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鉄道橋

 ガタンゴトン。

 僕の上には鉄道橋。
 
 その下で、僕は耳を澄ます。

 ガタンゴトン。

 電車が通る度、そこに現れる。

 影、騒音、ノスタルジー。

 この郷愁は何処から来るのだろう。
 僕は何処から来たのだろう。

 ふっと、身体が溶けていく。
 どろりとした、何かになって、やがて、冷えて固まる。

 僕は四角い金属片。

 そうか。
 僕は電車から剥がれ落ちた欠片。

 もう二度と戻れない、悲しい塊。

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