黄帝内経・素問 四気調神論篇

「四気」春温、夏熱、秋涼、冬寒
人々は気候の変化にいかに適応し、調節するかをわきまえて、疾病の発生を予防しなければならない
⇒四季の気候変化に従い、生気を調節することによって、養生と疾病予防の実際効果を達するということを強調して論述している

【春】
春の3か月は、万物が古いものを推し開いて、新しいものを出す季節。全てが生き生きと栄えてくる。
 人々は少し遅く寝て少し早く起き、庭に出てゆったりと歩き、髪を解きほぐし、体をのびやかにし、心持ちは活き活きと生気を充満させて、生まれたばかりの万物と同様にするのがよい。
 つまり活動的な気持ち、あるいは活動するにはいい時期なので、静かに沈んだ状態ではいけない、病気になる。

・春になって暖かくなると、神経痛や皮膚病になるという人がいる。のぼせる、眠れないなど
・春になって活動しないと、陽気が沈んだままだから、夏でも汗が少なく冷え性になる。
⇒適当に運動して陽気を発動してやると治りやすい


【夏】
 夏の3か月は草木が成長し、万物が茂り花咲き乱れ、陽気が最高潮に達する時期である。
 人々は少し遅く寝て少し早く起きるべきである。
 夏の日の長さ、暑さを厭うことなく、気持ちを愉快にすべきで怒ってはならない。
 花のある植物と同じように満開にさせ、体内の陽気を外に向かって開き通じ発散することができるようにさせる。
 適当に運動して一日一回は発汗するように心がける。もし陽気を発散しないと、身体内に熱がこもって病気になる。

 身体内で陽気の多い所は心。熱の多い心にさらに熱がこもって心臓を悪くする。
 陽気を発散しないと身体全体も暑く感じます。そうなると冷房や冷たいものを欲するようになる。これを夏の間続けると下痢します。

⇒夏に発散しないと熱が胸にこもる。秋になって肺がよく働く時期になると、肺がその熱で乾燥して痰の少ない乾いた咳をしだします。


【秋】
秋の3か月は、万物が成熟し収穫の季節である。すべてが引き締まり収納される時期なので、陽気も体内深く収納される。
 この時期は早寝早起きすべきで、鶏と同じように夜明けとともに起き、空が暗くなると眠り、心を安らかに静かにさせて、あれもこれもやりたい、などとイライラして活動的になってはいけない。
 この時期に活動しすぎて、陽気を発散すると肺が弱り、冬になって下痢になる。

発汗し過ぎると風邪になりやすい。秋に発汗した場合はすぐに拭き取る方がいい。


【冬】
 万物が静かに沈み、消極的になる時。すべてが収納され、貯蓄されておく時期で、決して発散してはいけない。
 少し早く眠り少し遅く起きるべきで、起床と就寝の時間は、日の出と日の入りを基準にすると良い。
 陽気も深く貯蔵されているから、心身共に活動的になってはいけない。運動などで発汗するなど絶対だめである。
 もしこの時期に発汗したり、酒飲んで一時的に陽気を多くし、その反動で冷えたりすると腎が悪くなる。

冬に無理すると、春になっても陽気が発動しない。必ず手足がだるくなります。


*この四節は、四季の養生の方法を述べており、内的環境と外的環境(春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵する)という四時の気候変化に必ず適応しなければならないことを強調している。
⇒ある季節の養生法に反したなら、適応能力を減弱させ、次の季節に疾病を発生させてしまう。

「道理に明るい人は、病気になってしまってから治療方法を講ずるのではなくして、まだ病にならないうちに予防する」
 国家を治めるのと同じように、騒乱が起こってしまってから、これを治める方法を研究するのではなく、騒乱の発生する前に未然にこれを防ぐのである。
 仮に疾病がすでに発生してしまってから治療したり、戦乱がすでに起こってしまってから平定するということであれば、つまり、口が渇いてやっと井戸を掘ることを思いつき、戦争になってからやっと武器を造ることを考えるのと等しく、それではあまりに遅過ぎるのではないだろうか。



本編では
⒈ 一年の四季の変化に適応する摂生方法を、具体的に叙述している。気候の変化に適応することが養生法の中で重要だと述べている
⒉四季の気候の変化のリズムに反することは、疾病発生を誘う原因であることを指摘し、さらに一歩進めて、未病を予防するという思想の重要性を指摘している。

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