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喜びと絶望

昼食時、先輩が「久しぶりにラーメン行こうぜ」と言ってきました。


私、ラーメンずっと食べてないんですよ。愛してるのに。
ダイエットのため。


丁重にお断りしようと思ったんですが、久しぶりの外食なので先輩も粘ってきました。

「仕方がない今日はチートデイにするか」と決めて了承しました。


先輩:「てきとうにそのへんのラーメン屋にしよか」
私:「は?てきとうなラーメン屋?ふざけんといてください」


くる日もくる日も待ち焦がれたラーメンを、いい加減に決められてしまってはいくら温厚な私でも一言物申したくなります。


ラーメン断ちしている期間、私は来たるチートデイに向けてラーメン店をリサーチしまくってました。
行きつけの店ではなく、新規で新たな出会いを求めて行きたい店リストなるものを作ってました。
そのリストを元にプレゼンしたら先輩ドン引きしてました。


そんなこんなで比較的近く、なおかつ二人とも行ったことがなく、私が猛烈に行きたい店に決まりました。



店内に入り、先輩はおもむろにマスクを外しはじめました。
すると、店主さんから「食事中以外はマスクはずさないでください」とお叱りを受けました。
「おうふ…」と言いながらふたたびマスクを装着してました。


店内は満席状態で新たにお客さんが入ってきました。
店内で順番待ちしているお客さんに向けて店主さん。
「外でお待ちください」
少しでも密を避けるためだと思います。
外土砂降りなんですけど…と思いながら、これは後に続く人のため早めに食べようと心に決めました。
そんな雰囲気なので自ずとお客さんみんな押し黙ってるんですね。
私と先輩もなんだか付き合いたてのカップルみたいにもじもじしながらラーメンを待ちました。




待ちに待ったラーメン。
これがめちゃくちゃうまかった。
久しぶりに食べたからとかではなく本当に美味しかった。
ちょっと感動するレベル。



私はどちらかと言うと「郷に入っては郷に従え」というタイプの意志薄弱人間ですからとやかく言われても従うタイプの人間です。


そりゃあ「私語厳禁」とかよくわからないルールのある店にはいくらラーメンが美味しくてもあまり行きたくないなと思ってしまいますが。
今回のケースは店側なりに考えた感染予防策の一環ですから、まあそこは従うべきかなと思いました。




難しいなあと思うんです。
こうした世の中ですから、そうした店なりの配慮が逆に店の評価を落としてしまうこともありうるんだなと感じます。
現に先輩は、「美味しいけど…なんかなあ…」と少しこぼしてました。


美味しい物は美味しいと評価されて評判になる。
「味」という評価基準だけだったら単純な図式ですが、お店というのはそれだけではないですもんね。
美味しい物、良き物がそのまんま売れるというわけではないですもんね。
ネットの口コミとか見ても「それ味関係ないやん」という批判まであったりします。
味覚に関しても、求めている商品に関しても、人それぞれですから万人にウケる物など無いのかもしれません。
様々な要素が絡み合って評価される。
厳しい世界だなと感じます。


可能ならば味だけで評価したいけれども、どうしても人間思案で他の部分も評価に入り込みがちです。


そう思うのと同時に、「商品の味だけで勝負しているような店も少ないのかなあ…」と思い至りました。
店舗によっては扱っている商品以外の部分に、意味を持たせ価値を表出している場合もあるか…雰囲気とか、お店の内装、外観とか、コンセプトとか…とあるおこみ焼き屋さんは「いらっしゃいませ〜!ぽんぽこ〜!!!」とか言って和ませてくれるもんな…


いろーんな要素をひっくるめてその店の評価になる…味よりもメニューの奇抜さに重きを置いてるお店もあるにはありますもんね。



そう考えるとどこに着目するか、どこをウリにしたいかによって自ずとお店の形も変わってきますね。
難しい経営論みたいなことは私には身に余るので他の方に任せるとして、興味は湧いたので勉強に励みたいと思います。


ただ、私は美味しいが価値判断として一番にくるので、お出しする商品に懸命に全力で重きを置いてるお店には、他の要素で判断されることなく、なんとか報われて欲しいなと、久々のラーメンを食べた喜びと腹回りの絶望がないまぜになった複雑な感情で思う今日この頃です。




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