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LGBTQに関心が湧いたら読む本【虹色チェンジメーカー】

きっかけ:インフルエンザの予防接種帰りに知り合いの職場に寄ったら、
     この本をもらった。(2冊持ってたらしい)
読んだ日:2020年12月                          こんな人へ:LGBTQに関心を持ち始めた人はもちろん、企業で人事、
     労務管理、CSR、ダイダーシティ推進の従事者
note説明:3段落構成で本についてまとめました。実本を読んで欲しいので、
     大事なところはそこまで書いておりません。最初は、著者の村木さんの
     人生を簡単にまとめさせていただきました。次にLGBTQに関する知
     識。最後に企業が取り組む先進的なLGBTQ施策について一部抜粋して
     書いております。このnoteをきっかけにLGBTQへの関心が高まると嬉
     しいです。

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この本はLGBTQの当事者であり、約8年間にわたって企業や自治体LGBTQに関する施策の推進を支援してきた「認定NPO法人虹色ダイバーシティ」の代表、村木真紀さん(以後、村木)の人生の記録です。当事者として社会を渡り歩いてきたからこそLGBTQの当事者は日常生活でどのような困難を感じ、どのような社会を共に生きていきたいと望んでいるのか、企業のLGBTQ施策とは具体的に何なのか、といった事柄を分かりやすく知ることができます。

 「私は仕事が好きだった。働くことの喜びは、性的マイノリティであることとは関係ないと思っていた。そんな私でも、鬱になった。働きたい人が、働くことを辛いと感じるようになってします社会にしてはいけない。私は、私にできる方法で、働く幸せを支えていこう。」

虹色ダイバーシティはそこから動き始めた。

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ーーーーーーーーーーーーーー村木さんの人生ーーーーーーーーーーーーーー  

議員事務所での仕事を終えて、2007年から2008年にかけて村木は、会議のLGBTQ関連のニュースを追っていた。精神的に疲弊していたので、日本のニュースを見たくなかったせいもある。世界では、『Lの世界』というレズビアンのドラマや、ゲイが登場するドラマ『アグリー・ベティ』が放送されていた。アメリカではLGBTフレンドリーであることを公言するオバマ氏が大統領に選出され、大きく世の中が動いていた。アメリカではヒューマン・ライツ・キャンペーンという団体が、企業のLGBTフレンドリー度を評価する指標をつくって各企業の得点の一覧を発表していた。日本でも2007年に、『日経ビジネス』が初めてLGBTマーケットの特集を組んでいた。何か日本でも、LGBTに関するビジネスができるのではないかと思いはじめた。

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体調が回復した村木は求職活動をはじめ、ソフトウェア会社でコンサルタントの職を得た。一人で担当する業務だったので、女性だからと差別的に扱われることもあまりなかった。土日も休めて、機嫌よく働いていた。

しかし、2010年1月の寒い日、ひとりのゲイの友人が、自死した。いつもニコニコしていて、チャーミングな人だった。遺書があった。彼は地元での親の介護が大変で、鬱が悪化し、生活保護を受けていた。村木は友人たちと彼の部屋に行き、ゲイビデオなど「そう」だとわかる物を慌てて運び出した。彼は家族にゲイであることをカミングアウトしていなかったからだ。「同性愛者は死んでも隠さなければいけないのか」と心が沈んだ。自分も、もしかしたら彼のようになっていたかもしれないと感じた。この後、いつものように出社したら、朝礼で上司が「ホモネタ」で笑いをとろうとしていた。会社への忠誠心がなくなったきっかけだった。その後、職場でたまたま同じ時期に数人が辞め、カバーに走り回る日々が続き、また眠れなくなった。会社にいけなくなった。

2011年、休職しているあいだに東日本大震災が起きた。日本の将来の不安が重なり鬱は悪化した。その頃、村木と同じように会社を休んでいる友人と、久しぶりに会うことになった。「私たち、いくら仕事を頑張っても報われないものがあるよね」と意見が一致した。同じレズビアンで、鬱状態になっている。私たちのしんどさの根源にはLGBTの問題もあるのでは、と気づかされた。家に帰った村木は、イギリスのLGBT支援団体、「ストーンウォール」が作成した、職場で女性やセクシャルマイノリティが直面する課題についての冊子にいきついた。社会の側にも問題があるはずだと確信した。

2012年夏、ロンドン五輪の直前に、職場でのLGBTの平等を推進するアメリカの団体「Out&Equal」の、初の国際会議がイギリスで開催されることを知り、そこに住む友人のつてもあって、参加することにした。バグパイプの演奏から始まり、有名なスポーツ選手なども挨拶する。賑わいのある雰囲気を醸しながら、各国の先進企業が次々に自社の事例を発表していく。IBM、アクセンチュア。翌年、イギリスでは同性結婚ができるようになった。このイギリスへの渡航を機に、私のなかで、いま私がやるべきこと、やれそうなことが見えていた。それは、職場でLGBTもいきいきと働けるようになるための活動だった。                (写真はロンドンプライドパレード2019)

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ダイバーシティ研究所の田村さんの後押しもあり、2012年の秋、ダイバーシティ研究所にデスクを一つ借りて「虹色ダイバーシティ」がスタートした。野村証券がアメリカで活動していると聞いていたので、興味があって担当者にヒアリングに行ったら、逆に相談を受けるという一幕も。私が作ったスライドを評価してくれて、野村証券で社内セミナーを開くことになった。それをきっかけに、研修や講演の依頼が来るようになった。その後は、国際基督教大学のジェンダー研究センターに協力を依頼し、LGBTの職場問題についてのデータ分析や報告書を作成した。

2013年には、任意団体からNPO法人に移行した。虹色ダイバーシティの事務所があった大阪市淀川区と連携して、淀川区は行政として日本初の「LGBT支援宣言」を発した。電話相談や居場所づくりなどの支援活動も始まった。

2015年3月には渋谷区が同性パートナーシップ証明制度を盛り込んだ新条例案を可決し、同性パートナーの権利が社会的に認知されるようになった。ライフネット生命をはじめ、多くの企業が同棲パートナーも配偶者と同等に扱うような施策を発表した。

2015年3月「Googleインパクトチャレンジ賞」受賞             2015年12月『日経WOMAN』が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016チェンジメーカー賞」受賞                            2019年は、TENGAのバックアップを得て、子育てとLGBTに関する本格的な調査を実施した。日本スポーツ協会の「体育・スポーツにおける多様な性のあり方ガイドライン」や、厚労省の「職場におけるダイバーシティ推進事業」という報告書にも協力。

ーーーーーーーーーーーーーLGBTQに関する知識ーーーーーーーーーーーーーー

【LGBTQとは?】                               L=Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)                 G=Gay(ゲイ、男性同性愛者)                   B=Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)           T=Transgender(トランスジェンダー、出生時に割り当てられた性別と異なる性別で生きたいと願う、または現に生きている方)          Q=Questioning(クエスチョニング、性的指向や性自認が定まっていない、揺れ動いている、あえて決めないという方)

重要なのは、一人ひとり違うくらい性のあり方が本当に多様だということ。また、LGBTQであることはいわゆる「趣味趣向」ではなく、基本的に生まれつきのもので、自分の意志で変えられません!!

【SOGIとは?】                             SOGIは、「性的指向」(Sexual Orientation)と「性自認」(Gender Identity)の英語の頭文字をとった言葉です。読み方は「ソジ」が一般的です。性的指向とは、好きになる相手の性別のこと、性自認とは自分の性別をどう認識しているかを、それぞれ指しています。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルは性的指向について、トランスジェンダー性自認についてのマイノリティであるということが伝わっていないケースがあるといいます。自分がどの性別かということと、どんな人を好きになるかということは、別々に捉えることができるのです。

【アウティングとは】                           アウティングとは他人の秘密を本人の許可なく別の人に言うことなのですが、LGBTQの文脈の場合、人のセクシュアリティを勝手に第三者に言いふらすという意味で使われます。勝手にカミングアウトされることと言えます。良かれと思ってしたアウティングでも、当人にとっては大きなショックを与えることもあります。
一橋大学アウティング事件のように)アウティングがきっかけで鬱になったり、出社できなくなったりすることもあるので、十分に気をつけましょう。

【LGBTQはどれくらいいるのか】                     2019年に大阪市で、LGBTQに関する全国最大規模の無作為抽出調査、「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」が行われました。大阪市の住民基本台帳から無作為に抽出した18〜59歳の1万5千人にアンケートを郵送する方式で、有効回収率は28.6%だった。この調査の結果、多数派でないと回答した人は、8.2%、12人に1人いる計算です。                   (写真:『大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート』【問46】性的指向より)

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【アライ(Ally)になろう】                        「アライ」とは味方、同盟という意味の言葉で、LGBTQの社会課題に対して共に、自分ごととして考えてくれる人たちのことです。職場のLGBTQ施策の推進は、当事者だけで動かしていくのは困難なケースが多いです。なので、アライは重要な役割を担っているのです。「LGBTQフレンドリー」よりは、本気度の高い概念とのことです。

【LGBTQの年収】                           LGBTQは国際的にも貧困率が高めの傾向があると言われています。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2017年の全世帯平均所得金額は約551万、200万円未満の世帯は約20%です。それに対して、虹色ダイバーシティ独自の調査によると、バイセクシュアル女性は37.6%、トランス男性が25.7%の人々が年収200万円未満で暮らしています。LGBTQが働きにくい職場であることが、正規雇用や就業の継続を難しくしており、そのために貧困に陥るリスクが高いのではないかと考えられています。

【PRIDE指標とは?】                           社内LGBTQ施策の評価指標です。この指標は、海外で使用されている指標を参考にして、2012年に日本IBM、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ、NPO法人グッド・エイジング・エールズの三者が、共同で日本でのLGBTQ従業者支援に関する「work with Pride」というセミナーを開催しました。のちに虹色ダイバーシティも加わった任意団体work with Prideが、評価項目や運営方法について話し合い、PRIDE指標の策定に至りました。「P」「R」「I」「D」「E」の五つの指標があり、すべてクリアするとゴールド(満点)、四つでシルバー、三つでブロンズと評価され、認定マークの使用が認められます。2019年にはゴールドを獲得する企業が150社を超えたとのことです。

ーーーーーーーーーーーーー企業のLGBT施策の事例ーーーーーーーーーーーーー

ここでは、本で紹介されていた企業単位の取組み好事例を紹介します。本にはたくさんの好事例やアドバイスがのっておりましたが、ほんの一部だけ紹介します。
【野村證券】                               日本で最も早くからLGBTQ施策に取り組みはじめた大手企業は、リーマン・ブラザーズ証券らしいです。2004年から、当事者の社員が社内でLGBTQ社員のネットワークを作って社内啓発活動に取り組みはじめたのです。2008年にリーマン・ブラザーズ証券が破綻したので、買収した野村證券にLGBTQのグループが入ってくることになりました。野村證券の取り組みはここからスタートしました。虹色ダイバーシティは2012年の社内研修に登壇しました。その後、野村證券は外資系金融金業のLGBTQ支援グループ「東京LGBTインターバンク・フォーラム」に日系企業として初めて参加するようになりました。2013年には、社員ネットワークメンバーが「アライ」の取り組みを始めます。また、新人社員研修、定期の人権研修、管理職研修など、それぞれ既存の研修に少しずつLGBTQのことを盛り込み、社内啓発に取り組みました。その後、ゲイ当事者として入社したK氏が、LGBTQ施策にアクセルをかけます。現在では、社員食堂でパンフレットやLGBTQ関連資料、ポスターを掲示し、理解を深める「LGBTウィーク」を定期的に行なったりしているとのことです。

【ソニー】                                ソニーでは、LGBTQについて課題意識の薄かった2007年からLGBTQに関する勉強会を開催していました。1970年代に「出る杭を求む」という求人広告を出したソニーでは、「ダイバーシティ」という言葉が知られる前から多様性の重要性を認識し、自然とダイバーシティに取り組む文化が醸成されていました。ダイバーシティ研修の中にLGBTQのパートを設け、新人研修でもLGBTQについて触れ、LGBTQの社員との対話を疑似体験できる映像教材も用い、これをeラーニングとして活用しています。2017年には、「ソニー・ダイバーシティ・シアター2017」と銘打って、アメリカ全土での結婚の平等を勝ち取るために奮闘した人たちの姿を追ったドキュメンタリー映画『The Freedom to Marry』を上映、社員だけでなく広く一般にも後悔しました。また、2019年には、LGBTQに関する情報発信施設と協働し、ダイバーシティについての講演、トークイベントを開催しています。このイベントでは、表舞台に顔を出すことができない当事者が、ソニーのアバター技術を使うことにより、バーチャル登壇を実現しています。

【楽天】                                 楽天では2015年頃から、社内で声が上がり、社内LGBTQ施策に取り組みはじめました。2016年6月には、社内の有志で「楽天LGBT +ネットワーク」が発足。同年7月には、社内規定上の配偶者の定義を改変し、同性パートナーを含むことにしました。その際、RakutenViber、楽天カード、楽天生命、楽天EdyなどのグループサービスでLGBTQに関連した商品・サービスの拡充を実施し、ニュースになりました。特に、レインボーカラーのEdy楽天ポイントカードは、当事者の間でも話題になったそうです。楽天グループはその後も、楽天銀行において、リクルート住まいカンパニーが運営する「スーモカウンター新築マンション」をご利用のお客さまを対象に、法的な婚姻関係にないLGBTQカップル向けの住宅ローンを提供するなど、着実に商品・サービスの拡充を続けている。

以上、興味をギリギリ持っていただける程度に浅く本をまとめした。
LGBTQに関するオススメ情報があれば、ぜひ教えてください。

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