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アトツギ、経営戦略を作り始める。

こんにちは。播磨屋茶舗の赤松佳幸です。
2023年の振り返りをまとめようと思います。
(写真は新社屋です。内容と関係ありませんが記念に。)

これまでの振り返りnote
2021年 「てめぇ、本当に人間のクズだな」と言われてから学んだこと
2022年 初月売上10万円のブランドが、1年後、月100万円を越えるまで。

総括すると、今年は「経営戦略を考えるための準備期間」でした。

家業に戻って4年経ちましたが、いままでの経営判断への違和感をうまく言葉にすることができず、判断を変えられないことが多々ありました。その違和感をようやく言葉にすることができ、経営戦略を作るための行動をすることができました。


営業損失への理解

播磨屋茶舗は、32期から直近の49期まで(18年間)で1回しか営業利益が出ていません。
4年前に家業の決算書を見た時、営業損失が続いていることも含め経営状況について社長に聞いても、「営業損失のほとんどは減価償却分だし、ずっと会社は倒産していないから、今までの経営のやり方に問題はないはず。」という理解でした。

播磨屋茶舗は、創業者(先代)が多くのキャッシュを貯めていたので、多額の投資をするときも借り入れをほとんどすることなく、もし借り入れをしてもすぐに返済することが出来ていました。

そして、決算書や資金繰りについて深く理解することなく経営判断が行われていました。

値付けと投資の根拠不在

また、「売上が増えれば利益が出る」「粗利率がマイナスでない限りたぶん大丈夫」という値付けになっています。例えば、Aという商品だけを年間90万個しか作れないのに、固定費が毎年1億円かかっている状況で、Aの粗利を100円で値付けしてたりします。

そして工場がパンパンになると、売り上げを増やすために機械を増やし、粗利率がマイナスでない価格(実際には投資を回収できない価格)で販売します。

ずっと違和感を感じていたのですが、じゃあいくらならいいのか、自分も分からずモヤモヤする期間が続いていました。

そもそも各商品の粗利が現実に即しているのかも疑問でした。全部原価計算のため、労務費や減価償却費がなんとなく各商品に割り振られています。この原価が現実と乖離してる可能性もあるなと思いました。

そこで原価管理の仕方を変えるため、原価計算の本をいくつか読みました。ほとんどの本は、全部原価計算について書かれており、間接費などをどう按分するかについてとても細かく書かれていました。

しかし、実際には袋の準備や機械の準備、実際に機械を動かす時間、それにかかわる人、それを作る場所などが流動的で、直接原価以外を把握することは不可能でした。

まず、経営判断をするうえで不可欠なのに会社としてできていないところを炙り出すのに時間がかかりました。私自身が経営についての知識がなかった、ということでもあります。

MQ会計を知る

原価管理について良い方法はないのかなと思っていた時に、昨年「MQ会計」を見つけました。一番印象に残ったのは、製造業において全部原価計算は不可能だと言い切っていたことです。

「直接原価計算にして、それ以外の費用は固定費にし、粗利の合計がその金額を上回るかどうか考える」というやり方なら、播磨屋茶舗でも出来るし戦略を立てられそうだと思いました。

そこで、各商品の販売単価(P)、直接原価(V)、販売数量(Q)を把握しようとしましたが、壁にぶつかりました。
播磨屋茶舗には「なにを、いくらで、何個売ったか」全商品が網羅されているというリストは存在しません。そもそも商品リストもありません。

これまでは、売上が上がろうが下がろうが、利益が出ていようがいなかろうが、結局「売上を増やすために安い商品をたくさん作って売る」という行動に行き着くので、各商品の販売個数や単価、原価を分析する必要がなかったのです。

新社屋移転が転機に

また、会社の事業への理解の浅さもあり、データ収集は難航していました。

まず、昨年1年間で売れた商品リストを作ろうと思いましたが、会計システムには集計されたデータしかありません。販売管理システムを使って会計システムに飛ばしているものもあれば、そうでないものもあります。
会計データになるまで、誰がどのように作っていったか全体の流れを理解している人が社内にはいなかったため、ひとつひとつ担当者に聞き、状況を理解していきました。

また、今年の9月に本社と工場が一か所にまとまったことで(これまでは、工場2つ本社1つの計3拠点)、工場のデータも以前よりタイムリーに探すことができるようになりました。
手を付けていなかった大手量販店や他社からのティーバッグ加工依頼についても、聞きとりしながらデータを収集しMQリストを作成しました。

現場改善よりも、まずは経営戦略

MQリスト作成と並行して現場の生産性改善も考え始めました。
2つに分かれていた工場を一か所にまとめたことで効率よく製造できると考えていましたが、なかなか軌道にのらず欠品が出る日が続きました。

そこで、知り合いの方にご紹介いただいた、MQ会計やTOC理論の研修を行う会社さまにご相談させていただきました。

自社の現状を丁寧にヒアリングしていただくうちに、現場改善よりもまずは経営戦略を作り始める方が先ではないか、という結論になりました。

経営戦略を作ることについては、私自身が腹を括れていないことが原因で先延ばしにしていたことでした。なぜなら、現社長にも社員にも自信を持って説明できる戦略を立てる自信がなかったからです。

しかし、現場を改善してたくさん商品つくれるようになったとしても、その商品が利益の出せないものなら改善に意味はありません。
まずは経営戦略を立て、いくらの商品を何個販売するのか決めないことには現場を動かす意味はないと思いました。

2024年から

12月に入ってから播磨屋茶舗の商売の現状、各商品の原価などを会社内のあらゆるデータをあさり、担当者にヒアリングして、おおよそ完成しました。

このデータをもとに、「なにを、いくらで、いくつ売るのか」戦略をたてながら、現実の商売に着実に反映させていこうと思っています。

短期的には、①大手量販店向けの商品の値上げ、廃番を進めてスリム化し、大手量販店で販売数量を増やすべき商品の策定とその戦略作り②粗利額が大きい商流(高級スーパー?)の新規開拓③t toや直営店でのMQアップ、を順番に行う予定です。

30年後の展望

また、経営改善と並行しながらビジョン策定やリブランディングにも本格的に取り組みたいと思います。
2025年までに黒字化、2030年には年間1000万円の営業利益を目指します。

そして2040年までに、2050年以降を見据えた事業を一つ作ります。(候補は、ほうじ茶の加工・姫路市の観光事業・カフェ、雑貨事業)

また、財務体制が整い始めたら、私の次の社長が育つ環境を作ります。次は社内でも事業承継が出来る体制を目指していていて、2054年頃には新社長にバトンタッチできるようにしたいと思います。

2023年は、経営戦略を作るスタートに立てた一年でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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