に溢れているのに、頑固で意地っ張りな性格とかお茶目な一面とか、子供っぽいところとのギャップが良いですね。凛デレ最高! 
 
PS2版追加ヒロインの一人、エステルも同じくらい好き。古き良きツンデレと言ってしまえばそれまでだけど。一般的な月人の価値観というバックボーンが明確で、個別ルートでのキャラの掘り下げが丁寧だったのも好印象に拍車をかけたかなと。可愛いワンちゃんにメロメロなのは流石にあざとすぎですわ!

 上でも書いたけどサブキャラが魅力的で、左門のマスターと仁さんはギャグからシリアスまで重用されるオールラウンダー。カレンさんはクール系お姉さんとして自分のハートをがっちりキャッチ(なんで攻略できないの?)。サブキャラがメインに負けず活躍してくれるのは、オーガスト作品の大きな強みですね。

 一応、UI等の機能性のことも書いておくと、PS2版は『フォアテリ』とほぼ同じなので、ノベルゲームとして必要十分な機能は揃ってます。PC版はバックログにジャンプ機能なしと、Hシーンでメッセージウィンドウが縮小されないのが少し不便だったくらい。ただし、自分がプレイしたのは初回版なので、Win10対応版やコンプリートパック版は不明。

 本編のストーリーを総括すると、『よあけな』は美少女SF異文化交流ファミリードラマの傑作です。なんかいろいろ混ざってるけど、物語のテーマの根幹に「家族の絆」があって、最後までそこをキッチリ描いている部分を高く評価します。丁寧に作られているだけあり、発売から18年以上経過した今プレイしても古臭さを感じませんでした。

 これからプレイされる方へのアドバイスとして、おすすめのヒロインの攻略順を本稿下部「おわりに」の項に書いておきました。軽度のネタバレOKという方は参考にしていただければ。

 以下、各章感想はネタバレ全開なのでご注意ください。






各章感想 (※ネタバレ有)

フィーナ・ファム・アーシュライト

立てば芍薬座れば牡丹の御姫様

 一周目で強制的に攻略させられるヒロインだけど、満足感が凄い。前菜どころかデザートまで平らげた気分だぁ……。ラストにタイトル回収までやっちゃって、もうこれ以外のルートやる必要ある?状態。
 実は幼少期に主人公と出会っていて~のくだりはギャルゲー様式美とはいえ、幼馴染属性まで追加しちゃったら向かうところ敵なしじゃんね?

 作中ではさまざまな衣装をお召しになりますが、やっぱり普段のドレス姿が一番好き。胸元と背中を大胆に露出したデザインでありながら、上品さを損なわない奇跡のバランス感……凡百のヒロインとはオーラが違う! 

 姫様とのファーストコンタクト(初対面とは言ってない)は、プロローグ終盤の月が綺麗な夜でのこと。一枚絵が出た瞬間、一目惚れ。これが現代の見返り美人……あまりにも美しい……。

神秘性すら感じる美しさ

 その後、朝霧家へ正式な挨拶を済ませてホームステイ開始。月と地球の文化の違いに戸惑いつつも次第に馴染んでいく様子が描かれます。

 ……ファンには申し訳ないけど、共通ルートの無味乾燥っぷりは正直擁護できない。単発の日常イベントをつなぎ合わせただけでヤマもオチもないし、大量の選択肢を選ぶだけの作業と割り切り無心でプレイ。
 そう考えると、共通ルート時点で読み物として十二分に楽しめる要素が詰め込まれていた『フォアテリ』は、本作の反省が活かされていたのかもしれない。

 想いを伝え合い結ばれた二人ですが、王女としての責務を果たすべく仕事で多忙なフィーナ。恋人同士で過ごす時間もろくに取れない中、忘れもしないあの出来事が起こってしまいます。そう、「七・二六サンドイッチ事件」が……。

 ノベルゲームに限らず、基本的に自分はキャラに感情移入してストーリーを楽しむタイプですが、ここだけはどうしても受け入れ難かった。すまないフィーナ、俺、達哉にはなれないよ……! 食べ物を粗末にしただけで万死に値するのに、あのフィーナ様が夜なべして作ってくれたプレミアム・ロイヤル・サンドイッチだぞ!? 画面の中の人物を全力で謝罪させたいと思ったのは、生まれて初めてです。もうね、フィーナの泣き声で感情が振り切れちゃってメンタルボロボロなのよ。怒りを通り越して、ただただ悲しい。フィーナと一緒に俺も泣きたい。
 
どの程度の辛さかというと、『ユースティア』第3章のヴィノレタのシーンくらいのダメージ。『よあけな』がそんなにキツイゲームって聞いてないんですけど!?

『よあけな』で一番感情が爆発した瞬間

 失礼、取り乱しました。「画面の中 呪う方法」でググるかどうか悩んでいる間に、帰宅した達哉はさやかからこっぴどく叱られます。さやか姉さんマジGJ。一方、フィーナはフィーナで達哉の優しさに甘えているとカレンから指摘され、落ち度があったことを自覚します。

 あぁ、年上キャラが正論言ってるとすっげぇ安心するやつ~! この辺の迅速なフォローは、オーガストらしい丁寧な仕事。おかげで自分のメンタルが首の皮一枚繋がりました。

 その後はお互いごめんなさいしてほっこりする流れで、雨降って地固まります。砂利まみれのサンドイッチくんも救済されて一安心。でも俺、達哉がフィーナを泣かせたこと完全には許してねえから!!

 そして再浮上する身分違いの問題。二人の関係を正式なものとするには、カレンが示す試練を乗り越えなければならないそうです。その内容とは、フィーナと達哉で剣を交えた試合をすること。
 正直「そのやり方で月の王国民は納得すんの?」感が強いけど、まあ説得の方はカレンさんが何とかしてくれるでしょう。

 なんやかんやあって試合ではフィーナが圧勝しますが、二人の覚悟はしかと見届けたとカレンさんご満悦。それを祝福するかのように、夜明け前の瑠璃色に輝く空は美しかった――。

 終盤トントン拍子に進んでいった気がするけど、ラストの二人で空を見上げる光景が美しすぎて普通に感動しました。お見事なタイトル回収。
 ちなみに、PC版では画面に空は映らず、ピロートーク中に夜が明けてきて「綺麗な空ね」で終わるという大きな違いがあります。「その肝心の空を見せないんかい!」とツッコミつつ笑ってしまった。ビジュアルありなしでこうも印象変わるとは。

 総合的に、フィーナルートは自分の心に大きな爪痕を残したけど王道展開で綺麗にまとまっていて良かったです。ヒロインの魅力で大きく底上げされた部分もあるかも。堂々たる御姫様っぷりでしたね。


ミア・クレメンティス

フィーナ様のお世話大好きメイドさん

 ミアはねえ、とってもいい子なんだけど、いい子過ぎてあまり印象に残らないんですわ。
 持論だけど、オーガスト作品ヒロインの魅力って、パッと見でわかりやすい記号的な属性と、秘められた内面性の複雑さが絶妙なバランスで両立するところにあると思っていて、ミアの場合「献身的なメイドさん」って記号の部分だけで完結していてキャラが薄く感じてしまうんですよね。ミア好きの方すみません。
 おまけシナリオくらいの腹黒さはあっても良かったんじゃないのと思う。

 じゃあミアルートはイマイチだったのかというと、実はそうでもなく。全体的に絵が美しいとされている『よあけな』の中でも、フィーナは別格として、次に魅力があるのはミアだと主張します。一枚絵の構図がやたらと凝っててビックリ。

 1つ例を挙げると、達哉からの告白を受けた後のシーン。こちらに顔を向けるミアは、頬に赤みが差し、嬉しくて照れている・恥ずかしがっている様子が見て取れますね。一方、鏡に映った表情は、光の加減で影が強調され、理解できない感情に不安を感じて戸惑っているようにも見える。
 この絶妙なバランスを一枚の絵で表現するのヤバくない? 匠の技ですよ。

神の構図

 ほかにもフィーナとの別れのシーンとか。あえてフィーナの顔を隠すことによって、ミアの独り立ちへの想いをユーザーの想像に委ねるとは……やはり天才か!?
 べっかんこう先生、いや「べっかん こう先生」と呼ばせてください。

 ミアルートのシナリオ上の見どころは、フィーナへの諫言のシーン。自分の考えをハッキリ述べるミアの姿は、普段のぽわぽわした雰囲気とのギャップもあってカッコ良かった。

 ただ、せっかくこのシーンでミアの忠臣ぶりを前面に出したのに、ラストでお別れしちゃうのは構成的にどうなん?と若干もにょる。達哉もミアと一緒にフィーナにお仕えしたら良かったんじゃないですかね。フィーナ様の為に丹精込めてサンドイッチを作るんだよ!!


遠山翠

こっちがPC版
PS2版で攻略可能ヒロインへ昇格。PC版から髪型も変更されました

 今更ですが、本稿は自分のPS2版初見攻略時の順番通りに書いてます。2番目にミア、3番目に翠を持ってきた理由は、白状すると内容にあまり期待してなかったところが大きい。前述の通り、好きなヒロインは後で攻略したいと考えていたので。だって移植版の追加ヒロインって、所詮はHシーンの代替品じゃん(超偏見)。

 私が全面的に間違っておりました……!翠ルート、シナリオが面白かったのもあるけど、何よりテーマが自分に刺さりまくるものだったので大満足。PC版ではこの子が攻略できなかったってマジ?

 名高い音楽家の父親に失望されることが翠にとっては一種のトラウマであり、それを達哉と二人で乗り越えようとするのがあらすじ。

 やっぱりねえ、家族のお話には涙もろくなっちまうんですわ。
 
ギャルゲーの場合、お嬢様系ヒロインの実家は恋愛の障害として描かれるパターンが多いけど、遠山夫妻がすげぇ普通の人たちだったのが逆に新鮮で良かった。家族のことを思ってやったことが逆に裏目に出ちゃって、遠山父かわいそう。

 フィーナの協力も得てトラウマ克服の特訓を行い、あとは両親の前で演奏をお披露目するだけという段階で、仕事の都合で帰れなくなったと連絡が入ります。遠山夫妻のコンサート会場へ単身乗り込み、翠の演奏を聴いてほしいと直談判する達哉。
 なんか、このルートの達哉くんカッコよくない? 行動力あるし、ヒロインを精神的に支えようとしてるし。とてもじゃないがサンドイッチをぶちまけた人物と同一とは思えない。

 夫妻の説得に成功し、演奏を始めようとするものの、翠のトラウマがフラッシュバックして何もできなくなります。
 フィーナルートよろしく、感情移入しすぎてもう泣きそう。がんばれ、がんばれ翠……!

 そこで達哉が提案し、遠山家三人のアンサンブルへ変更します。翠が本当に求めていたものは、父親から認めてもらうことではなく、家族三人で楽しく演奏することだった――。

この展開はずるいよ!! オーガストさん

 こんなの、感情の防波堤が決壊するに決まってるじゃん! 家族写真の昔と今が重なるシーンでもう限界だった。
 「このシナリオを書いたのは誰だぁっ!!」😤って心の中の海原雄山も大騒ぎだよ。

 また、物語に音楽が深く絡んでいるだけあって、音楽演出に力が入っていた印象。PS2版サントラの解説によると、遠山親子の演奏曲は「クラリネット1本でも曲として成立しつつ、2本で奏でることで真の姿をあらわす、制作難度の高い楽曲でした。」とのこと。素晴らしいこだわり。
 『ユースティア』もそうだったけど、良いシナリオに良い音楽の組み合わせが一番心揺さぶられる。


鷹見沢菜月

幼馴染と窓越しに会話するシチュエーションって実在するの?

 菜月の第一印象は「典型的な幼馴染キャラ」。嫌いではないけど、超好き!って感じでもなく。まあ、翠ルートで感情的になりすぎて疲れたから、「幼馴染の毒にも薬にもならないシナリオでちょっと箸休めしよう」的な思惑があって攻略開始。結果的に大失敗でしたね。

 「おや?」と思ったのは翠の様子に気づいてから。もう菜月ルート入ってるのに、なんかやたらと思わせぶりな態度取ってくるじゃん……。「フラグ管理間違えたかな?」と読み進めると、次第に嫌な予感が膨れ上がってくる。「いやいやまさかね。天下のオーガスト様ともあろうお方が、翠を当て馬ヒロインにするなんてことが……あるはずが……」からの↓。

オーガスト…嘘だよな…?

 「このシナリオを書いたのは誰だぁっ!!」😡
 
そりゃ雄山もキレますわ。失恋展開って誰も幸せにならないと思うんですよ。おまけに翠ルート直後だからダメージも数倍という。『よあけな』をこれからはじめる人を見かけたら、「何が何でも翠より先に菜月を攻略しろ」とアドバイスしてあげてください。こんな思いをするくらいなら、ヒロイン攻略順を完全固定にしてほしかった……。やっぱつれぇわ。

 これは確かに、翠がヒロイン昇格の待遇じゃなかったら暴動が起きまっせ。加えてPS2版では翠と菜月の和解イベントまで追加されていて、アフターケアも万全。まーたオーガストの手のひらで踊らされてるよ。許せるか許せないかで言ったら、ギリ許せるライン……?

こんなイイ女が負けヒロインのはずがない

 翠のことは置いといて。菜月ルートにはもうひとつ、致命的な欠点が存在します。そもそもシナリオが面白くない。「仁さん&マスターをシナリオに絡ませられるのにそんなことある?」と今でも不思議に思うけど、つまらんもんはつまらん(断言)。大筋だけ見たら恋愛ドラマでありがちな恋人同士のすれ違いだけど、展開があまりにも雑。

 まず菜月の一人暮らしについて。子供の頃から一緒だった幼馴染と離れ離れになる寂しさはわかる。わかるけど、月へ帰る御姫様の後にやる話じゃねーだろと。菜月ルートの達哉よ、お前フィーナルートの達哉の前でも同じこと言えんの?あっちは38万キロ離れてんのよ? こっちの達哉が女々しいだけの印象しか残らなかった。

 お次は本シナリオの肝と言える、達哉と菜月が幼いころに交わした約束について。菜月にとっては大切な思い出なのに、当の達哉が一向に思い出してくれないことにショックを受けるという流れ。
 読んでる最中「これは達哉が思い出せない理由に重要な意味があるに違いない」と予想していたけれど、実は単にド忘れしてただけでしたという、はるか斜め下を行くオチ。達哉お前、薄情にもほどがあるってもんだろ……。これは紛れもなくサンドイッチぶちまけ男の風格。

 約束を思い出した達哉は、確証を得るために草に覆われた場所をかき分け、犬のお墓を探し出します。
 ……ちょっと待って。なんで藪の中にあんの? 菜月にとって大切な思い出の場所なのに、誰も手入れしてないの? 草が引っかかって達哉が傷だらけになる描写があるけど、どんだけ放置しててもそうはならんやろ。
 こういう、シナリオの都合で強引にヒロイン泣かせてお涙頂戴するような、こすいやり方は感心しませんね……。

めちゃくちゃ険しい場所に作られてしまった、犬の墓(ツッコミ待ち?)

 とはいえ菜月自身に罪はなく、ヒロインとしては魅力あるキャラです。からかわれて真っ赤に照れるところなんか、初々しくて可愛いじゃない。だからこそ、シナリオで損してる感も強いわけですが。

 余談ですが、『よあけな』には公式コミカライズ(作:脳みそホエホエ)が存在します。そちらは、原作における各ヒロインルートの要素を挟みつつ、最終的に菜月エンドを迎えるという少し特殊な構成ですが、物語的に大きな破綻も見られませんし、全2巻なのでサクッと読めます。菜月との約束を思い出すシーンも自然な流れになっていますし。なので、自分にとっては漫画版こそが菜月ルートの正史という認識です。


穂積さやか

家ではのほほんとしてるけどバリバリのキャリアウーマン

 念願の年上系ヒロイン。そういえば『フォアテリ』にも『ユースティア』にもメインヒロインにお姉さんタイプはいませんでしたね。かなで先輩は、かなで先輩という生き物だから……。菜月ルートのダメージが尾を引いているので、BIGな包容力で癒やされたい。

 菜月とは反対に、さやかルートは見たかったものがちゃんと見られてほっとした。バカップルのイチャつきからしか摂取できない栄養がある。PS2版追加イベント「ぽてこりんゲーム」はニヤニヤが止まりませんでした。こういうのでいいんだよこういうので。ほかルートと異なる点では、さやかから一人前の男として見られたくて、達哉が攻めの姿勢なのもなかなか新鮮。

肉食系男子と化した主人公

 そんなわけで本ルートは達哉くんが男を磨くお話です。劇的な展開こそ少なかったけれど、地道なことからコツコツ努力する姿は、ある意味一番主人公らしいと感じたし、素直に応援したくなる。それにしても、さやかまで哀しき過去の持ち主だったことにビックリ。プレイ前は単なる世話焼きお姉さんだとばかり思っていたので。彼女が「家族」を何よりも重んじる理由が判明し、強い想いが伝わってくる良シナリオでした。

 しっかしPC版のHシーンは、館長室での制服プレイだったり自宅での学生服コスだったり、背徳感強めなシチュエーションが多くて「お二人さん盛り上がり過ぎじゃない?」とヒヤヒヤしましたね。だがそれがいい!!


朝霧麻衣

妹ではなく「義妹」なのがポイント

 自分はプレイ前のネタバレを極力避ける派だけど、それでも「『よあけな』は麻衣がヤヴァい」という漠然とした評判は耳にしていました。かつて別ゲーでCV.安玖深音の義妹キャラ沼に落ちた経験を持つ身としては、楽しみであり恐ろしくもあるという心持ちで挑みます。いざ参る!!

 この義妹、こちらの理性を徹底的に破壊しつくそうとしているのか……!?PS2版プレイ時から、麻衣の一枚絵がやけに煽情的と言いますか、日常の光景なのに無自覚なエロスが漏れ出ていたんですね。こいつはPC版で化けるに違いないと確信をもって挑んでみたら、想定をはるかに越えてきやがった。年下らしく甘えてきたと思いきや、達哉の精気を徹底的に絞り尽くさんとする姿は正に淫魔。

この色香が俺を狂わせる

 オーガスト作品でH度上位ヒロインといえば『フォアテリ』の陽菜という印象があったけど、麻衣は最早次元が違うっつーか……抜きゲーに出しても恥ずかしくない、立派なエロインですよ。麻衣、お前がナンバー1だ!!

どの口が言うか

 麻衣の痴女っぷりはさておき、シナリオ構成的にも丁寧に作られていて面白かった。お互いに異性として意識し始めたことにより兄妹の関係が崩れ、周囲に隠したまま恋人同士へ。さやかルートで背徳感がどうこう書いたけど、麻衣ルートはバレたら社会的に死ぬという意味で緊張がその比でない。
 ミアとフィーナに決定的なところを見られてしまったシーンは思わず「ほわぁ!」って変な声出た。倫理的な問題という点において、このカップルのハードルの高さはフィーナルートに引けを取らないのでは。

 二人は付き合い始めたことを周囲に説明しますが、衝撃の告白に対し動揺を隠せないさやか。
 そりゃまあ、「実は血が繋がってませんでした!男女のお付き合いしてます!」って同居人に言われたら困惑するわ。
 さやかの場合、世間体の問題よりも「隠し事をされていた」自体のショックが大きいでしょうね。先にプレイしたさやかルートで彼女の事情を知っているからこそ胸が苦しくなる。こういう、ルート間で補完する構成が巧いところも本シナリオの魅力。プレイ中はそんなこと言ってられないくらい、さやかに感情移入していたけれども。

 『よあけな』のメインテーマである「家族の絆」について最も踏み込んだシナリオであり、素直で可愛い麻衣の魅力(えっちさだけじゃなく)も含めて大満足。

 ただ、これだけは言っておかねばなりません。最後の最後、エピローグ部分での麻衣の変化について。「お兄ちゃん」呼びを変えるたぁ、一体どういう了見だ!? これが付き合い始めてすぐとかだったら「麻衣がそう呼びたいならしょうがない」で受け入れられたかもしれないけど、なんでよりにもよってラストで変えちゃうの……? Hシーンでもずっとお兄ちゃん呼びだったもんだから、こっちはもう「達哉=お兄ちゃん=俺」の方程式が脳内で成立してるんですよ。MCでは髪型も呼び方も戻ってるし、ユーザーのニーズは自明の理ですからね。オーガストさん頼みますぜ。


エステル・フリージア

PS2版追加ヒロインその2。こちらは完全新規キャラ

 時は来たれり。『よあけな』ヒロインを第一印象で比較すると、一番好みは言わずもがなフィーナ。そして彼女と同等以上のポテンシャルを感じた人物こそ、何を隠そうエステルさんです。
 OPの凛々しい表情を見た瞬間「あ、この子はキツイこと言ってくれそうだな」と直感。いやいや、私は断じてMではありませんけどね? ただ「好きな子に正論ぶつけられたい(加えてちょっと蔑まれたい)」という難儀な性癖を持っているだけで。

 過去のオーガスト作品では、『ユースティア』のイレーヌ、『フォアテリ』の桐葉がぶっ刺さりました。この二人の場合、辛辣なこと言われても全然苦にならないんですよ。たぶん、ちゃんと論拠を示したうえで筋道立てて意見してくれるので、自分の中で受け入れやすいのだと思います。

 閑話休題。達哉とエステルさんの出会いは道案内がきっかけ。道に迷っていたところを教会まで案内し、エステルさんから丁寧なお礼を言われます。
 この頃のエステルさんはぶっちゃけただの優しい美少女です。ここからギャップを見せてくれるんですよね? 期待してます。

 日曜礼拝へ向かうフィーナの御供として再び教会へ。エステルさんと再会しますが、達哉が自己紹介すると態度が一転してそっけないものに。のちに明らかとなりますが、フィーナたちを除く一般的な月人は、先の大戦の遺恨によって地球人を激しく憎んでいるそうです。
 なるほどそう来たか。人種差別とは、またセンシティブな要素をぶっこんできたなあ。とはいえ異文化理解とは切っても切れない問題なので、ここからどう親睦を深めていくかが見もの。

 それと、この時点で何となく見えてきたのが、エステルさんは正論キャラというより「感情派」なのかなと。地球人を理由もなく毛嫌いするところから、意固地になっているだけという印象が強い。
 でも「フェアじゃない」とか言って借りを返そうとしてきたり、自分の価値観にまっすぐな点は好感が持てます。面白いキャラクターですね。

ここまで拒絶されるといっそ清々しい

 にべもなくあしらわれ、取り付く島もないエステルさんに対し、達哉は「怒らせてしまった理由を教えてほしい」と粘り強く接します。
 あんまりしつこく付きまとうもんだから、「大丈夫?若干ストーカーの域に踏み込んでない?」と心配になるくらい。これがコミュ強主人公……!

 達哉のしつこさに呆れ半分といったところで、商店街へお出かけイベント発生。エステルさんの犬好き(特に柴犬)は既にバレてますが、ペットショップの犬にメロメロな一面も。あざと~い。

「だ…駄目だ まだ笑うな… こらえるんだ… し…しかし…」

 ひょんなことから、達哉のクラスメイトを対象に月文化の講習会が企画され、エステルさんが講師役に任命されます。
 これが本ルートのメインイベントです。これまで「地球から遠く離れた場所」というふわっとした印象だった月の歴史や政治・宗教を学べるので、世界観の掘り下げの面でも興味深い内容でした。
 そして、この辺りからようやくエステルさんの態度が軟化します。達哉おめでとう。もう少し冷たいままでも良かったけど。

 並行して明かされる、エステルさんの出生の秘密も本シナリオの重要ポイント。月人/地球人といった生まれの違いで明確に線引きしていた人間にとって、アイデンティティの喪失は相当なショックでしょうね。そこで我らがたっつんがすかさずフォロー。というか、このルートの達哉は終始有能ムーブしてた印象が強い。
 
序盤のストーキング行為はともかく、自分の意見をはっきり主張するし、それでいて他人への気遣いもできるし、そつがない優等生キャラそのもの。翠といいエステルさんといい、PS2版追加シナリオの達哉は「OSに『フォアテリ』主人公インストールしたの?」ってくらい別人感がある。

 終わってみればエステルさんそんなにデレてなかった。全体通してシリアス寄りだったせいかな。甘々バカップルも好きだけど、個人的にはこれくらいの距離感がベスト。「天罰!」は我々の業界ではご褒美です。


リースリット・ノエル

猫耳帽子とフリフリドレスがキュート

 ほかのすべてのヒロインを攻略すると、リースルートが解放されます。ストーリーもいよいよ佳境へ。

 ここにきて超展開っすか!? 『フォアテリ』でも「TRUEルートに詰め込みすぎ」と感じたけど、『よあけな』はリースルートでやりたい放題やっちゃったよ!

 物語の大筋だけ見れば、ビターな結末を迎える悲恋で、しっとり系の話としては結構楽しめるんですけどね。いかんせん情報量が多すぎてストーリーに入り込めないのが問題。いきなり魔法みたいな能力使うわ、達哉は脈絡なく惚れるわで。フィアッカなんて知らんがな。ロストテクノロジーの知識を継承するためにわざわざこんな不確定要素の多い手法にする理由が謎。面白くなりそうな設定は盛り込まれてるのに、どれも説明不足で消化不良なのが惜しい。
 
PS2版のエステルルートで教団関係の設定が補足されたとはいえ、PC版しかプレイしてない人は一層困惑するでしょうね。エンディングで「Lapislazuli」アレンジが流れたときはテンション上がったけど、冷静になったら「これって勢いでごまかされてない……?」と複雑な心境。

 リース自体はかなり好きなキャラ。CV見てぶったまげた。こういうキャラも演じられてたんですね。寡黙な少女良い……。一枚絵の美しさはミアに比肩すると思う。やっぱりべっかんこう先生ってちみっ子好きなのでは。ドロワーズは破壊力抜群でした。
 
欲を言えばフィアッカの一枚絵も欲しかった。金髪赤眼は俺に効く。

『フォアテリ』の伽耶様といい、魅力的なキャラを出すだけ出して攻略させないのは酷ですよ


夜明け前より瑠璃色な

ここまで来ると「終わらないでほしい」という思いが込み上げてくる

 すべてのヒロインを攻略するとタイトル画面で選択可能になる、本当の最終章。設定はフィーナルート後を引き継いでます。

 フィーナが、かわいい。ごく当たり前のことなんだけど、一周回ってフィーナに戻ってくると、改めて思うところがある。凛々しくてお茶目でHに(割と)積極的。ギャルゲーヒロインの理想形。
 
PC版の淫靡なフィーナもPS2版の甘酸っぱい青春描写も、どちらも甲乙つけがたい。もうね、「フィーナとイチャついてればストーリーなんて要らないんじゃないか」とすら思える(暴論)。

ありがとうオーガスト

 とはいえオーガストのライターチームは優秀なので、しっかり読ませるシナリオを出してくれます。リースルート以外でほぼ関わりのなかったロストテクノロジーにフォーカスし、月と地球の争いの歴史が物語の中核。

 トランスポーターの兵器利用がガチでえげつなくてドン引き。当時の悲惨さは、ドラマCD版のリースの章を聴けばより深く理解できますよ(悪魔の囁き)。

 それと併せて、メインテーマである「家族」も本ルートのもう一つの柱と言えます。母親を畏敬するフィーナと父親を憎む達哉とで、「一見真逆であってもどちらもコンプレックスを抱えている点では同じ」という対比に思わず唸りました。

 無論、本シナリオにも粗はあるし、勢い任せで強引な展開も目に付くけれど、「ドラマ性」という観点では秀逸な出来です。
 
終盤のフィーナの演説シーンが顕著。結局は理想論にすぎないけれども、彼女の主張はきちんと筋の通ったものになっています。だから、他人の感想で「貴族側の聞き分けが良すぎて拍子抜け」という意見も散見しますが、あそこは議論の内容云々ではなく、本編を通してフィーナがその考えに至ったことに着目すべきでしょう。グランドフィナーレにふさわしい、すっきりした終わり方でした。


おわりに

 ヒロインの攻略順は、 フィーナ→ミア→菜月→翠→さやか→麻衣→エステル→リース を個人的に推奨。

 この感想、2023年12月下旬から書き始めて、足掛け一ヶ月も編集してたんですね……。年末年始バタバタしていて数週間放置してたせいもあるけど、書きたいことがありすぎて書いては消しての繰り返し。最終稿ですら、とりとめのない文章になっちゃったけど、もういいや(諦念)。人を狂わせるほどの魅力がある作品ということで。

 不満点も書いたとはいえ、予想以上の大ハマりに自分でもビックリ。好きでもないのにグッズやらビジュアルファンブックやら買い漁りませんからね。毎日べっかんこう先生の絵を見て拝んでおります。

2023年11月発売の特大アクスタ(額縁はダ◯ソー製)。未だに新作グッズが出るって凄くない?

 そして、『よあけな』には後日談である『Moonlight Cradle』がありますが、こちらは絶賛プレイ中。「所詮ファンディスクだし今回ほどは感情爆発せんやろ……」と高を括っていますが、どうなることやら。感想は気が向いたら。(追記:書きました。記事はこちら。)

 各章感想で触れた通り、本作のメディアミックスで漫画版とドラマCD版はファンなら押さえておいて損はないかと。漫画版は、脳ホエ先生のデフォルメチックな絵柄が可愛らしい。ドラマCD版は、麻衣の章で心を抉られて半狂乱になったことを除けばシナリオ補完的な意味で結構楽しめました。若カレンさんがイケメン過ぎて惚れる。

どちらも絶版/廃盤なのが悔やまれる。漫画版の電子書籍化希望

 TVアニメ版……? 『よあけな』は一度もアニメ化されていませんよ? 
 
冗談はさておき、観てもいない作品を、世間の悪評に流されて貶めるのは自分の主義に反するのですが、これだけはちょっと勘弁してほしい。サンドイッチで切れ散らかす人間が、キャベツに耐えられるとは思えないんですよね。

 みんなも『よあけな』、絶対プレイしてくれよな!!

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